老師オグチの家電カンフー
家電が日本人にとって神さまである理由
2022年1月12日 08:05
あけましておめでとうございます。初詣に行って思ったんですが、日本人にとって家電は神に近い存在です(何をまたバカなことを! と思ってますよね)。
恋愛の神様がいるように美容家電が、健康の神様がいるようにヘルスケア家電があるように、八百万の神のごとく多種多様なご利益の家電が存在しています。家内安全と商売繁盛が神社仏閣で祈願される2大テーマですが、家電も大まかに、家内安全を守る生活家電と、ビジネスに寄与する情報家電に分類されています。
家電の歴史を振り返れば、エジソンによって発明された白熱電球、蓄音機、活動写真も、何かしら宗教的な価値を提供してきました。天地創造で神が最初に「光あれ」と言ったそうですし、神は光に例えられることが多い。あるはずのない者の声が聞こえる、姿を見えるようにしたのが蓄音機や活動写真で、古来宗教が与えてきた幻聴・幻視を科学で再現したものです。
また、神の概念はエネルギーに例えられることが多く、エネルギーといえば電気もそのひとつです。神のエネルギーが人々に影響を及ぼすように、電気も家電を通じて人々に機能を提供しているのです。
家電は複数の神々が共存する多神教の世界。メーカー同士の競争はあれど、消費者にはブランド志向が強くありません。全ての家電をひとつのメーカーで統一している家は、ほとんどないでしょう。洗濯機は日立、オーブンはパナソニック、掃除機はダイソンと自由にとり入れ、それらは役割分担なのでケンカになりません。結婚式は教会で、お葬式はお寺で、新年のお参りは神社でと、日本人の多くはガチの神様も役割分担させているぐらいですから、家電が神に近いというより、神が家電に近いのかもしれません。
元はインドから来た仏教をとり入れ、またそれを日本風にアレンジしていく。本来は、唯一絶対の神などないと説いた仏教なのに、日本では「神は仏が姿を変えて現れたもの」とする「本地垂迹説」まで生まれました。よくいえば臨機応変、悪くいえばゆるゆるなんですよ。
片や、一神教は原理主義に陥ると争いになりやすい。いまだWindowsかMacかで信者同士の争いが絶えないのは、PCは家電に比べれば比較的一神教の世界に近いからでしょう。
そんなゆるい家電の世界ですが、宗教的な強弱は存在します。ブランド力で売れる家電もあれば、メーカー名すら意識されず、安いという理由で購入されるケースもあります。幅広く存在して信頼のある伝統宗教のようなメーカーがあれば、尖ったデザインや機能で信者を虜にする新興宗教のようなメーカーもある。家電を宗教の世界に置き換えて考えると、いろいろなことが見えてくるような気もします。
今年も記事を通じて家電のご利益を提供できるよう、頑張っていこうと思います。日本には役立たずの神様もいるようなので、ヨタ記事が多くても勘弁してください。本年もよろしくお願いいたします。