長期レビュー
日立「圧力スチーム 極上炊き 蒸気リサイクル RZ-JV100K」 その3
前回は内釜や多彩なメニューそして、特徴的で便利な少量ボタンをご紹介した。今回の検証は、保温性能と洗いやすさについてだ。男性はスペックに目を奪われ洗いやすさを見落としがちだが、毎日使う生活調理家電だけに重要なポイントだ。ちなみに長期レビューの第1回はこちらから、第2回はこちらからチェックしてもらいたい。今シーズンの炊飯器のトレンドをまず知りたいという人はこちらから。
■毎日使うものだから洗いやすさも重要なポイント
毎日ご飯を食べるだけならいいが、必ず洗う必要がある。朝がパン食という家庭なら1日1回、朝がご飯という家庭なら最低でも2回洗う必要がある。ここでは洗いやすさを実際に検証してみたい。
この炊飯器で毎回洗わなければならない部分は、次の3点だ。
まずは内釜。これを洗わない人はさすがにいないだろう | フタは、その下にオートスチーマがあるため2つに分解して洗う必要がある | 蒸気排出口には、水蒸気が還元された水が残るが、一応これも毎回洗うパーツの1つだ |
マニュアルによれば、蒸気排出口も毎回洗うよう指示されているが、湯気も少なく水蒸気がわずかに残る程度なので、実際の家庭では毎回洗ったりはしないだろう。
内釜の洗いやすさは、従来機とまったく同じ。注意すべきポイントは、食べ終わった食器を流しに片付けるとき「絶対に内釜の中に入れないように!」と家族に徹底させるだけだ。いくら強力なゴールドフッ素加工とはいえ、お皿の底が擦れては寿命を縮めてしまう。
白いレバーを引き上げると簡単に取り外せる |
フタは二重構造になっていて本体から取り外すときは、写真のレバーを解除する。この状態では2つが分解することはないので、片手で流しまで持っていける点は便利だ。
次にもう1つのロックを解除すると、2つに分解できる。あまり汚れていないように見えるが、炊飯中のオネバがココまで上がってくるので、使い終わったら必ず分解洗浄するようにしたい。
圧力をかけるボールを覆っている部分は分解できないため、やや洗浄しづらいが、1カ月使ってみて汚れがこびりついて歯ブラシでこすらないと落ちないということはなかった。さっと水を流す程度で十分だろう。フタには小さな溝や突起などはなく、洗いにくい部分は見当たらなかった。
蒸気排出口は、軽く引き抜くだけで本体から分離できる。ただこのとき、内部にたまっていた水が流れ出てくる場合があるので、完全に抜く前に、水しずくを切ってやるようにしたい。排出口は、流しに持っていき、レバーを解除すると2つの部品に分かれる。
ボールを覆っている樹脂は外せないので、ここは少し洗うのが面倒 | 排出口の分解は本体から引き抜くだけ | こちらも手前のレバーを押すと2つに分解できる |
内部には、湯気を冷まし水に還元するための通路が設けられている。しかし作りが大きく、さほど深くもないのでスポンジが届かないということはない。そもそも、前述したとおりこのユニットまでオネバが上がってくることはないので、軽く水で流すだけでも十分だろう。
排気口内部は作りが大きいので、複雑な形だが洗いやすい | オートスチーマ(フタ)も突起がなく洗いやすい |
これまで見てきたとおり、圧力式の炊飯器にしては洗いやすさ抜群と評価できる。また洗浄後の組み立ても非常に簡単で、分解したパーツは組み合わせるだけで自動ロックされる。メカが苦手な人でも戸惑うことなく元通りにできるはずだ。
本体や内釜を入れる部分も突起などは少なく、フキンなどで簡単に汚れ掃除ができる。特にボディー上部はプラスチック、側面ステンレス製になっているため、汚れもつきにくく、汚れても簡単に落とせるのは◎。
スチーマや蒸気排出口にたまった水があふれ出てくるときがあるので注意 | 炊飯後、保温せずに電源を切ってしまうと、内釜の脇にある溝に水がたまる |
ただ1点気になったのは、炊飯後に電源を切り半日ほどすると、スチーマが効かないため内部に水がたまってしまう点だ。さほど放置しなければ、水は内釜の脇にある部分にたまるが、半日置いておくと内釜まで水が流れ込んでしまい、ごはんがべちょべちょになってしまう場合もある。炊飯後は、電源を切らずに保温モードにしておくことをお勧めする。
■最長40時間保温も可能だが普段使うのは12時間モード
保温機能は、次の2つがある。
【保温1】
低めの温度で保温し、最長40時間まで可能
【保温2】
高めの温度で保温し、最長12時間まで可能
保温1は、炊き上がりから40時間まで可能となっているが、これは明らかにオーバースペック。だって朝6時に炊き上がったご飯を、翌日の夜の10時に食べられるってことだ。保温できるのはいいが、そのご飯を食べる気になるか? という問題がある(笑)。
