藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

穂のないホウキでごっそりゴミ取れた! ワッツで220円
2025年2月25日 09:05
AIに自分の写真を何枚か読ませて、レプリカを作って遊ぶアプリを友達に教えてもらって、夜な夜な変てこな画像を作ってはひっそり笑っている。
しかし笑えない、というか非常に恐ろしいのが「3歳」などとプロンプトに書いて作った画像である。この微妙にAIによって歪められた架空の3歳設定の自分画像が、実在の娘たちの幼児期に異様に似ているのだ。
ちなみに筆者の子供たちの外見は父親の生き写しばかりであり、実際のところ「お母さん似」と人から言われる子はいない。そしてAIの3歳は現実に残されている筆者自身の3歳時の容貌とは、だいぶかけ離れていたりする。
それにしても、残されているリアル古い写真の3歳の色褪せようといったらどうだろう。先般50歳になり「私が生まれたのはもう半世紀前なのか」と呆然としたものだが、この時の経過を可視化されているかのよう。本当に遠い昔なのだ。
そう遠い昔、そのころ住んでいた家の居間には、山吹色のじゅうたんが敷かれていた。畳の上に。
「畳の上にじゅうたん敷き」というのがダニ育成にうってつけの環境だという知識を得たのはだいぶん長じてからのことで、そのような環境で育ってしまった子供である私にその是非などわかるべくもなかった。
部屋のしつらえ、そこでの身のこなしや振る舞い。言動。あらゆる価値観。当たり前に身についてしまっているものごと。
大人になってみてしみじみ「育ち」というのの怖さを実感、かれこれ衝撃を受けてからすら四半世紀以上経ってしまったのだな、と遠くを見てしまう。
確か古いあの家で「畳の上にじゅうたん」の部屋の掃除は、紙パックでもサイクロンでもコードレスでもなかった時代の無骨な掃除機で行なわれていた。
あそこだけが唯一掃除機を掃除に使われていた部屋であったようにも思う。畳の「座敷」は背の高いほうきで行なわれていた覚えがあるし、ほうきは玄関先を掃くのにも使われていた。掃除機ではない「ほうき」がけは子供時代の筆者がよくやらされていたお手伝いでもあった。
そう、「ほうきっていうのは、先っちょに剛毛の穂みたいのがいっぱい植わっているやつ」そんな、あたりまえに「ほうき」と認識しているものとの乖離が、この商品には、あった。
100円ショップ「ワッツ」の店頭で見かけたこの商品を瞬時に筆者は「ほうき」とは思うことができなかったのだ。「Tokino:ne マルチほうき」は「ほうき」という名称ではあるが構造としてはスクレイパーというかスクイージーに近いのだと思う。
棕櫚(シュロ)だのポリだのでできた穂のようなものがあるべき先端?は平べったいしなる樹脂製で、三角というには歪んだ見た目をしている。
しかしこれで掃いてみれば「なるほど、ほうき」だと分かる。ほうきだというほかない。そして従来の繊維束のほうきのあの厄介なところ、穂先に毛や埃が絡み付いてダマダマになるあの不具合が起こらないことに刮目せざるを得ない。
「なんだこれ?」
先日ある撮影用スタジオに持ち込んだこの「マルチほうき」、撮影の合間に、備品のラグを軽く掃いたら細かな繊維ゴミがごっそり取れてびっくり。掃除が行き届いているはずのスタジオなのだけどこんなに。
あまりのわかりやすさに「アハハすごいね」と笑いながらそこにいたカメラマンさんに「ちなみにこれ、いくらだと思います?」と訊くと「えー2,000円くらいですかね?」というので「220円です」と種明かしすると「えっ」と言って「買います」と即答していた。それくらいのインパクトはあった。
ところで筆者は今回「Tokino:ne(ときのね)」というのが100円ショップ「Watts(ワッツ)」のオリジナルブランドだというのを初めて認識した。
「ワッツ」は系列の「ワッツウィズ」「シルク」「ミーツ」などと合わせて1,100店舗以上が展開されているようだが、「セリア」「ダイソー」と比較すると店舗数は1:2:3くらいになり、ややマイナーだ。
あまり意識して見る機会がこれまでなかったのだが、オリジナルブランドの商品というのがAIレプリカ画像並に似たようなものの多い100均ラインナップの中でも、妙に攻めているものが多いのは他社のPB商品などを見ていても明らかだ。
この「Tokino:ne(ときのね)」ブランド、面白い。注視していきたいと思った。