ニュース

シャープ、高層マンションの手すりに設置できる小型シースルー太陽電池

~カーテンウォールやひさしにも取り付け可。採光優先タイプも

 シャープは、高層マンションの手すりに設置できる透過型の太陽電池「シースルー太陽電池モジュール」5機種を、7月31日より受注生産にて発売する。価格はオープンプライス。一般向けではなく、マンションディベロッパーなど業者向けに販売される。

シースルー太陽電池モジュール。写真はマンションの外側に向ける面
こちらがマンション内側から見た面
小型モデルなど5機種を追加、従来モデルと合わせて6製品をラインナップする

 シースルー太陽電池は、薄膜太陽電池セルに細かなスリットを施すことで、発電しながら採光できる点が特徴の透過型太陽電池。同社では2012年より、1,402×1,001mm(幅×高さ)の「NA-B095AA」を発売している。

 新製品では、マンションのベランダの手すりや、軽量の外壁「カーテンウォール」や庇(ひさし)に取り付けやすいよう、サイズやパネルの透過性など、5種類のラインナップを追加した点が特徴となる。

 「NA-B07A」「NA-B07B」は、本体サイズを1,001×701mm(同)と従来機よりも小型化し、通風部分を考慮したマンションの手すりにも取り付けやすいサイズとした。また、高層マンションに設置できるよう、耐静荷重性能(一定の重さに耐えられる性能)が従来から約1.9倍に向上した。

左が従来モデル。サイズは1,402×1,001mm(幅×高さ)だったが、新製品(右)では1,001×701mm(同)と小型化。通風部分があるマンションの手すりにも取り付けられるサイズとした

 「NA-B11A」「NA-B11B」は、カーテンウォールに取り付けることを目的としたシースルー太陽電池。建築業界で広く採用されている1,200mmピッチの柱間に対応するため、配線やサッシ幅を考慮し、横幅を1,150mmとした。屋根面の窓「トップライト」としても使用できる。

 また、「NA-B07B」「NA-B11B」「NA-B14B」の3機種は、セルのスリットがより細かく刻まれているため、パネルの透過性が高い点が特徴。NA-B07A、NA-B07Bおよび従来モデルNA-B095AAの開口率は10%だが、NA-B07B、NA-B11B、NA-B14Bの3機種は開口率が20%となる。開口率20%タイプの発電量は、開口率10%タイプよりも少なくなるが、明るさは2倍になるという。

軽量の外壁「カーテンウォール」にも使えるタイプを用意した
発電量よりもパネルの透過性を重視したタイプも用意される
こちらが開口率10%タイプ
開口率20%タイプはこちら。10%タイプよりも透けており、レインボーブリッジがよく見える

 このほか、パネルを組み合わせることによるレイアウトパターンの多様性、遮熱による省エネ性も期待できるという。

 NA-B07Aの重量は約17kg。公称最大出力は46W。発電した電力は、住戸別での自家使用、マンション共用部に使用する一括受電、売電目的での使用などで利用できる。

ソーラーシステム事業本部 ソーラーシステム事業部 第一商品企画部 産業用ビジネス拡大プロジェクトチーム 経澤昌芳チーフ

 ソーラーシステム事業本部 ソーラーシステム事業部 第一商品企画部 産業用ビジネス拡大プロジェクトチーム 経澤昌芳チーフによると、太陽光発電をビルやマンションに導入する際には、設置場所の確保という課題があったという。

 「たとえば屋上の場合、緑化すると太陽光パネルは設置できないし、避難のための施設を置かなければいけない。そのため、建物の壁面やガラス面の有効活用が必要となる」(経澤氏)

 現在のところビル、マンション向けの製品となるが、今後は一般家庭向けの展開も検討するという。

 「住宅向け太陽光発電の一戸当たりの設置容量ワースト3は、東京・横浜・大阪。これは土地代が高いため、建物が小さく、屋根にいっぱい置いても稼げないため。ここに対する提案もしていきたい」(経澤氏)

ビルやマンションに太陽光発電を導入する場合、建物の壁面やガラス面の有効活用が必要という
マンションのベランダの手すりにガラスを採用している物件は増えているという

正藤 慶一