【特別企画】

価格別・今すぐ役に立つ空気清浄機購入ガイド

by 正藤 慶一


花粉症対策の家電といえば「空気清浄機」。店頭にはたくさん並んでいるため、どれを買って良いか迷ってしまいがち
 3月に入り、街にはマスクを装着している人が多く見かけられるようになった。花粉症の季節が本格的にスタートしたようだ。読者の中でも、花粉対策のために、空気清浄機の購入を検討している人も多いだろう。

 しかし、一口に空気清浄機といっても、店頭には非常に多くの製品が並んでいる。価格も千差万別で、どれを買ってよいものか迷ってしまうだろう。

 そこで今回は、「生活家電購入ガイド」として、価格別に機能や性能の違いをまとめ、「この値段があれば、これができる」ということを明らかにしてみたい。花粉対策に有効な「空気清浄機」を、の傾向をまとめてみた。製品選びのお役に立てれば幸いである。

 参照にした商品は以下の表の通り。表にはメーカーの商品案内ページと、Amazon.co.jpの販売ページ(アフィリエイト)のリンクを設定している。なお、本稿における価格はすべてAmazon.co.jpにおける3月3日時点の価格(新品、マーケットプレイス含む)を参考にしている。そのため、量販店など店頭での価格、または現在の価格とは差がある点はご了承いただきたい。

[ →参照した商品一覧(ポップアップで開きます) ]


基本スペック「適用床面積」で、価格に差が出る


各社ともさまざまなタイプの空気清浄機を出しているが、鍵を握るのは「適用床面積」だ(写真はシャープの空気清浄機)
 空気清浄機を選ぶうえで、まず最初に見なくてはいけないのが「適用床面積」。店頭の値札やパンフレットでは、「●畳まで」と書かれているものだが、これが空気清浄機としての基本性能となる。

 たとえば適用床面積が13畳までの製品を、30畳の広いリビングで使っても、期待通りの効果は得られない。当然ながら適用床面積が30畳以上の製品の方が適している。これを逆手に取れば、適用床面積が17畳の製品を6畳の部屋で使うなど、あえて狭い部屋で使うことで、清浄スピードを早くするということもできる。つまり、適用床面積の値が高いほど、能力が高い、ということになる。

 それだけに、適用床面積は価格を大きく左右する。国内大手家電メーカーの空気清浄機における実売価格の平均を見ると、適用床面積20畳未満が約1万6千円、20~30畳未満が約2万6千円、30畳以上が約3万5千円と、それぞれのクラスで約1万円の差がある(実売1万円以下、除湿機能付きは除く)。要は、狭い部屋なら安く済むが、広い部屋の場合はそれなりの額になるということだ。

[ →適用床面積別の商品一覧]


1万円以下:フィルターのみの個室向けの商品

 高い製品なら3万~4万円もする空気清浄機だが、フィルターで空気の汚れを取るだけの標準的な製品なら、1万円未満で簡単に買えてしまう。

 もちろん前項で述べたように、価格が高ければ高いほど適用床面積も広くなるため、この価格帯の製品はリビングよりも個室で使用するものになる。また、空気清浄機能も、集塵・脱臭フィルターという、ごく基本的な組み合わせになる。上位機種で搭載されているようなHEPAフィルターなどもないため、機能にこだわる人には向かない。あくまでも、スポット的な使い方になるだろう。

[ →1万円未満の商品一覧]


加湿機能、除菌機能は1万円から。パワーを考えれば2万円台がお勧め

この冬、一気に勢力を伸ばしたのが「加湿空気清浄機」(写真は三洋電機「ABC-VWK14B」)
 1万円台になると、後述する加湿機能や除菌機能を搭載する機種が多くなってくる。しかし実使用を考えると、2万円台の製品の方が効果は高いだろう。

 というのも1万円台の製品は、適用床面積は基本的に狭い(平均で約15畳)。一方の2万円台は、平均で24畳と広め。広い部屋で使ったり、よりパワフルに空気清浄したい場合には、こちらの方が良いのは間違いない。まずは2万円のラインから候補を選んでおくと良いだろう。

[ →1万円台の商品一覧]
[ →2万円台の商品一覧]

