日立、洗濯槽も排水ホースも汚れにくいドラム式洗濯乾燥機
ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9500 |
日立アプライアンスは、汚れにくい排水ホースを採用したドラム式洗濯乾燥機「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-V9500」を10月20日より発売する。価格はオープンプライス。市場想定価格は300,000円前後。
洗濯容量10kg、乾燥容量6kgのドラム式洗濯乾燥機。排水ホースに内側の凹凸を無くした「内面フラットホース」を採用し、ホース内に排水や汚れを残りにくくした点が特徴。従来のホースは、柔軟に曲がるよう蛇腹形状をしていたため、ホース内部に排水や汚れが溜まりやすかったが、内面がフラット化したことで排水や汚れを残さず流すという。
本体底部の内面フラットホース | 内面フラットホースと従来の排水ホースの断面。従来の排水ホース内側には汚れが溜まりやすかった |
従来の排水ホースの内側は蛇腹状で、排水が溜まってしまう。新しい内面フラットホースでは、排水が溜まらずに流れる | 内面フラットホースの素材には抗菌剤が含まれるという |
さらに、高速風で衣類のシワを伸ばしながら乾燥する「風アイロン」機能による風を利用して、高速風で排水ホース内に残っている水を追い出すという。
なお一部の内面フラットホースを採用できない内部配管には、「2way循環ポンプ」によって水を送り込み、汚れを残さず洗浄するという。
内面フラットホースを採用できない内部配管に水を送って洗浄する、2way循環ポンプ | 高速風でホース内の排水もしっかり追い出す | 内面フラットホースを採用できない内部配管には、ポンプで水を送って洗浄する |
衛生面ではこのほか、洗濯のたびに、洗濯槽の裏側に付着する汚れを水で洗い流して、洗濯槽の除菌や黒カビを抑制する「自動おそうじ」機能を、昨年モデルから搭載している。
自動おそうじ機能は昨年から搭載している | 自動おそうじ機能が好評で、出荷台数は2倍近くに伸びたという |
自動おそうじ機能では、最終すすぎの際にドラムを高速回転させながら、槽上部に設けた16カ所の穴から水道水をシャワーで噴射して、洗濯槽の裏側などに付着した皮脂汚れや洗剤カスなどを洗い流す。また、このシャワー水を外槽の底部に溜め、ドラムを高速回転させて、ドラム外側と外槽内側の汚れも洗い落とす。
BD-V9500カットモデル | 槽上部にシャワーノズルが付属する。ここから水道水を噴射して洗浄する |
左から900回使った外槽前カバー、ドラム、外槽。茶色い汚れや糸くずが付いてしまっている | 自動おそうじは、すすぎ2から脱水にかけての工程で行なう。槽上部の16個の穴から水道水を噴射し、洗濯槽に付着した菌や黒カビの胞子も洗い流すという |
■運転時の熱を乾燥に利用する省エネ技術「ヒートリサイクル乾燥」が進化
省エネ面では、運転時に発生する熱を回収して、乾燥時の温風の熱に再利用する「ヒートリサイクル乾燥」機能を改良した。
ヒートリサイクル乾燥とは、2008年から同社のドラム式洗濯乾燥機が搭載している機能で、ドラムが作動する際にモーターから発生する熱や、高速風を発生させる「ジェットファン」の圧縮熱、ジェットファンのモーターからの伝導熱を再利用する。また、乾燥風路の途中に開閉式の吸気口「エコフラップ」を配置して、乾燥風路の一部を塞いで別の風路を開けることで、メインモーターやヒーターで温められた空気の熱も取り込む。
BD-V9500では、乾燥風路内の「エコフラップ」の形状を改良し、風路を塞ぐ力を強くして密閉性を高めた。これにより、本体内に溜まった空気の回収効率がアップし、6kgの洗濯物の洗濯乾燥にかかる消費電力量は従来の約890Whから50Wh抑え、約840Whになったという。
乾燥経路内に設けられた「エコフラップ」 | 左側が従来のエコフラップ、右側が新型エコフラップ |
新製品では、2008年から採用している省エネ技術「ヒートリサイクル乾燥」機能を改善した | エコフラップの密閉性をアップして、排熱を効率良く回収し、温風に再利用する | 本体右上部に付属する「ジェットファンモーター」で、風を発生させる |
■洗剤の種類と量を見分けて、節水性を向上
省エネ技術としてさらに、「[eco]水センサー」システムを強化した。[eco]水センサーは、「水硬度/水温/布質/布量/すすぎ具合/脱水具合」の6つのセンシングを行なう機能。BD-V9500では新たに電導度センサーを搭載し、洗剤の種類と量を見極め、すすぎを1回と2回から自動で決定できるようになった。例えば濃縮洗剤なら、自動ですすぎを1回にして節水できる。これにより、使用水量は最大で66Lから60Lへと約9%節水し、消費電力量は最大で68Whから52Whへと23%節電できるという。
