老師オグチの家電カンフー

「呑み家電」を導入すればブラック企業もホワイトに?

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 ここ数年「呑み家電」が、アツイ気がしています。ビアサーバーやワインセラー、日本酒専用の冷蔵庫、つまみを作るロースター、フライヤーといった家電たちです。

 今年ラスベガスで開催されたCESでは、クラフトビールの自動補充サービスに対応した冷蔵庫「DrinkShift(ドリンクシフト)」が発表されました。ビールを取り出すと、ビールの消費ペースを学習し、ビールを切らすことのないタイミングで発送されるという、便利ではありますが、下手すると人をダメにしそうなサービスです(笑)。

Shiftall「DrinkShift」は、スマホアプリと専用冷蔵庫を組み合わせることで、庫内のビール残量や飲むペースを自動で判断し、自宅やオフィスビールを配達するサービス。2019年サービス開始予定
一人飲み家電を多く手がけるサンコー。こちらは自動で回る卓上無煙焼き鳥器の「自家製焼き鳥メーカー」。最大10本の串が回転しながら焼き上がる。5,980円

 私が買ったら、たぶん家人に呆れられるでしょう。けっこう仕事しながら酒飲んでますからね。さすがにアルコールを入れて原稿は書きませんが、細かい作業は結構はかどるんですよ。営業電話をかける景気づけにも良さそうですね。

 パソコン作業しながら飲む、「デスクトップ飲み」。企業でも導入したらいいんじゃないかと思っています。19時以降は酒飲んでの仕事を許可し、アルコールも会社で用意する。「オフィスグリコ」みたいなイメージです。酔って絡んでくる上司はウザそうなので、40代以上、課長以上は有料にするといいかもしれません。

超音波でワインやウイスキー、日本酒を短時間で熟成させる、テキストハンズエイド「Sonic Decanter(ソニック デキャンタ)」。どのぐらい味が変わるのか気になります。34,800円
グリーンハウスといえば家庭用ビアサーバーの定番だが、こちらの「カクテルビールサーバー GH-BEERLシリーズ」は、缶ビールと市販ドリンクを自動でブレンドする。実勢価格1万円前後

 実際、出版社も20年ぐらい前は、酒飲みながら作業している編集者も多くいました。

 京セラの創業者、稲盛和夫氏といえば、高尚な経営理念の人というイメージが強いかもしれませんが、社内コンパを非常に重視したといいます。ベタに言うところの「飲みニケーション」です。

 マネジメントも意識高いばっかりじゃダメなんですよ。といっても、今は会社の飲み会は苦痛という人も多く、ムリに誘うことがハラスメント認定される時代です。ならば、勤務中の飲酒を解禁しましょう。ブラック企業でも社員に告発される率が低くなるはずです(笑)。コンプライアンス的に難しいですかね。それこそ、ブラック企業ぐらいしか採用できない福利厚生かもしれません。

 そういえば本日、わたくしの新著が、なんと新潮新書から発売されました。今回の話に関連しなくもない「ちょいバカ戦略 意識低い系マーケティングのすすめ」という本です。ご興味あればご覧ください。

こちらもサンコーの「翌朝検査! 二日酔いアルコールチェッカー」。約10秒間息を吹きかけると、アルコール濃度を表示。要注意レベルはビープ音で警告される。サンコーという会社は酒飲みながら商品開発しているんじゃないかと疑っている(笑)。1,580円

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>