 さてこのクラスでは、新型インフルエンザウイルスの流行により、この冬一気に売上を伸ばした「加湿空気清浄機」が購入できる点も特徴だ。

 加湿空気清浄機は、その名の通り加湿機能を備えた空気清浄機で、使っているだけで空気をキレイにしながら、空気まで潤せてしまうというシロモノ。空気清浄と加湿が1台で同時にできるため、設置スペースを省けるというメリットがある。また、湿度を高めることで、花粉やウイルスの活動を抑制したり、鼻や口の粘膜を潤す効果も期待できる。

 もちろん、一般的な加湿器同様、加湿用のフィルターは手入れが必要だが、中には10年間交換を不要とするものもある。購入前には、加湿フィルターの項目をチェックしておきたい。


 さらに、空気中の花粉をはじめとするアレル物質を、フィルターではなく、空気清浄機に搭載された各社独自の技術で除去する“除菌技術”を備えたモデルも多い。

 これらの除菌機能は、メーカーによって名称や性質も異なる。「プラズマクラスター」「ナノイー」「ウイルスウォッシャー」「光速ストリーマ」な ど。広告で見たことがある人も多いだろう。いずれも大学の研究室など第三者機関によって効果が検証されており、中には2009年に流行した新型インフルエ ンザのウイルスに効果があるものも存在する。フィルターだけでは心許ない、花粉などアレル物質対策も徹底したいという人には良いだろう。

 最近では、シャープの「プラズマクラスターイオン発生器」や、パナソニックの「ナノイー発生器」など、除菌機能単体の製品も出てきた。これらイオン発生機には集塵用のフィルターは付いていないため、本体自体に花粉を漉し取る機能は備えていない点は念頭に置いておこう。

2万円以上の高級ゾーンでは、各社独自のイオン機能を搭載した機種がほとんどとなっている(写真はダイキン工業「うるおい光クリエール MCK75K」)除菌効果のあるイオンを発生する「イオン発生器」というものもある。集塵フィルターは付いていないため、厳密には空気清浄機とは異なる(写真はシャープ「プラズマクラスターイオン発生機 IG-B100」)

2万台後半~4万円台:各社の最高級モデルが続々登場

パナソニックの最高級モデル「うるおいエアーリッチ F-VXE65」は、床上のハウスダストも吸い込める点が特徴
 2万円台後半から4万円にかけては、各社のフラッグシップ(旗艦)モデルが続々登場。適用床面積が30畳前後、加湿機能や除菌機能はもちろん、各社独自の機能を搭載しているのが特徴だ。

 たとえばシャープ「KC-Y45/65/80」では、壁に沿って空気を循環する「ななめ20℃気流」を搭載。部屋の遠くにまで風を届けることで、隅々まで空気を循環する効果がある。またパナソニック「F-VXE60/65」では、前面のパネルを開いて、床面30cm上のハウスダストも吸い込める「メガキャッチャー」機能も備えている。つまり、普通の製品では届かないところの空気までキレイにしてくれるというわけだ。

 さらにいえば、10年間のフィルター購入が不要になるなど、メンテナンスを容易にするものも多くなっている。

 適用床面積の平均は約30畳と、当然だが数値が大きいものも多く、ワイドリビングでの使用に対応している。これよりも狭い部屋で使えば、よりパワフルな空気清浄が可能になるだろう。

[→2万円後半~4万円台の商品一覧]

4万円以上:加湿+除湿もできる最高級の空気清浄機


最高級クラスになると、加湿も除湿も1台でできる高性能な空気清浄機もある。写真はダイキン工業の「クリアフォース」
 さらに高級な空気清浄機もある。加湿に加えて除湿もできる“除加湿空気清浄器”だ。現在、ダイキン工業の「クリアフォース」、日立の「クリエア7」という2製品が市場に登場している。

 この除加湿空気清浄機、冬場に使う加湿器と、夏場に使う除湿器の両機能が搭載されているということで、1年間中使える点が特徴。そのため、設置台数が減らせるうえに、収納の手間も省くことができる。要は“全部入り”の空気清浄機だ。価格は高額だが、これを一台買っておけばすべて用が足りてしまう。予算に余裕があり、かつどれを購入すれば迷った場合には、候補に加えてみてはいかがだろうか。

[→加湿+除湿機能付きの空気清浄機一覧]