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そこが知りたい家電の新技術
日立アプライアンス 洗濯乾燥機「ビッグドラム BD-V1」

Reported by 清水 理史

ビッグドラム BD-V1
 ドラムのサイズを可能な限り大きくする、考え方としては至ってシンプルだが、ドラム式洗濯機のさまざまな問題を解決することができる、この画期的な技術を採用した日立の洗濯機「ビッグドラム」。この技術にたどり着いた経緯について開発陣に話を伺った。





最終的にたどり着いた答え、それが「ビッグドラム」

日立アプライアンス株式会社 家電事業部 家電事業企画本部 事業企画部 部長代理の三好庸一氏
 ドラム式洗濯乾燥機では後発の部類に入る日立。その日立が満を持して市場に投入したのが直径60cmと、大型のドラムを採用した洗濯乾燥機「ビッグドラム BD-V1」だ。

 ドラム式洗濯乾燥機の普及は2000年頃から始まったが、現在に至るまで日立はいわゆる縦型の洗濯機を中心に製品をラインナップしていた。その中にはビートウォッシュなどの個性的な製品も含まれるが、自社開発によるドラム式洗濯乾燥機の投入は今回の「BD-V1」が初となる。では、なぜドラム式洗濯乾燥機を今まで投入しなかったのか。

 「ドラム式洗濯乾燥機自体の開発は2000年前後から着手していましたが、従来の縦型洗濯機と比べたときに、どうしても洗浄力や仕上がりが落ちる点に懸念がありました」。日立アプライアンス株式会社 家電事業部 家電事業企画本部 事業企画部 部長代理の三好庸一氏は開発当初を振り返ってそう語った。

 実際、ドラム式洗濯乾燥機の登場当初、さらには現在に至っても、インターネット上の掲示板などで「今までより汚れ落ちが悪い」、「ふんわりとした仕上がり感に欠ける」、「糸くずがとれない」などといった意見が見られる。このような不満を解消し、洗濯乾燥機の基本性能を向上させるために、同社は5年間に渡る技術開発を行なってきたことになる。

 特に同社がこだわったのは洗浄力だ。ドラム式の洗浄方法は、ドラムによって洗濯物を持ち上げ、上からたたきつける「たたき洗い」となる。「洗濯物をなるべく高く持ち上げれば、それだけたたきつける力が強くなります。つまりドラムを大きくすることで、この距離(直径)を確保しようと考えたわけです」(三好氏)。


大きなドラムを支える難しさ

大型ドラムを支える「ツインアクションサス」
 こうしてたどり着いたのが「ビッグドラム」という答えだったわけだが、この大きなドラムという発想を製品化するには相当な苦労があったという。そもそも、ドラムが大きいということは、洗濯物を入れて回転させたときの振動も大きくなる。最大の課題は、この振動をどう抑えるかにあった。

 ドラム式洗濯乾燥機の構造は、上からバネでドラムをつり下げると同時に、下からもサスペンションでドラムを支えるという構造になっている。ドラムの回転を押さえるなら、単純にサスペンションの強度を上げれば良いと考えがちだが、そうではない。

 「洗濯中の振動は一様ではありません。回転がはじまった当初は振動が大きく、回転が安定してくるに従って振動は小刻みになるが回数は増えてきます。例えるなら、はじめの大きな振動はラリーカーで悪路を走破する場合で、後者はリムジンで舗装路を走るようなものです。よって、悪路に適した固いサスペンションと舗装路に適したやわらかいサスペンションの両方の特性を同時に備える必要がありました」(三好氏)。

 固いサスペンションと柔らかいサスペンションを共存させる。言葉にすると簡単だが、実現は難しい。そこで、自動車機器を製造する日立製作所オートモティブシステムグループと機械研究所の協力を得た。つまり、自動車の技術を洗濯機に投入したわけだ。


製品名にもなった大型のドラム(右) 大きな投入口で衣類の出し入れがしやすくなっている
ドラム表面

ビッグドラムなのにコンパクト

奥行きは60cm
 このようにさまざまな技術の集結によって誕生したビッグドラムだが、ドラムが大きいメリットは前述した洗浄力だけに限らない。

 ドラムが大きいと、ドラム内で衣類が広がりやすく、重なりを少なくすることができる。これにより、乾燥時間を短縮することができるうえ、衣類のしわも少なくすることができるようになっている。洗濯乾燥機に求めるユーザーの大きなニーズは洗浄力と乾燥後の仕上がりと言えるが、大きなドラムによって、この2つを同時に実現できているわけだ。

 また、ビッグドラムによって、本体サイズをコンパクトにすることにも成功している。ビッグなのにコンパクト? と疑問に思うかもしれないが、実際にBD-V1の本体を見れば一目でわかる。確かに60cmという大きなドラムを搭載していることから横幅は695mmと大きいが、縦横だけで十分な洗濯容量を確保できるため、本体の前後の奥行きが600mmしかないのだ。

 一般的なドラム型洗濯乾燥機の場合、奥行きは700mm前後の場合が多く、メーカーによっては600mm前後のスリムタイプが一部ラインナップされてはいるが、この場合、洗濯、乾燥容量が少ない(洗濯6.5kg/乾燥4kg前後)。BD-V1は、もともと洗濯9kg、乾燥7kgと他社製のドラム型洗濯乾燥機に比べてワンランク上の容量を実現できている。容量を確保しながら奥行きが狭いというのがポイントだ。

 「BD-V1の奥行き600mmというのは、一般的な家庭の洗面台の奥行きとほぼ同じサイズとなります。このため、設置したときにスッキリと収まるうえ、フタを開けたときの作業スペースも十分に確保できます」と三好氏が言うように、一般的な奥行き570mmの防水パンにもすっきりと収まる。防水パンから出っ張る部分もなく、室内のスペースを損なわないようになっている。ガーネットなど一見派手に見えるカラーリングもダーク系の室内配色が施されたデザイナーズマンションなどに馴染むように設計されており、デザインという点も見逃せない特徴の1つだ。

 もちろん、ドラムの大きさに頼るだけでなく、ビートウォッシュで採用していた「ナノミセルシャワー」技術の採用で、ドラム上部から洗濯物に水をかけ、より高い洗浄効果を得られるようにしたり、スーパーナノチタン消臭などの機能も搭載されている。


操作パネル
洗剤投入口
乾燥フィルター

糸くずフィルター
【動画】ドラムによる叩き洗いだけでなく、上から水をシャワーをする(WMV形式, 607KB)

理想は「たたむまで自動の洗濯乾燥機」

 では、今後、ドラム式洗濯乾燥機はどのような方向に向かうのだろうか?

 三好氏によると「すでに洗って、絞って、乾かすというところまで洗濯乾燥機で可能になっていますので、今後の理想は『たたむ』までできるようになることです」と語る。自動的に洗濯物をたたむというとちょっと想像しにくいかもしれないが、要するに洗濯乾燥の終了後、ドラムから出してすぐに、タンスにしまえる状態にすることだと考えれば良いだろう。

 現状の洗濯乾燥機はかなり技術が進歩したとは言え、乾燥の部分でまだ天日による自然乾燥に及ばない点がある。洗濯乾燥機によって、しわのほとんどない自然乾燥に匹敵する乾燥までできるようになるのが理想の姿と言えそうだ。





URL
  日立アプライアンス株式会社
  http://www.hitachi-ap.co.jp/
  製品情報
  http://kadenfan.hitachi.co.jp/wash/release/200611/index.html

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2007/02/19 00:00

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