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2つの異なる温度空間を作り出す三菱のルームエアコン「霧ヶ峰 FZシリーズ」

三菱電機のルームエアコン「霧ヶ峰 FZシリーズ」

 三菱電機は、新型ファン「パーソナルツインフロー」を搭載したルームエアコン「霧ヶ峰 FZシリーズ」を10月下旬より順次発売する。容量4.0kW〜9.0kWの全6機種で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は、32万8,000円〜45万8,000円(税抜)。

 高効率のプロペラファンを2基搭載した「パーソナルツインフロー」を採用したルームエアコン。2基のプロペラファンは、左右独立駆動。それぞれ風量を制御でき、異なる2エリアの温度空間を作り出せるという。

 発表会では、三菱電機 静岡製作所の松本匡氏が登壇。研究開発から発表までの経緯を語った。

 「近年のルームエアコンは、2つの大きな壁に直面していました。1つめの壁は快適性追求の上で、誰もが諦めていた“暑がりやさんと寒がりやさんの共存”です。例えば奥さまがリビングで快適にくつろいでいるところへ、ご主人が暑い屋外から帰宅する。ご主人はエアコンの設定温度を下げようとしますが、奥さまはこれ以上室温が下がると寒く感じてしまいます」

 「もう1つの壁が、省エネに関する既存技術の限界です。消費電力量に関する削減幅は、年々小さくなってきています。既存技術の改良だけでは、飛躍的な省エネを達成できないということです」

 これらの問題をブレイクスルーするために、7年の歳月をかけて開発したのが、今回発表された「霧ヶ峰 FZシリーズ」なのだという。

2つのファンで、1部屋に2エリアの温度空間を作る

 課題を解決するために新搭載されたのが、「パーソナルツインフロー」。ルームエアコンで一般的な「ラインフローファン」から、2基のプロペラファンを本体上部に内蔵。外からの空気を効率よくエアコン内に送れるだけでなく、2つのファンの風量を別々に制御可能にした。

従来モデル「15SZシリーズ」の分解イラスト。一般的なルームエアコンで使われているのが円筒形の「ラインフローファン」。ファンが回ることで、本体内に風の渦を作り出すという。熱交換器の設置場所が、ファンの前方と上方に限られてしまう
「霧ヶ峰 FZシリーズ」の分解イラスト。2つのプロペラファンを本体上部に搭載。プロペラファンにすることで、送風時の消費電力を31%削減。風を受けるような本体下部に熱交換器が設置されている
ラインフローファンとプロペラファンを並べたところ
熱交換器は表面積を上げるためW形に。

 さらに部屋内の人の温度を感知して、ピンポイントで最適な温度の風を送れる「ムーブアイ 極」の機能を向上。センサー解像度を従来比で4倍にし、手先や足先などの細部まで温度変化を測定できるようにした。

 これら「パーソナルツインフロー」と「ムーブアイ 極」を使うことで、1つの部屋に2人がいた場合に、それぞれ最適な温度の風を送れるという。

「ムーブアイ 極」のセンサー部。従来比4倍の解像度(12,000ドット)でセンシング
風向きを左右に散らした状態で、目の前に置かれたテーブルの上に、手のひらを乗せると、エアコンから体に向かって風が集中して送られてきた

 会場では、家庭のリビングを再現し、「パーソナルツインフロー」と「ムーブアイ 極」の機能を実演。実際に2つのファンが別々に制御され、体温の高いご主人に向けて搭載されたファンが、強い風を送っていることが証明された。

家庭を再現した実演。快適な温度のリビングで奥さまがくつろいでいるところに、ご主人が暑い屋外から帰宅するという設定
部屋の中を上から撮影したサーモグラフィ。ご主人がいる場所の温度が上がり、奥さまがいる場所は温度はそれほど上がっていない
次にご主人が部屋の左側へ、奥さまが右側に移動すると、左側のファンが強く動き始めた

来春発売予定のデザインコンシャスな「FLシリーズ」も展示

 詳細な仕様は決定されていないとしながら、来春の発売に向けて開発中の「霧ヶ峰 FLシリーズ」が展示紹介された。

 インテリアと調和し上質な空間を作り出すデザインと、エアコンの本質である快適性を高いレベルで融合するという。

 ボルドーレッドとパウダースノーの2色を展開。デザインだけでなく、快適機能や省エネ機能にもこだわり、最上位機種と同等のスペックを搭載予定だという。

霧ヶ峰 FLシリーズ
パウダースノー
ボルドーレッド

河原塚 英信