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コーヒーやペットの粗相も! カーペットに付いた汚れを「スイトル」掃除機ヘッド
2017年2月22日 00:00
シリウスは、カーペットなどに水を噴射しながらガンコな汚れを吸い取る、水洗いクリーナーヘッド「スイトル
キャニスター型掃除機に取り付けて使う水洗いクリーナーヘッド。モーターなどは非搭載で、掃除機のホースの先にスイトル付属のホースを接続し、掃除機の電源を入れて、床を水洗いできるようにする。こぼしたコーヒーやペットの汚物などが、カーペットや畳についてしまったときに、部分洗いをするのに適している。
本体内部の水タンクと、汚れを吸い取った汚水タンクは分離されており、キレイな水を噴射する。吸い取った後も、特許技術「アクアサイクロン技術」により、汚水と空気は遠心力で完全に分離し、掃除機にはキレイな空気だけが戻るという。また、掃除機本体に水が漏れないよう設計されている。
コーヒーもジャムもキレイに吸い取る
会場ではスイトルを使った実演も行なわれた。コーヒーやジャム、カップヌードルといった固形物をこぼしたカーペットがどれくらいキレイになるのか、スイトルで実験。
水を吹きつけながら汚れを吸い取るため、汚れた部分に数回ノズルを往復させるだけで、カーペットはキレイになっていた。カップヌードルをこぼしたときの固形物を吸い取るときは、ノズルを床から浮かせて吸引する。固形物がなくなったら、ノズルを床にすべらせて汚れを取り除く。
水の噴射はON/OFFの切り替えが可能。床がキレイになった後にカーペットに水が残っている場合は、水の噴射をOFFにして水を吸引する。
ジャムの汚れを取り除く実演時に、水の噴射がOFFになったまま使用してしまい、なかなかカーペットがキレイにならないというハプニングもあった。しかし、水噴射をONにして再度使用すると、カーペットの汚れはすぐにキレイになり、水を使うことの重要性を感じさせられた。
タンクに入れられる水の量は500ml。40℃以下であればお湯にも対応する。汚水タンクの容量は600ml。
本体サイズは、148×506×283mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は1.6kg(ホース含む)。適用する掃除機は、吸込仕事率170W以上のキャニスター型。27~42mmの丸型菅に接続可能。
20年以上も水掃除の研究をしてきた川本氏による特許技術
スイトルの仕組みとなる「アクアサイクロン技術」は、20年以上も水掃除の研究開発を行なっている、有限会社 川本技術研究所 代表の川本 栄一氏が考案。水を吹きつけながら吸い取るノズルの機構、汚水と空気を完全分離する特殊なファンなどを開発した。図面を引かず、感覚と手作業で試作を繰り返す、独自の技法を用いている。特許は、日本・中国・米国で取得済み。
シリウス 代表取締役社長 亀井 隆平氏は、スイトルの製品化について以下のように語った。
「欧米では水を使った掃除機が製品化されていますが、日本にはまだありません。それは、汚水と空気を完全に分離する技術がなく、安全面に不安があるからです。スイトルでは、水洗い掃除機を研究してきた川本技術研究所の技術により、その問題をクリアしました。まだ、家庭で使われている掃除機は、キャニスター型が主流です。スイトルは、そうした既存モデルと競合するのではなく、共存する製品です」
開発にあたり、最大の課題は汚水が掃除機本体に漏れないようにすることだったという。スイトルでは、外気から取り込んだ空気を「逆噴射ターボファンユニット」で、吸引と逆方向の風を起こして、空気の壁(エアシール)を作ってこの問題をクリア。壁伝いにしみ上がってくる汚水を押し戻して侵入を防ぐ。
何度も実験を重ね、今のところ掃除機に水が漏れたことはないという。万が一、スイトルを使ってから掃除機本体が壊れてしまった場合は、掃除機の保証もシリウスが行なうとしている。
20~70代で構成された世代を越えたプロジェクト。クラウドファンディングは1日で目標達成
スイトルは、2016年10月にクラウドファンディングで募集を開始。1日で目標金額100万円に達し、終了時には1,160万円の資金を調達している。
開発チームは、元三洋電機のメンバーで設立した家電メーカー「シリウス」が中心となり、技術考案や製造、プロダクトデザインなどの分野ごとに、6つの企業が連携して製品化に至った。
技術考案を担当した「有限会社川本技術研究所」は、ノズルの機構や、空気と汚水を完全分離するスイトルの原理試作を制作。
こうした試作機をもとに、細かいデザインは、プロダクトデザインを手掛ける「イクシー株式会社」が担当し、設計や製造を、金型や樹脂成型などを行なう「ユウキ産業株式会社」が担当する。
「私たちの開発チームは、20代から70代までが集まり、世代を越えたプロジェクトになっています。それぞれの得意分野を担当し、製品化に至りました。スイトルに限らず、今後も継続して製品を開発していきます」(シリウス 亀井社長)