藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

名品キムワイプの姉妹「キムタオル」キッチンペーパー代わりに掃除で大活躍

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
キムタオル スモールポップアップ シングル 150枚

「まさかここに、掃除にキッチンペーパーを使う人なんていませんよね?」(にっこり)

……ギクッ。

まだ若く駆け出しの頃に聞いた、家事の有名人による講演。正直怖かった。そう問われ、責められている気がした。

筆者は「ていねいな暮らし」に長らく憧れ続けた。ていねいな暮らしをする者、キッチンの油汚れなどは必ずボロ布で拭うべし。ぐうの音も出ないほど正しい。

だがいざ家に帰ってボロ布を作成せんとボロタオルを裁断してみれば、細かい糸くずが永遠に出てくる。それを一応おしゃれなカゴに入れれば、そのカゴの隙間からも繊維が落ちる。ボロTシャツを切ってもやはりそうなる。それを拭く手間が増える。

ボロTシャツは油汚れにつっかかってあまりうまく拭けず、ものによっては汚れを布が弾いてしまいすらし、驚いた。Tシャツに柔軟剤を使う洗濯からして「ていねい」の方向性を間違っていたのだと察した。ていねいの道の遠さ。

数年後、3人目の子供を産んだ筆者は「ていねい道」からついに完全に脱落した。働きながら、乳児幼児小学生の面倒を見ながら、体調の悪い親のサポートをしながら最低限の家事をするだけで精一杯で、所詮「ていねいな暮らし」をする器ではなかったのだ。

諸々の間キッチンペーパーは愛用していた。掃除に。ずっと。ひそかに。

罪悪感は伴っていた。「まさか掃除にキッチンペーパーを使う人なんていませんよね?」という、あの笑顔が脳裏から消えなかった。

実は主婦歴四半世紀にもなるのに、いまだどこかに「ボロ布を使っていない私」が縮こまっているのを感じていたりする。根深い。

「掃除にティッシュを使うこと」の罪悪感とセットに、かつて語ったことのある「キムワイプ」の姉妹品に「キムタオル」があるのを知り、愛用し始めたのは割合に近年である。

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キムタオル スモールポップアップ シングルのパッケージ
190×320mmのシートが150枚入っている

「キムタオル」は、キッチンペーパーのように揚げ物の敷紙に使えるクオリティ(においなどの面で)ではないながらも、名品キムワイプの気配を感じる強靭さと紙質が担保された紙ウエスだ。

本来は機械油の拭き取りなどに用いるものだけれど、咄嗟にキッチンペーパーを使いたいような住まいの掃除の場面で、くまなく使える。コンロ周りの油を拭い、調理台の湿気を拭き、冷蔵庫内を拭き、洗面台を拭き、床を拭き、そして例の罪悪感が幾分減ぜられもする。

こまめに掃除すればいいのはわかっているけど、いろいろ立て込んでいると汚れを溜めることなどがざらにある各所を、ギュギュっと拭き取って、ポイできる。それでも掃除“しない”よりかは、微々たる差でもマシだ。

100均の30枚入りキッチンペーパータオルに比べ、150枚で700円ほどの費用対効果的にはどうなんだろう。まあ特別お得感があるわけでもないけど、製品の出どころと材質とクオリティを評価すれば、高すぎはしない。そしてそっけないパッケージも、悪くない。

全部は同時に立てられない。節約と環境と家族と健康とエコとエゴと教育的姿勢と化学物質と……全方位的に「ていねい」には暮らしようがない、なかった。

筆者の技量の問題であるにしろ、そうしてでもどうやってでも、日々暮らしていかねばならないのは自分自身で、そんなささやかな自分の裡なる望みと器をやりくりして優先順位を決めていくほかないのだ。

傍の無骨な「キムタオル」が、「まあ、それでいいんじゃない」と言っている。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。