お勧めのモードはやはり保温2だろう。家族の帰宅時間がマチマチになるといっても、12時間を越えることはない。これなら18時に子供たちがご飯を食べても、24時に帰ってきたお父さんもおいしくご飯が食べられる。
保温1は低めの温度で保温し、最長40時間まで可能 | よく使うのは「保温2」。熱々のご飯が最長12時間まで食べられる。 |
しかも保温2は、炊きたてぐらいにホカホカなご飯なので、炊き上がりと遜色ないほどだ。
写真は朝6時に炊いたご飯。10時間経過した16時に食べてもおいしく食べられる | お米の拡大。色の変化もなく、まだまだおいしくいただける |
しいて言えば10時間保温したあとのご飯は、炊き上がりに比べわずかにパサ付く程度。硬いご飯が好きな人であれば、こちらのほうがおいしいとさえ感じるかも知れない。
■確かに早いがあくまでも緊急手段――快速炊飯
これまでにも、ちょこちょこと名前が挙がった快速炊飯だが、実際をお見せしよう。ここでは「子供のお弁当を作ろうと思ったらご飯がない!」というシチュエーションで、1合を快速炊飯してみる。
炊飯ボタンを押してから4分も経つと、蒸気が出はじめる | 炊き上がり3分前は、付着した蒸気がかなり大きな水滴になる | ここまで水滴が大きくなると、自然乾燥するまでかなり時間がかかる |
もっとも大量に湯気がでるのは、炊き上がった瞬間だ。それまで閉じていた圧力バルブを炊き上がった瞬間に開放するため、透明なケースは湯気で真っ白に!
バルブを開放するゴン!という音とともに大量の湯気が立ち上がる | 炊き上がりの具合。確かに1合分だ |
しかし快速炊飯は、炊飯時間をかなり優先せているためやや固めのアルデンテの仕上がりになってしまうのが難点。
ただ前日にお米を研いで十分に水分が染み込んだ状態なら、もう少しおいしくなるかも知れない。
■簡単でおいしいピラフも楽々!
と、ここまで製品の基本的な使い方や保温、快速炊飯などの使い方をじっくりとご紹介してきた。最後に、番外編としてピラフや温泉卵のレシピを紹介しよう。というのも、RZ-JV100Kを使うと子供も大人も大好きなピラフも簡単に作れる。炒めたりする必要がまったくなく、脂も一切使わないのでヘルシーなピラフになる。
材料はミックスベジタブルにえび、塩とコショウにスープの素 | えびやミックスベジタブルから水分が出るので、水の量は若干控えめ(4号なら線より3mm程度下)にする | 以前に作った豚の角煮と、そのゆで汁を使ったスープも添えて。ちょっと和洋が混じっているが、それが家庭料理だ!(笑) |
作り方は簡単だ。少なめの水とお米を用意して、具材を放り込んでいくだけ。味はスープの素と、塩コショウでOK。お好みでしょうゆを一刺しするとコクが出る。
ここでは「ふつう」モードで炊飯したが、極上モードでもいいだろう。
■日立ごじまんの温泉たまごモード!
温泉たまご作り器は数あれど、外側の白身が固まってしまったり、生卵に近いものだったりと、市販品のようにうまくいかない。しかし最近の日立の炊飯器には、「温泉たまご」メニューが多く搭載されているようだ。そこで、ご自慢と思われるそのできを見てみた。
白米の2合のラインまで水を入れる | 冷蔵庫から出したたまごを放り込む。最大10個までOK | 「調理」メニューの「温泉卵」を選んで、時間をセット。1個でも10個でも30分でいい(5合炊きの場合) |
あとは30分待つだけだ。どうやら温泉卵モードにすると、水温を微妙に調整しているようだ。ポイントは、できあがったらすぐに水につけること。これを忘れてしまうと、余熱で火が入ってしまい硬くなったり、最悪ゆでたまごになってしまう。
できあがったらすぐに水につけるのがポイント。これはマニュアルにも掲載されていないポイントだ! | 見ての通りパーフェクトな温泉たまご! 白身も黄身もトロトロだ |
タレは市販のうどん汁の素を使えばOK。これはぜひ試してみる価値があるだろう。たくさん作って冷蔵庫に冷やしておけば、おつまみにもなるし、子供のおやつにもピッタリだ。
さて今回まで3回にわたってご紹介してきた日立の炊飯器だが、明らかに今まで使っていた炊飯器で炊いたご飯と味が違う。そして排気口から出る湯気の少なさに圧倒された。筆者の奥さんはコレを買おう! と言って聞かないが、他のメーカーの製品もレビューしてみなければ分からない。次回からは、パナソニックの炊飯器を検証してみよう!
2009年10月26日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)