長期レビュー

日立「ビッグドラム BD-V3100」 その2

~高い洗濯機を買って本当にモトが取れるのか
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「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



日立「ビッグドラム BD-V3100」

 「ビッグドラム BD-V3100」のロングレビュー第2回目は、劇的に変わった消費電力にスポットを当てて、気になる「実際の電気代」を考えてみたい。

 BD-V3100は、乾燥に使う熱を効率的に再利用する「ヒートリサイクル機構」を採用し、消費電力量を従来機の半分近くとなる980Whに一気に下げた。この機構こそが、これまで省エネ性能の面で2番手グループだったビッグドラムを先頭集団に押し上げたのだ。

 では、その新型ビッグドラム省エネ性能は、いったいどれほどのものなのだろうか。購入直後に、ビッグドラムのコンセントをワットチェッカーに差し込み、3カ月間観測した。

家族3人、毎回乾燥して電気代は月733円

 我が家は大人2人、子供1人の3人家族。3カ月間で1日平均1.5回、洗濯~乾燥まで標準モードで使用した。

 結論から言うと、累計消費電力量は100kWhになった。電気代換算だと2,200円。1カ月あたりの電気代は733円、1日あたりで24.4円ということになる。

 月733円。こう言われると、「けっこう高くないか?」と思うのが正直なところだろう。733円で受けられるほかのモノ、サービスと比べて高いか安いかは、読者諸氏の判断に任せたい。ただ、この金額をどう評価するにしても、このBD-V3100の洗濯~乾燥までの消費電力量「980Wh」は、このジャンルの製品としてトップクラスの数字である。もし不満を持つようであれば、乾燥機能を使わずに、自分で干すしかない。

 ここで、この省エネ性能をもっとマクロな視点で見てみよう。仮に乾燥機能を必須の条件とした場合、問題は安価な洗濯乾燥機と比べた場合に、どのくらい使えば初期費用の差を回収できるかという点だ。

 そこで、今回の実測データに加え、同じ日立アプライアンス製で、縦型洗濯乾燥機の最高級タイプ「ビートウォッシュ 湯効利用 BW-D9JV」(実売138,000円)と、その下位のシリーズに当たる縦型洗濯乾燥機「白い約束 NW-D8JX」(実売84,800円)と、のスペック値を用いて、初期費用と電気代の推移を計算したものが下のグラフである。

 なお、このデータは厳密なものではない。乾燥容量がBD-V3100が6kg、NW-D8JXが4.5kg、BW-D9JVが7kgになっている ため、必然的にBW-D9JVが不利、NW-D8JXが有利なデータになる。厳密でないものをあえて計算した理由は、初期費用の差がどのくらいで埋まるの かという目安を提供したいからだ。

今回レビュー中の「ビッグドラム BD-V3100」縦型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ 湯効利用 BW-D9JV」。日立の縦型洗濯乾燥機では最高級に当たる同じく縦型洗濯乾燥機の「白い約束 NW-D8JX」。左の「ビートウォッシュ」のひとクラス下に当たるシリーズだ

縦軸が購入費用と電気代の和。横軸が洗濯回数。約3,000回洗濯したところで、81,800円の「NW-D8JX」との価格差が埋まる。実際には水道代の差も出てくるので、1日1回利用した場合で、7~8年で回収できるのではないか

 結果から言うと、実測値ベースで約3,050回、スペック値ベースで約3,670回使うと、初期費用分の元が取れることがわかった。1日1回ペースで使ったとすると、約8~10年ということになる。前述の通り、乾燥容量がBD-V3100の方が大きいこと、さらに水道代を含めていないため、実際にはもっと少ない回数となることだろう。

 8~10年というと、ちょうど買い換えサイクルにぴったり当てはまる数字である。しかも、その間、より多くの機能を使用できるわけだから、決して損ではない。

 そもそも、「やっぱり洗濯物は日干しが一番! 乾燥は使わないよ」ということであれば、ドラム式は選択肢から外したほうがいい。ドラム式洗濯乾燥機が高価な理由は、先端の省エネ性能、もっと限定してしまえば乾燥時の省エネ性能を追求していることが最大の理由。乾燥を日常的に使ってこそ、投資を回収できるのだ。

洗濯9kg、乾燥6kgまで入るドラム毎回の乾燥量はこんなもの。ジーンズも含んでいるので5kg程度だろう

 ちなみにこれまで使っていた2006年の「NA-VR1100」と消費電力量を比べると、ほぼスペック通りの差が出た。NA-VR1100は1,450Wh、BD-V3100は980Wh。BD-V3100の実測値平均がおおよそ750~800Wh程度。NA-VR1100の実測値は1,190Whだったので、ほぼ3割減といった感じだ。

乾燥時の消費電力は約800W乾燥工程の最後5分は、送風運転となり消費電力が下がる洗濯から乾燥までの消費電力量は730Whだった

 今回の検証の結論としては、実力通りの省エネ性能といってよいだろう。ただし、無理して買い換えるかどうかは、何年使うかという買い換えサイクルと、そもそも乾燥機能を使うのかという2点を再度、確認する必要がある、といったところだろうか。

 なお、今回は定量的な条件の下での試験ではなく、あくまで「洗濯から乾燥までを、電気代を気にせず使った場合」の数値である。当然のことながら、衣類や家族構成が変われば、結果も大きく変わることだろう。あくまで参考値であることをお断りしておきたい。

 次回はいよいよ誰もが気になる、乾燥性能について見てみたい。



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2009年5月21日 00:00