ダイソン、羽のない扇風機「Air Multiplier」を国内発表

~25cm径が37,000円、30cm径が39,000円前後

 ダイソンは、羽のない扇風機「Air Multiplier」を11月2日に発売する。25cm径、30cm径の2モデルが用意され、希望小売価格はオープンプライス。店頭予想価格は25cm径のモデルが37,000円前後、30cm径のモデルが39,000円前後。25cm径モデルではサテンブルーとホワイトの2色、30cm径モデルではホワイトのみ用意される。

「Air Multiplier」。25cm径のモデル。カラーはサテンブルーホワイト
30cm径モデル。製品本体本体側面操作部。中央のツマミは風の風量を調節するもの
製品の説明を自らのプレゼンテーションで行なうジェームズ・ダイソン氏

 都内で開催された発表会では、ダイソンの創業者で会長の、ジェームズ・ダイソン氏が製品のプレゼンテーションを行なった。

 羽のない扇風機、という今までの常識を覆す発想は、同社が過去、開発したハンドドライヤーがヒントになったという。「ハンドドライヤーのノズルからは、吸い込んだ空気よりはるかに多い量の空気を回りから巻き込んで吐き出すことがわかった。この効果を使って、羽のない扇風機を作ろうと思い立った」(ダイソン氏)

 羽の代わりとなるのは、環状のパーツ。ここから風を生み出すのには、飛行機が飛ぶ原理を利用している。

従来の扇風機の問題点を指摘するダイソン氏ファンで風を起こす従来の扇風機は風にムラがあると指摘するAir Multiplierのアイディアの元になったという同社のハンドドライヤーのプロダクトモデルを手に原理を説明する

 その仕組みは、まず土台部分にあるモーターで風を起こす。その風を環状のパーツに流す。環状のパーツには直径1.3mmの穴が空いており、ここからその空気が出る。キモとなるのは、環状のパーツの形状。飛行機の翼のように非対称な形になっており、モーターからの空気が流れる部分の空気圧が低くなるように設計されている。環の内側が空気圧が低くなることにより、外側から空気を引き込む。引き込まれた空気は円柱型になり、スピードを伴って流れるため、またさらに外側から空気を取り込む、といった具合だ。「モーターで起こした風量は、吹き出す風量のわずか7%。残りの93%は外側から取り込んだ空気」という。

風の発生部羽がない構造のため、中央部には何もない状態になる環状のパーツの断面図。非対称な形になっている

 モーターが羽のそばにある一般的な扇風機と異なり、モーターを土台の部分に置いた、重心の低い作りになっているため、多少のことでは倒れないのもこの設計の利点。また、羽がないため、掃除の手間もなく、子どもが指を挟まれたりする心配もないという。

 一般的な扇風機と同様に、土台部分が動き、首振りが可能。また環の部分は上下に傾け、調節できる。

モーターは土台部分に搭載されている土台部分は手動で調整可能

首振り運転している様子

 風量は25cmタイプで毎秒405L、30cmタイプで毎秒450L。「モーターで生み出した空気を増幅させる仕組みを取るため、消費電力も40Wと低い」としている。

 実機を体験してみると、同じくらいの大きさの一般的な扇風機と比べると、風量は少なめで、リビングというよりはデスクやテーブルサイドで使用するのに向く製品と感じた。


風量の強さを試してみた。スカーフは風に舞うもののそれほど強くはなかった

 

製品のカットモデルを手にしたダイソン氏
 なお、冬も迫るこの時期になぜこの製品を発表したのか、という記者の質問にダイソン氏は「開発が終了したのがこのタイミングだったから。私はビジネスマンではなくデザイナーなので、販売時期がいつがいいかとは考えていない」と答えている。




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2009年10月16日 18:30