日本企業のインド家電市場参入には「プレミアム層」「中間層」が鍵――JEMA調査

 JEMA(日本電機工業会)は、国内メーカーによるインドの生活家電市場の調査結果を発表。日本企業が取るべきスタンスについて、中上位機種を購入する消費者階層「プレミアム層」、または増加しつつある「中間層」のいずれかをターゲットとすることを指摘した。

 調査結果によれば、インドの生活家電市場は、中・上流層でライフスタイルの西洋化が進行していることで、エアコンを筆頭に急速に拡大。大都市では流通チャネルの近代化が進んでいるという。その一方、インド全体では、パパママ・ショップ(家族経営の店)を中心とした、非近代的チャネル構造が大半を占めているとのこと。

 インドにおける消費者の傾向は、主に家電利用者である妻(主婦)が購入モデルの決定権を握り、テレビCMや家族・知人の勧めでメーカーを絞った後、点灯で販売員を説明を聞き、最終的に決定するという。消費者に対して行なった「購入に当たっての考え方」を問うアンケートでは、広告からメーカーのイメージを持つ“イメージ先行型”が約7割、インターネットや雑誌から情報を集めて店に行く“事前情報重視型”が約3割という結果になった。

インドの家電量販店「Croma」の出店分布。一部の都市に集まっているが、インド全体には広がっていないインドの消費者を大賞とした「家電製品を購入するにあたっての考え方」。“イメージ先行型”の回答が多い傾向にある

 日本メーカーの知名度については、韓国や米国メーカーよりも低く、また高付加価値製品に対する需要はあるものの、認知不足で一部で購入に至っていないという。なお韓国・欧米メーカーは、インドのサービス網を拡充したり、現地生産や開発の拡大を積極的に進めているとのこと。

 JEMAではインド市場について、上位機種の市場規模は限られていることに言及。中流層は増えているものの、下の方から徐々に伸びており、中・上位機種の市場が爆発的に伸びる段階には来ていないという。

 これをふまえて、日本企業が取りうるスタンスとして、2通りの方向性を挙げた。1つ目は「中上位機種が購入できる消費者階級『プレミアム・セグメント』をターゲットとし、規模を追い求めずに収益性を確保する」というもので、2つ目は「中間層『ミドルリッチ・セグメント』をターゲットとしてインドの成長力を取り込み、トップライン(売上高)を伸ばして国民的なブランドとなるスタンス」というもの。

 前者については、ブランド構築・販路拡大・価格競争力のある製品投入が同時に必要とした。また、店頭で販売支援員を配置したり、技術の先進性を示すキャッチフレーズを使った宣伝活動が重要であることも指摘した。

 後者については、プレミアム層向けから中間層向けまで揃えた製品ミックスを構築することや、コスト低減と現地ニーズの把握のため、生産・開発拠点の現地化が求められるという。また、高価な商品はブランド構築のための“見せる”ための商品とし、収益はミドル・アッパーミドルクラスの製品で上げていくのが良いとした。

インド市場における「プレミアム層」または「中間層」をターゲットとした場合の戦略





(正藤 慶一)

2012年3月1日 14:33