長期レビュー

ダイソン「エアマルチプライアー」 最終回

~衛生的で安全、設置も容易
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 ダイソンの「エアマルチプライアー」長期レビュー第3回目。最終回となる今回は、この扇風機独自の使用感やメリットについて見ていきたい。なお、第1回目のレポートはこちら、2回目はこちら

ダイソンの「エアマルチプライアー(Air Multiplier)」。写真は直径25cmタイプで、カラーはサテンブルー。このほかにホワイトもある直径30cmタイプ。このタイプのカラーはホワイトのみとなる

 当初、エアマルチプライアーは単に新しいギミックとデザインがウリの扇風機であろ~程度に考えていた。が、実際に使っているうちに、このギミック/形状の扇風機だからこそのメリットが感じられた。

 たとえば掃除がラクなこと。てゅーかですね、エアマルチプライアーは汚れにくく、汚れが付く箇所も少ないんですよ。

 フツーの扇風機だと、まず羽根のフチに汚れが付きますな。それから網状の羽根カバーの部分。あら汚れた。ホコリの塊が付いた。じゃあ掃除……ん~カバー取り外すの面倒だニャ~、てなコトになりがち。1シーズンずっと掃除しないってケースも多いんではないだろうか。

このような形状なので、そもそも汚れが付きにくい風が吹き出す部分も汚れにくい。また、汚れても分解などすることなしに掃除できる本体下部にある吸気部は若干汚れがち。ただ、この部分も布巾やブラシでスッと掃除できる

 上の写真のように、フツーの扇風機とくらべたら遙かに掃除がラクなエアマルチプライアー。なので、いつもキレイ……というだけではない。ホコリなどの汚れをすぐ除去できるので、衛生的に使える扇風機だとも言える。従来型の扇風機だと、掃除しにくい→掃除をサボる→羽根やカバーに付いたホコリが飛んだりして比較的に不衛生、てなわけですな。

 それから安全性。羽根などの回転する部分が露出していないエアマルチプライアーは、動作中に触れても問題ない。もちろん普通の扇風機でも、まあ相当無理をしなければ、動作中に触れて怪我をするということはないが、エアマルチプライアーは「どうやっても怪我なんてデキナイ」ってくらい安心感がある。

動作中に触れても手などに風が当たるだけ怪我などのトラブルが非常に発生しにくい形状/構造なのだ一般的な扇風機と比べると、エアマルチプライアーは軽量。安定性はあるが、比較的に倒してしまいやすい扇風機と言えるかもしれない。この点だけ注意ですな

 安心感はマジ痛感しましたよ。拙宅、猫飼ってるんですけど、猫が(普通の)扇風機やサーキュレーターに近づくと、いつも少し心配になる。猫ちゃんのニャわいい尻尾が扇風機のカバーの隙間から入って羽根に当たったら……的に。

 エアマルチプライアーにはそういう心配が一切ない。そもそも上記のようなトラブルが考えられない形状/構造なので、猫などのペット、あるいは小さなお子さんのある家庭にて安心して使えるだろう。

 あと、気楽に使えるということも実感した。拙者だけかもしれないが、普通の扇風機って、周囲にモノを置いちゃダメとゆーよーなアタマがある。たとえば扇風機の近くにメモとかヒモとかティッシュの箱とかを置くと、それらが不意に羽根に巻き込まれてトラブルに、というプチ危険なイメージがあった。

 エアマルチプライアーの場合ももちろん、その風で飛んでは困るモノを本体近くに置かないとか、本体下部の吸気口が不意にナニカで塞がれないようにするなど、使用には常識的な範囲で注意が必要だ。が、普通の扇風機のように、高速で回転する羽根に何かが巻き込まれるようなことが起こり得ない。やはりこの“リスクの少ない形状”は物理的に安全。安心して使える。

 それから設置の自由度も高いと感じられた。まず、本体の台座部がわりと小さいこと。直径15.5cmの円柱を置けるスペースがあれば設置できるのだ。フットプリントが狭いんですな。また、風が吹き出す部分の奥行きも短いので、狭い場所にでも意外と置けちゃったりする。ツイデに、網カバーのような存在がナイので、向こうが見えたりも。

普通は扇風機など設置できない場所ですな。エアマルチプライアーの後ろにはインターホンや風呂のリモコンがあるが、この状態でも操作できるし表示が見える

 壁にスイッチや操作パネルがあったり、何かの表が貼ってあったりしても、その手前にエアマルチプライアーを置けるんですな。フットプリントの狭さと合わせて、やはり設置場所の自由度が高い扇風機だと言えよう。

 てな感じで、従来の扇風機と比べるとさまざまなアドバンテージが見えてくるエアマルチプライアー。外観も機能性も安全性もナカナカのものだが、しかし、やはり、高価ですな。ダイソンのオンラインストアでは、25cmタイプが37,000円、30cmタイプが39,000円。んむむむ~。

 この価格なら、願わくは、もっと静音で動作可能だったり、風量をさらに落とせたりあるいは増やせたり、リモコン(無線)が使えたり、タイマーがあったり、転倒時に自動停止したりなど、さらなる機能/性能が欲しくなるところ。壁掛けタイプも欲しいですな。ともあれ、扇風機として考えると、ちょいと手をだしにくい機能/性能/価格のバランスである。

 ただ、前述のように安全性が高く、衛生的でもあるエアマルチプライアー。お子さんやペットのある家庭ならペイするかもしれない。また、外観もステキなので、オフィスや店舗などでの導入も現実的だろう。ともあれ“突飛なデザインだけ”の扇風機ではなく、実用的な部分を多々もつ製品なので、やはり一度実機に触れてみてほしい。



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2010年4月23日 00:00