「[eco]水センサー」では「水硬度/水温/洗剤/布質/布量/すすぎ具合/脱水具合」7つのセンシングを行なう | 濃縮洗剤と普通の洗剤を見極める。濃縮洗剤なら、自動ですすぎを1回にして節水できる |
■たたき洗いを効率化して洗濯時間を短縮
洗濯時間は、従来の38分から32分へと、6分短縮した。従来固定だった洗剤溶かし時間を水温や洗剤の種類に応じて変え、給水と洗剤溶かし動作、給水と洗い動作、給水とすすぎ動作をそれぞれ同時に行なうという。
洗浄機能では、“業界最大”の直径約63cm、容積約86Lのドラムの高さを活かし、洗濯物を大きな落差でたたき洗いする。また、洗剤を溶かして高い位置からシャワー状に降りかける「2way循環ポンプ」によって、節水しながら汚れをしっかり落とすという。さらに、洗濯中のドラムの回転頻度を1.2倍に増加して洗浄効果を高めた。
なおドラムの回転速度や使用水量を制御する技術として、「センサービックドラム洗浄」機能を従来に引き続き搭載している。「3D加速度センサー」と「布量センサー」で布質や洗濯物の量を見極め、布量センサーは衣類の量に合わせて水量をコントロールする。さらに、「回転数センサー」がドラムの回転速度をコントロールする。
ドラムの回転数を制御して、たたき洗いを効率化した | “業界最大”の直径約63cm、容積約86Lのドラムの高さを活かし、大きな落差で洗濯物をたたき洗いする | ドラムの回転を効率的にコントロールすることで、同時間内でのたたき洗いの回数を増やした |
このほか機能面では、時速約300kmの高速風で衣類のシワを伸ばしながら乾燥させる「風アイロン」機能も継続して搭載している。風アイロンでは、ドラム内で衣類を大きく舞い上げながら乾燥させ、高速風でシワを伸ばす。
衣類の温度が約60℃を超えないよう、低音で乾燥させるため、熱による縮みや変形を抑えながらふんわりやさしく仕上げるという。
左が「風アイロン機能」なしの場合、右がありの場合 | ゆったりとしたシャツワンピースなら、風アイロンだけでそのまま着られそうだ |
■ドラムを回さず乾燥させる機能も
また、運転中の熱を使う「ヒートリサイクル乾燥」方式と高速風で乾かす「風アイロン」機能の2つを組み合わせ、ヒーターを使わずに乾燥させる「ヒーターレス節電乾燥」機能も従来に引き続き搭載している。
さらに新製品では、ドラムの動きを止めながら乾燥させる「節電静止乾燥」を新たに採用した。ドラムの動きをストップして乾燥させることで、これまで乾燥にかけられなかったぬいぐるみや上履きも乾燥できるようになった。加えて、消費電力量も削減した。従来機種で0.4kgの洗濯物の乾燥にかかった消費電力量は約610Whだったのに比べ、新製品では約430Whに抑え、約29%節電する。
ぬいぐるみは中にスポンジは入っているため、上履きは底にゴムがはってあるため、これまで乾燥にかけられなかった | ドラムを回さずに乾燥させる「節電静止乾燥」 |
本体サイズは735×620×1,060mm(幅×奥行き×高さ)。本体重量は約88kg。ドラム容積は約86L。標準使用水量は洗濯で66L、洗濯乾燥で約49L。消費電力量は洗濯で68Wh、洗濯乾燥で約840Wh。動作時間の目安は洗濯で32分、洗濯乾燥で約165分。ドアは左開きの「BD-V9500L」と右開きの「V9500R」が用意される。カラーはシャンパンとパールホワイト。
BD-V9500本体。カラーはシャンパンとパールホワイト | ドラム内 | 操作部 |
左から順に「BD-S7500L」メタリックブラック、パールホワイト、シャンパン。「BD-V9500」のシャンパン、パールホワイト |
ラインナップとして、洗濯容量9kg、乾燥容量6kgの「BD-V5500」と、洗濯容量9kg、乾燥容量6kgで本体幅が60cmのスリムタイプ「BD-S7500」も用意される。価格はいずれもオープンプライス。市場想定価格はそれぞれ260,000円前後、280,000円前後。
日立アプライアンス常務取締役 金子友通 家電事業本部長 |
■中国でのデモの影響は今のところなし
日立アプライアンスの金子友通 家電事業本部長は、洗濯機の販売台数は堅調に推移していると報告。さらに、中国で起こった“反日本”を掲げた暴動やデモによる影響について聞かれると、「今のところ数字には出ていないが、下期は影響があるかもしれない。ただし、弊社の白物家電は中東、ASEAN地域などを中心に販売しており、目下の目標は、白物家電の海外販売比率を2割から3割に伸ばすこと」とコメントした。
洗濯機の出荷台数は、エコポイントがあった2010年や震災後の買い替え需要が増した昨年ほどではないものの、堅調に推移している | 縦型とドラム式の比率は、ここ数年ほぼ半々となっている |
(小林 樹)
2012年9月28日 00:00