長期レビュー

ヤマハ「PAS Brace-L」 その1

~速くて力強い! スポーツタイプの電動アシスト自転車
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ヤマハ「PAS Brace-L」(2010年モデル)

 家電Watch編集部から「貴様は自転車野郎でありかつ電動モノ大好き野郎でもあるゆえ、スポーツタイプの電動アシスト自転車を試しなはれ」風なメッセージとともに、ヤマハの電動アシスト自転車「PAS Brace-L(パス ブレイス エル)」が送られてきた。ニャ!! 赤い!! ニャわいい!! 軽快に走りそう!! 今スグ速攻でこの電動アシスト自転車に乗り、長期レビューを書いてゆきたいッ!!


メーカーヤマハ発動機
製品名PAS Brace-L(パス ブレイス エル)
希望小売価格149,800円

 ヤマハの電動アシスト自転車「PAS Brace-L」は、ヤマハPASシリーズ電動自転車のなかで最もスポーティーなモデルだ。より軽快に、より速く、より効率良く走れる、てなイメージ。買い物に便利とかお子様の送り迎えとかそーゆー方向性は、ほぼ持たないと思われる。街中を颯爽と走ったり、気分良くサイクリングするのに向く電動自転車ですな。ともあれ、まずは写真とともにBrace-Lの特徴を見ていこう。

クロスバイク的なスタイル。カラーはレッド(写真)、メタル、ブルーイッシュブラック、クリスタルホワイト(2010年モデルの新色)。車両重量は23.5kg(ワイヤロック0.3kgを含む)フロントにはサスペンションを装備。路面の凸凹から受ける衝撃を吸収するので、状態の悪い路面を走っても疲れにくい。ちょっとした段差なんかもシュイッと越えられる感じですなセミスリックタイヤを装備。一般的なタイヤよりも転がり抵抗が少ないので、よりスピードに乗りやすくスピードが落ちにくい。率直なところ、非常に軽快な乗り味だったりする
フロント側はディスクブレーキを装備。速く走れる重い電動自転車をキッチリ制動してくれる。また、写真にあるようにクイックレバーを採用していて、容易に前タイヤを外せるリア側はVブレーキクイックレバー式なので工具を使わずにフロントタイヤを外せる。ので、クルマへの積み込みや狭い場所での保管も現実的。しかし「輪行(自転車を持って電車などに乗り込むこと)」は計23.5kgの車両重量ゆえキツい
ハンドル部。左側にメインのコントローラがあり、中央には白色LEDライト、右のハンドルグリップは変速グリップとなっている。一文字のバーハンドルがスポーティーな印象。コントローラー部。アシストレベルは[HIGH]と[LOW]2段階。[AUTO ECO](オートエコモードプラス)も用意するヤマハ独自のアシスト機構「S.P.E.C.8(スペックエイト/ShiftPosition Electric Control×内装8段変速)」を搭載。8段変速機構がアシスト機構と連動し、最適なアシスト力へと自動調節される
内装8段変速なので、このようにギア部分はシンプル。変速機構自体には汚れも付かないので、基本的にはメンテナンスフリーだ。ていうか内装で8段って凄いっすね角度調整付アヘッドステムを搭載。ステムの角度を六角レンチ1本で変えられるので、ハンドル高を手軽に調節可能。走行ポジションの調整をより手軽に行なえる駆動機構周辺。人力による駆動も電力による駆動も、後輪となる。チェーンカバーが付き。ちょい見えにくいが、ダウンチューブにはボトルケージを取り付けられる
サドル部。サドル高は820~1,000mmの間で調節できるサドル自体はやや幅広/柔軟なものを採用しているクイックレバーでサドルの高さを調節できる

 てな感じのBrace-L。電動アシスト自転車としては、いわゆるアシスト新基準に対応した自転車で、人がこぐ力と電動アシスト力の比率が最大で1:2になる。言わば推進力は3人分ですな。2008年11月以前の旧来の基準の倍のアシスト力が得られる電動自転車である。

 なお、ヤマハPASシリーズには「L」が付かない「PAS Brace」がある。違いは、「PAS Brace-L」が25.2V/8.1Ahのバッテリーやディスクブレーキを装備していて車両重量が23.5kgなのに対し、「PAS Brace」はバッテリーが25.2V/4.0A(容量が半分)でディスクブレーキはナシだけど車両重量が22.2kg(ちょい軽い)というあたりですな。

 さて、そんなBrace-Lだが、とりあえず乗って走ってみた印象としては、力強さと速さ。ほかの電動アシスト自転車にも乗ったことがある拙者なんですけど、「こんなにグイグイ坂上れるモンだったかな?」「こんなに加速したんだっけか?」的な。ナゼだろう? ポジション? それとも8段変速だから?

 Brace-Lはパワフルで楽しいニャ、みたいな好ましい第一印象を得た拙者だったが、直後に好ましくない印象も得たのであった。それは重さ。ほか多くの電動自転車も同様だが、Brace-Lは重いのであった。純粋な車体重量が23.2kgもある。今時的電動自転車全般においても軽くはない車体重量ですな。前述のように力強くてスイスイ走るBrace-Lゆえ、そのギャップから、気分としては「スゲく重い」てな感じだ。

 ただ、重い=バッテリーが切れたら走るのタイヘン、てことではない。てのはBrace-L、内装8段変速だから。低めのギア比でペダルを踏めば、アシスト機能がオフであってもフツーに走れる。ので、「買い物しにBrace-Lで隣町に行ったけど、電池が切れて帰りは物凄く疲れた」ということにはならない気がする。重さが問題となるのは、クルマへの積み込や玄関への階段を上がるために「Brace-Lを手で持ち上げる」ようなケースだろう。

 余談だが、Brace-Lに限らず、電動自転車の重さを体感すると、非電動の自転車に増して「対人賠償保険」への加入が必須だと感じる。たとえばBrace-Lなどの電動自転車はフツーに時速25kmくらいの速度が出る。電動自転車って20kgくらいの重さはありますな。重量20kgの物体が時速25kmもの速度で歩行者にぶつかったら……想像すればいかに危険かがすぐわかる。

 てか、自転車に乗っていなくても、ランニング中に人にぶつかったらタックル状態であって、フツーに相手に怪我をさせることは容易に想像できる。それを考えたら、足で走るよりず~っと速く走れるわ、金属製だわ、重いわの電動アシスト自転車に乗るなら、歩行者などの他者に大ダメージを与える恐れのある乗り物を運転中ってことを忘れちゃいけませんな。

 でも人間、忘れたりウッカリしたりするので、万が一の保険(怪我させちゃった人にお支払いするための対人賠償保険)も必須だと思うし、ほかにも自転車に乗る場合に注意してほしい事柄が多々あるが、どんどんBrace-Lレポートと関係なくなってきたので、そのあたりは場を改めて、また。

 ということで、Brace-Lのザッとした特徴や使用感を見てきたが、次回はさらに走り込んでみての印象をレポートしてみたい。引き続きご愛読よろしくお願いいたします~。



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2011年4月1日 00:00