老師オグチの家電カンフー
ゆるキャラの先輩? 日本と台湾に見る、家電メーカーのマスコット文化
2018年12月19日 06:00
3カ月連続で台湾に出張していました。11月と12月は、台湾の電機メーカー大同公司(TATUNG)と、日本のパナソニックからのご招待です。偶然にも両社ともに今年創業100周年を迎えた企業です。
100年前、1918年(大正7年)といえば、第一次世界大戦のさなかであり、5,000万人以上の死者を出した「スペインかぜ」が全世界的に流行した年です。日本では、富山県で米騒動が起こっていました。そんな長い歴史を両社はどう生き残ってきたか。そんなビジネス誌みたいな話はしません。
しかし、国は違っても企業活動に共通する文化があると感じたので、つらつらと書いていきます。たぶんオチはありません。
まずは11月、大同公司の創立100周年記念式典にご招待いただきました。日本でも「大同電鍋」が密かに人気となっているメーカーですが、家電から発電機やモーターといった電力関連の事業まで広く手がけている企業です(詳しくは以前書いたこちらの記事をお読みください)。
式典では、NECや東芝のトップが壇上で挨拶を行なうなど、両国の深い関係も感じられました。なんてビジネスの話は置いておいて、今回取り上げたいのは、同社のマスコット「大同坊や(大同寶寶)」についてです。大同坊やは、系列の電器店の店頭に飾られ、ノベルティグッズである貯金箱タイプもコレクターの間で人気です。毎年新たなバージョンが作られる大同坊やは、胸に数字があり、大同の創立からの年を表しています。
実はこの企業マスコットの文化って、日本と台湾が世界的に突出しているんですね。
同じく今年100周年を迎えたパナソニックも、かつて店頭で飾られていたマスコット「ナショナル坊や」を復刻しています。先日(12月)、台湾の家電量販店、電気店を何件か見て回る機会があったのですが、どの店にもしっかりとナショナル坊やが飾られていました。
台湾人はキャラクター好きなようで、日本以上に街中の店頭などでマスコットキャラクターを見かけます。セブンイレブンにもオリジナルキャラがいるぐらいですからね。
日本で店頭にマスコット人形が盛んに飾られていたのは、1960年前後から1970年にかけて。古いのは、不二家の「ペコちゃん」で1950年頃から店頭に立っていました(子供に頭を小突かれながら)。ナショナル坊やは1957年登場だそうです。
電機メーカーでは、日立の「ポンパ(オウムみたいな鳥)」、ソニーの「ソニー坊や」あたりが有名で、アラフィフ以上なら知っているのではないでしょうか。薬局にも、カエルやらゾウやらがいましたね。ケンタッキーフライドチキンの「カーネル・サンダース像」も、店頭に常設されるようになったのは日本からだそうです。
日本のゆるキャラブームも、これら企業マスコットの影響を受けているとにらんでいます。昔、電器店や薬局でマスコットに親しんだ子供が大人になり、地方地方でご当地キャラのゆるキャラを企画していったのではないかと。
一応最後に、家電 Watchらしいことも書いておきましょうか。現地で発見したのは、パナソニックブランドですが台湾オリジナルの家電製品です。日本にはないタイプの電機圧力鍋や洗濯機などが人気でした。
洗濯機の容量は日本よりもはるかに大きく、縦型で16kgや22kgの製品が前面に押し出されています。台湾は共働き世帯の比率が高く、まとめ洗いの需要が多いのでしょう。これは、近年の日本にも見られる傾向ですね。