アイリスオーヤマ、実売8千円の「緊急地震速報機」

~就寝時の聞き逃しを抑制

緊急地震速報機 EQA-001

 アイリスオーヤマは、FMラジオから流れる緊急地震速報を大音量で知らせる「緊急地震速報機 EQA-001」を、8月21日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は8,000円前後。

 気象庁によるFMラジオの「緊急地震速報」を利用した地震速報器。この緊急地震速報では、地震の初期微動(P波)をキャッチし、震度5弱以上の震度が予想される場合、強い揺れ(S波)が始まる時間と震度をテレビやラジオ、インターネットなどで知らせることで、地震の被害を抑制することを狙っている。

 

本製品が動作する仕組み。FM局が放送する緊急地震速報のチャイム音を検知すると、本体のスピーカーからラジオの緊急地震速報が流れる仕組みになる
 本製品は、ラジオから流れる緊急地震速報のチャイム音を自動的に検知し、地震速報時のみ音量を上げ、最大85dBの音量で、本体のスピーカーからラジオの 緊急地震速報を流す仕組みになっている。これにより、ラジオやテレビがOFFの状態でも緊急地震速報が分かるため、地震の強い揺れが直撃するまでの数秒間の間に避難するなど、被害の軽減に役立てられるという。なお、待機時はFM放送の音声はOFFになる。

 同社によると、緊急地震速報は就寝時などでテレビやラジオなどをOFFにしている際に聞き逃してしまう恐れがあることから、本製品を開発したという。8月11日明け方に発生した静岡沖の地震でも「ほとんどの方が就寝中で、速報を聞いた人はほとんどいなかった」(アイリスオーヤマ ホームエレクトロニクス事業部 事業部長の安陪弘之氏)という。

本製品では、初期微動を元に強い揺れの到達時間、震度をあらかじめ知らせる気象庁の緊急地震速報を利用しているしかし、夜中や早朝の時間帯ではテレビやラジオの電源がOFFのため、緊急地震速報に気づかずに、地震の揺れに対し無防備となることが多いアイリスオーヤマ ホームエレクトロニクス事業部 事業部長 安陪弘之氏
使用前には、あらかじめ受信局を設定する必要がある。同社では民放局を設定するよう指示しているが、これはNHKでは自分が住んでいる地域以外の地震速報も流す可能性があるため本体裏面。選局ボタンで局を選択し、セットボタンを押して準備完了本体背面は、ACアダプターの接続口とアンテナというシンプルなつくり
本体正面の「監視中」ランプが青く光っているのが、正しい待機の状態警報が流れると、ランプが赤になる

 また、緊急地震速報対応機としては実売8千円という購入しやすい価格も特徴となる。安陪氏は価格にいて「一般的な装置では、インターネットに対応するた めのデバイスや部品が必要になるが、本製品は基本的にFMラジオ。唯一、中心部のチャイム音の検知部のみが高度に作られているが、そのほかは汎用部品で作 られているため、ここまで安い商品にできた」としている。契約料、月額使用料、管理費は不要。電気代の目安は月額約9円となっている。

 本体サイズは160×106×38mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約262g。FM受信バンドは76~90MHz。消費電力は3Wで、待機時は約0.8W。電源はACアダプター。


緊急地震速報が本製品から流れているようす。ラジオの音がそのまま流れる

 緊急地震速報について安陪氏は「地震時には、家の中、家の近くで負傷するケースが多いが、東京大学の調査によると、地震の大きな揺れが発生するまでに猶予時間2秒あると、致命的なけがから回避できるとされており、10秒もなると90%の人が十分な避難ができるという調査がある。人間はなかなか瞬間的に行動ができないが、猶予時間があればきちんとした備えができる」と述べ、本製品の有効性を主張した。

大きな揺れが起きるまでの猶予時間が長ければ長いほど、十分な避難ができ、負傷の危険性も少なくなるという猶予時間から見た、地震時の怪我をしない確率。たった2秒の猶予時間でも、致命的な怪我から回避できるという
FMラジオにて緊急地震速報を流している地域。一部非実施もあるが、ほとんどの都道府県で実施されている今度30年以内に地震が起こるとされている地域とその確率


2009年8月19日 18:38