長期レビュー

ヤマハ「PAS Brace-L」 その2

~軽やかかつスピーディな走行、サイクリングが楽しい!
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ヤマハ「PAS Brace-L」(2010年モデル)

 ヤマハ電動自転車「PAS Brace-L」の長期レビュー2回目。今回は、この電動自転車に一週間ほど乗って感じたことを中心に書いてみたい。なお、第1回目のレポートはこちら

 前回で「Brace-Lは力強くて速い感じで、グイグイ坂上れるし、加速もいい、ような気がする」てなコトを書いた。書いておきながら、内心、「久々に電動アシスト自転車乗ったからそう思ったのかもしれニャい」などとも考えていた。んだが、率直なところ、やっぱりこのBrace-Lは「速い感じがする」のであった。

 ぶっちゃけ、すぐにスピードが出るんですよBrace-L。これは最高速度が高いって意味ではなくて、短時間である程度の速度が出る~速度が維持されやすいということですな。スムーズかつクイックに加速し、そのスピードが落ちにくいという印象。非常に軽快な走りをする。

 この「速さ」は、Brace-Lが持ついろいろな要素が相互的に作用してのことだと思う。が、拙者的にハッキリわかる要素としては、セミスリックタイヤとフレーム剛性、それからペダルを踏みやすいポジションがある。これらが「速さ」に直結していると思う。

タイヤは直径26インチで1.5インチ幅のセミスリック。適正空気圧は40~65psi(280~450kPa/2.8~4.5BAR)。MTBっぽい仕様ですなパターンはこんな感じ。雨天には向かない!? やや高めの空気圧で乗っているが、非常にスムーズに転がる。走行時の音も静かだ空気を注入するためのバルブは英式バブルとなっている。ママチャリを中心に(日本では)最も多く使われている一般的なバルブですな

 まずセミスリックタイヤだが、フツー的なタイヤと比べると明らかに転がり抵抗が低く、スピードが落ちにくい。ペダルを踏む脚を止めても惰性で長く走り続けるので快適。ただ、セミスリックなので、恐らく濡れた路面だと若干滑りやすく、砂利道や泥道も苦手だと思われる。

 また、Brace-Lの車両重量が23.5kg(ワイヤーロック0.3kgを含む)と重いことが「速さ」を後押しているようにも思う。23.5kgって自転車としては超重い部類に入るが、Brace-Lは電動自転車。この重量があってもラクに速度を出せる。重い自転車でいったん速度が出ると、セミスリックタイヤの転がり抵抗の低さもあり、たとえば多少の向かい風なんかでも速度が落ちにくい。

 それからBrace-Lのフレーム剛性の高さ。グイグイとペダルを踏んでもフレームがグニグニとたわんだりしにくい。ので、こぐ力がロスされずにシッカリと駆動力になっていると感じる。また、剛性のあるフレームだと安心してスピードを出せるという点でも気分がいい。ブレーキ(とくにフロントのディスクブレーキ)もよく効いて安心感がありますな。

フレームはこんな形状。ママチャリと乗り比べると即わかるが、非常に剛性が高く、ちょっとやそっとじゃ「たわまない」のだすぐに25km/h以上出ちゃう自転車なので、ディスクブレーキの制動力が有り難い。バッテリー位置など重心の低さゆえの安定感もある内装8段は非常に快適。力強く加速することも、ラクに回すことも可能なので、トータルでは疲れにくいように思われる

 走行ポジションを細かく調節できるのもポイントだと思う。Brace-Lの適応身長のめやすは157cmとなっている。この仕様以前に、身長180cmの拙者はBrace-Lを見た瞬間「あ、小さすぎて乗れないかも……乗れても疲れちゃうかも」と思った。が、サドル高を82~100cmの間で調節でき、角度調整付アヘッドステムでハンドル高を変えられるので、わりとフツーに乗れちゃいました拙者でも。もうワンサイズ、フレームが大きいほうがいいが、これでも疲れない走行ポジションで乗ることができた。調整幅が広いのはツブシが利いてイイですな。

 あと楽しいのが内装8段変速機構。坂道などならギアを1~3段あたりにしてペダルをクルクル回して上り、平坦な道ならギアを6~8段あたりにして力強くこいでスピードを出す、てな使い方をする。で、8段あると、ほとんどのシチュエーションで非常に効率良くペダルを踏むことができるのだ。要は無理な踏み方をする前に変速して脚にかかる負荷を調節できるので、疲れにくいわけですな。さらに電動モーターのアシスト力でサポートされるので、10kmや20km走っても全然疲れなかったりする。

 ま、疲れないことはほかの電動自転車も同様だが、Brace-Lの場合は前述のように「速い感じ」だし「スピードが落ちにくい」のであり、ポジションや8段変速といった要素もあって、走行時間や走行速度と肉体的疲労のギャップがミョーに大きくて不思議な感じ。たとえば「あんなスピードで1時間以上走ったのに全然ヘーキだし♪」みたいな。

 楽しいと言えば、フロントサスペンションフォークもプチ楽しい。道路の小さめの段差などを通ってもハンドルにガコン!! とショックを伝えないためのサスペンションですな。

フロントはサスペンションフォークとなっている伸縮することで路面の凸凹から来る衝撃を吸収するアジャスターによりサスペンションの硬さを調整可能

 サスペンションフォークの使い心地は上々で、凸凹多めの道を走っても手などにショックが伝わりにくく疲れにくい。乗り心地の良さという点では、サドルも幅広で柔らかめなのでお尻も疲れにくいという印象ですな。

 それとサスペンションに関して、体をうまく使えば10~15cmくらいの段差なら乗り越えられるという利便もある。「段差はヤだな~」が「段差越えちゃうゼ♪」となるような楽しさとも言える。ただ、後輪はサスペンション無しで車体重量も重めなので、無理な走行をすると後輪にダメージがありそうだ。ともあれ、サスペンションフォークがあるため、さまざまな路面をより快適に走れることは間違いない。

 てな感じのBrace-Lだが、大雑把な話、非常に軽やかかつスピーディに走れるので、サイクリングが非常に楽しい。電動自転車ゆえ何しろラクに走れる。長距離でも長時間でもかなりラク。拙者の場合だと、「ちょっと買い物を」と数キロ離れたショップに出かけたつもりが、市内一周偵察サイクリング的なことを、既に3度くらいしちゃってる。1~2時間程度はフツーに走り続けられるのだ。距離なら30~50kmくらい涼しい顔でイケちゃう。長時間走れて、遠くまで行けて、疲れにくい自転車。これは、純粋に楽しい。

 もし可能なら、この軽快な走行感とラクさをゼヒ体験して欲しい。自転車で遠出することの良さ楽しさを、難なく苦もなく味わえると思う。ともあれ、次回までにさらにBrace-Lを使い込んでみて、できるだけ細かくその使用感を書いてみたい。引き続きご愛読よろしくお願いいたします~



その1 /  その2  / その3



2011年4月8日 00:00