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電波を送受信する海水アンテナから人工衛星まで、三菱電機が未来の技術を多数展示
(2016/2/17 17:21)
三菱電機の研究開発成果披露会が同社本社で、報道陣向けに開催された。同披露会は1981年から毎年開催され、今年で33回目になるという。
披露会では、同社の執行役社長 柵山正樹氏が登壇。経営状況や、今後の成長戦略の概要、今回の披露会の位置付けを語った。
「昨今、原油をはじめとする資源の価格、為替レートや株価などが大きく変動している。こうした外部環境の変化に対応する、または影響を受けづらくするため、これまで通り、成長性や収益性、効率性や健全性などの要素をバランスを取って経営し続けます。
当社では、2020年度までに、連結売上高5兆円以上、営業利益率8%以上という目標を掲げています。この目標を達成するために、強い事業をより強く、そして新たな強い事業の創出、そして強い事業を組み合わせることによるソリューション、事業の強化に取り組んでいるところです。
最後のソリューションという意味では、現在同社の強みとなっている製品と製品、そして製品とサービスを組み合わせていく必要があります。そうした意味では、IoT(Internet of Things)というのが重要になってきます。
研究開発は、成長戦略を推進するための要。私どもは、2020年以降にも成果が出てくるような、いわゆる未来志向の研究開発も積極的に行なっています。そうした研究開発を続け、今後も世の中の動き、変化に敏感に対応しながら、短期、中期、そして長期のバランスを取りながら、成長戦略を進めていきたいと思っています。
私のスローガンである、変革に挑戦し続けて次の地平を切り拓く。そして、さらに高い次の地平を切り拓いていくために、困難な研究開発にも、しつこく取り組んでいこうと、考えております。
今回の展示では、2020年までに実用化を目指す技術と、商品化やサービス化が’20年以降になる技術とが紹介されています。ぜひご覧になっていただき、きたんのない意見を聞かせてほしいです」
PM2.5や花粉の濃度が検出できる小型の空気質センサー
開発中の空気質センサーは、最小0.3μmの粒子を検出可能。PM2.5をはじめ、ホコリや花粉などの微粒子の濃度を、高精度に検出できるという。同社担当者によれば、これまでも同様のデータを検出できる、粉じん測定器があったという。だが、粉じん測定器はサイズが大きく、価格も100万円くらいする。
今回のセンサーは、67×49×35mm(幅×奥行き×高さ)の手のひらサイズ。「身近な可能性としては、空気清浄機に組み込むことが考えられます。また、工場などホコリに敏感である必要がある場所に設置されるかもしれません」とのこと。
空間に調和するエアコンデザイン
エアコンのデザインにも注力し、住居の梁や柱、家具のように見せる新たなコンセプトが説明されていた。この新コンセプトにより誕生したのが、MSZ-FZシリーズやMSZ-FLシリーズなどの最新モデル。
担当者によると「これまでのプロダクトデザインは、機能をアピールするためのデザインが多かった」という。今回のコンセプトは、そうした機能アピールではなく、よりユーザーの居住空間やライフスタイルに目を向けようというもの。
「MSZ-FLシリーズでは、R系(赤み系)のモデルをラインナップしました。これは、消費者アンケートをしたところ、R系の家具やインテリア小物を住居に持ち込む人が多いことから採用しました。エアコンも、R系にすることで、親和性が高くなります」
また、一般的なエアコンでは、フラップの取り付けられている下部に、丸みを持たせているものが多い。これも、よりインテリアになじませるため、垂直/水平を直線にしたという。
途上国の暮らしに向けたデザイン
発展途上国、特に無電化地域で、どんな製品提案が可能なのかを探るために、円筒形の小型冷蔵庫をプロトタイプ開発。担当者によれば、「途上国で魚をバイクで行商している人に向けて開発を始めました。バイクの後ろに据え付けて、バイクから電源を取るというイメージです」
実際、複数人に使ってもらった結果、使い始めてから平均で1.5倍の魚が売れるようになったという。ただし、「冷却部にあたるフタが重いという意見が多かった」とのこと。