三洋のウイルスウォッシャーはニオイの除去が一番効果

~電解水技術の説明会を開催

三洋のウイルスウォッシャー機能付き空気清浄機「ABC-VWK14B」(左)と「ABC-VW26B」(右)
 三洋電機は、同社の空気清浄機や加湿器に搭載されている除菌機能「ウイルスウォッシャー」について、ユーザーのアンケートで脱臭能力が高く評価されていると発表した。

 ウイルスウォッシャーは、水道水を電気分解することでできた電解水をミスト状に放出し、電解水に含まれる次亜塩素酸とOHラジカルという活性酸素によって、花粉などのアレル物質やウイルス、ニオイを除去する三洋電機独自の機能。空気清浄機、加湿器、セラミックファンヒーターといった家電製品のほか、映画館や病院などで使われる業務用製品も展開されている。同社ではこうした除菌技術をまとめて「電解水技術」と称している。

 三洋電機 エコロジー技術研究所 井関正博氏は、記者説明の冒頭にて「世の中の空気清浄機の技術に、放電してイオンを飛ばす“イオン系”もあるが、私たちの技術はイオンではない。次亜鉛素酸とOHラジカルをミスト状に飛ばしている」と、他社の除菌機能との違いを述べた。

水道水中の塩化物イオンから、次亜塩素酸とOHラジカルという2種類の酸化イオンを作り出す次亜塩素酸とOHラジカルにより、ウイルスやアレル物質、ニオイ成分を除去・抑制する効果がある
家庭向けの製品では、電解水をミスト状に噴き出し、業務用の機器では電解水の膜に空気を通す「除菌エレメント」方式を採用する三洋電機 エコロジー技術研究所 井関正博氏

アンケートの結果、45%の人が「ニオイが消えた」とコメント。最も多かった
 今回三洋は、家庭向けウイルスウォッシャー搭載製品のユーザーに対し、「ウイルスウォッシャー機能で特に効果を感じたものは?」というアンケートを実施。その結果、「室内空間のニオイが消えた感じがする」が45.3%と最も多かった。

 同社ではさらに、業務用の空間清浄システム「VW-SF10C」を導入したオフィスや学校、福祉施設にに関してアンケートを行なった。業務用では「BCP(リスク管理)」目的で導入するケースが多かったが、感想では「食べ物のニオイがこもらなくなった」「ペットのニオイが劇的に減った」と、ニオイに関するものが多かったという。

 井関氏は、この結果について「ウイルスや菌は目に見えないうえ、それを吸っても体に反応はないため、なかなか効果として分かりにくい。ニオイというのは実感されている人が多い」と話す。

業務用の製品では、「リスク管理」目的で購入されるケースが多いが……感想ではニオイや空気のきれいさに関するものが多かった

 ウイルスウォッシャーの脱臭効果については、アンモニア(糞尿臭)、メチルメルカプタン(腐ったたまねぎの臭い)、硫化水素(腐った卵)を減衰させることが既に実証されている。さらに、水に含まれる残留塩素の濃度が高いほど、分解スピードが向上するということも数値で出ている。

 会場では、ウイルスウォッシャーの脱臭効果を試すため、ニラの切れ端を電解水と普通の水に混ぜ、ニオイを比較するという実験も行なわれた。この結果、水ではニラのニオイが強烈にしたが、電解水ではまったくニオイがしなかった。井関氏は、「OHラジカルは次亜塩素酸よりも酸化力が高く、臭気物質に対しても分解力が高い。しかし短命で、作り置きしておくことができない。(この実験でニラのニオイが取れたのは)次亜塩素酸による効果が高い」と説明した。

 ちなみに業務用のVW-SF10Cでは、電解水の濃度を高めて、より強力に脱臭する「パワフル脱臭モード」というものを備えているが、家庭用モデルでは搭載されていない。これについて井関氏は「ユーザーとのニーズのマッチング」としており、求める声があれば搭載できるとした。

会場では、ニラを水と電解水に混ぜたものでニオイを比べるという実験も行なわれた。水では強烈なにおいがしたが、電解水はまったく臭わなかった家庭用の空気清浄機に搭載されている「除菌電解ミスト」での脱臭実験。アンモニア、メチルメルカプタンを減衰できたこちらは業務用の「除菌エレメント方式」での効果。メチルメルカプタンと硫化水素を抑制している。また、残留塩素の濃度が高いほど、脱臭効果が高くなっている

 また、このところノロウイルスへの感染例が全国的に増えているが、三洋では電解水技術が同ウイルスに効果があることを既に発表している。これについて井関氏は「ノロウイルスは インフルエンザのように咽頭に感染するものではないが、嘔吐物が乾燥して舞うことで30~40人がウイルスに感染することもあった。手をちゃんと洗っていれば感染することはないが、万が一ウイルスが舞っても抑制できる」と、もしもの備えとして電解水技術が有効である点をアピールした。

インフルエンザウイルスのほか、ノロウイルスへの効果も実証されているこちらは肉まんのニオイがどれだけ除去できているかの実験。実験部屋は1m四方、高さ2~3mほどだったが、まったくニオイは感じられなかった



(正藤 慶一)

2010年3月11日 17:12