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三菱電機、エアコンから冷蔵庫、テレビまで業界最多の7製品対応のHEMS

~スマート事業元年を宣言

業界最多7製品に対応

業界最大、7製品に対応した「三菱HEMS(Home Energy Management System)」

 三菱電機は、エアコンや冷蔵庫、テレビなどの家電製品に対応した「三菱HEMS(Home Energy Management System)」を12月より発売する。情報収集ユニット「HM-GW02」と、エネルギー計測ユニット「HM-EM02」がセットになっており、希望小売価格は189,000円。

 家庭での電力使用状況などを管理するHEMSの新製品。業界最多となる7製品(ルームエアコン、エコキュート、IHクッキングヒーター、換気システム、ヒートポンプ式温水暖房システム、液晶テレビ、冷蔵庫)に対応した製品で、節電目標を設定できたり、家族の予定を登録できるなど、様々な新機能を搭載する。

 具体的なシステムとしては、冷蔵庫などの対応製品の情報を無線LANを通じて専用のアダプター(別売り)を介して情報収集ユニットに集約、エネルギー計測ユニットは分電盤から家全体の使用電力量を計測、さらに水道・ガスはパルス式流量計からそれぞれの使用量を計測して、情報収集ユニットに送信する。これらの情報は市販のタブレットに専用アプリをインストールすることで、確認でき、タブレットで各機器の操作もできる。対応タブレットは、Android4.1.以上、iOS6.以上のもので、屋外からの操作には対応しない。

 なお、三菱電機の住宅用太陽光発電システムとの連携も可能で、毎日の発電量、消費量、売電量なども全てタブレットで確認できる。

左からエネルギー計測ユニット「HM-EM02」、情報収集ユニット「HM-GW02」、アプリをインストールして使う市販のタブレット
業界最多となる7製品に対応。ルームエアコン、エコキュート、IHクッキングヒーター、換気システム、ヒートポンプ式温水暖房システム、液晶テレビ、冷蔵庫
対応製品の情報は別売りの専用アダプターを使って、集約。エネルギー計測ユニットは分電盤から家全体の使用電力量を計測、さらに水道・ガスはパルス式流量計からそれぞれの使用量を計測して、情報収集ユニットに送信する
対応製品。左から、冷蔵庫、エアコン、IHクッキングヒーター、エコキュート
テレビは有線LANで接続する
ヒートポンプ式温水暖房システムにも対応
市販のタブレットで情報を確認できるほか、操作もできる
各機器の電力使用量を表やグラフで確認できる

 三菱電機では、これらの基本機能に加え、省エネと快適性を追求した便利な機能を搭載する。

 まず、省エネ性では、節電目標の数値を設定するだけで、HEMSと連携する機器を自動的に節電運転する機能を搭載。たとえば、1カ月の電気代を7,500円以内にしたいと設定しており、それを超えてしまいそうな場合、タブレット画面上で注意を促し、さらに対応機器が自動で節電運転に切り替わる。

三菱の調査によると、スマートハウスに住みたい理由の上位に省エネと快適性が挙げられていた
「電力の見える化」など、HEMSの基本的な機能に加えて、省エネ性と快適性を実現するための新しい機能を多数搭載
節電目標の数値を設定するだけで、HEMS連携機器が自動で節電運転する「節電目標設定機能」

 次に快適性の面では、家族の予定を入力すると、その予定に合わせてHEMS対応機器を設定できる「ファミリーカレンダー」機能を搭載する。これは、旅行の日程に合わせて、不在中はエコキュートでの沸き上げを停止したり、帰宅前からエアコンの予冷運転を行なうことで、消費電力量を抑える効果があるほか、帰宅時の快適性も確保できるというもの。

家族のスケジュールに合わせて各機器を設定できる「ファミリーカレンダー機能」
1週間の旅行の間、エコキュートでの沸き上げを停止すると1カ月約7%の節電になるという
エアコンの予冷運転をすると、部屋を急激に冷やす必要がなく、効率の良い運転が可能。約15%の節電効果が期待できるという

 また、事前に各機器の動作内容を登録しておくことで、各機器の一括操作できる機能も備える。「外出」ボタンを押すと「各機器の電源が一斉に落ちる」、「就寝」ボタンを押すと、「寝室のエアコンは弱運転に、リビングのエアコンは切れる」など、各部屋の家電製品の動作を一括で操作できるという。

 三菱HEMSでは、使い勝手を考慮して、部屋の間取りから各機器を操作できる「間取りコントローラー」を採用。各部屋の機器の状態が、間取りから確認できるため、一目で運転状態がわかり、操作しやすいという。

事前に各機器の動作内容を登録しておくことで、対応機器を一括操作できる
一括操作設定画面。就寝ボタンを押した時の、各機器の設定を事前に登録しておく
間取りコントローラー。間取りから機器を選択できるので、わかりやすい

 これらの自動節電機能、ファミリーカレンダー機能、機器一括操作機能、間取りコントーラーなどは、全て業界初の試みとなる。なお、三菱HEMSに対応する家電製品は、現時点では三菱電機の製品のみで、対応機種は2013年度の秋以降に発売される一部製品(テレビのみ発売済み)。また、三菱HEMSとともに、対応7製品、太陽電池パネルを全て導入した場合、初期費用は物件によっても異なるが、300~500万円程度かかるという。

三菱のスマート事業元年

三菱電機 常務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部長 梅村博之氏

 三菱電機 常務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部長 梅村博之氏は、三菱HEMSの発売にあたり「2013年度を三菱のスマート事業元年として宣言」した。HEMS発売に当たっての経緯としては、同東日本大震災以降加速しているエネルギー環境の変化や、少子高齢化の進展に対応するもので、同社の総合コンセプトである「SMART QUALITY」を具現化するものだとしている。

 また、今後の展開についても具体的なプランを発表。2013年後の本格参入を皮切りに、2014年度には、第二ステップとしてPV(太陽光発電)とEV(電気自動車)を連携したHEMS、第三ステップとして空調と換気、HEMSを組み合わせた「温度バリアフリー」の展開を予定しているという。

 PV・EV連携HEMSに関しては、既に同社の研究所にて実証実験が進んでおり、早い段階での製品化が可能だという。温度バリアフリーに関しては、同社が目指すHEMSによる快適性の追求を具現化したもので、住宅内の温度を快適に維持するというシステム。段差などをなくす従来型のバリアフリーに加えて、温度差を少なくするバリアフリーを進めることで、高齢者の負担を少なくするという。

スマートハウス関連事業進出には、同東日本大震災以降加速しているエネルギー環境の変化や、少子高齢化の進展などの背景があるという
来年以降の具体的なプランも発表した
PV・EV連携HEMSは、すでに実証実験も進んでいるとして、来年度には発売するという
三菱電機の太陽光発電パネル
EV/PV連携のパワコンも参考出品されていた
高齢者にとっては、室内の温度差が深刻な問題だという

 三菱では、これらの計画を基に、2015年度のスマート事業の売上目標として300億円を掲げる。梅村氏は「見える化だけに特化した、これまでのHEMSとは違う、きめ細かい使いやすさや快適性を実感していだけると思う。スマート事業への本格的な推進に期待していただきたい」と話した。なお、スマートハウス事業のイメージキャラクターは、三菱のほかの家電製品同様、女優・タレントの杏さんが務める。

2015年度のスマート事業の売上目標として300億円を掲げる
イメージキャラクターは女優・タレントの杏さんが務める

阿部 夏子