【特別企画】

「エコポイント制度」について知っておきたいこと [2010年5月版]

by 正藤 慶一

 この記事は、2010年11月末までのエコポイント制度について解説しています。2010年12月以降の付与ポイント減額についてはこちらのリンクをご覧ください。


新しいエコポイント制度のマーク

 2009年5月から開始している「エコポイント制度」。省エネ性能の高い「冷蔵庫」、「エアコン」、「地デジ対応」のテレビの購入者にポイントが付与され、商品券などに交換できる制度だが、この4月より若干だが制度が変更された。



 とはいっても、もともとのエコポイント制度が何たるかをそもそも知らない、という人も多いだろう。そこで今回は、「『エコポイント制度』について知っておきたいこと[2010年版]」として、制度の簡単な概要を紹介してから、変更点を解説しよう。

 また、この5月でエコポイント実施より1周年を迎えることから、どれだけのポイントがどのように交換されてきたか、といった利用状況にも触れていきたい。


対象品目は変わらず「エアコン」「冷蔵庫」「地デジ対応テレビ」の3点


量販店の値札近くにある星マークが4個、5個以上の地デジ対応テレビ、冷蔵庫、エアコンがエコポイントの対象となる
 エコポイント制度での対象となる品目は、従来に引き続き、“統一省エネラベル”が4つ星以上の「エアコン」「冷蔵庫」「地デジ対応テレビ」の3点。統一省エネラベルとは聞き慣れない言葉だが、製品の省エネ性能の高さを5つ星で評価する業界の統一基準のこと。量販店の値札に描かれている★マークがそれだ。言い換えれば“省エネ性能の格付表”ということになる。
エコポイント対象製品となる地デジ対応テレビ冷蔵庫も対象商品エアコンもエコポイント対象となる

 まとめれば、上記3ジャンルのうち、量販店の値札に「★★★★」、「★★★★★」のマークが付いてある商品を購入した場合のみ、エコポイントが貰えることになる。「★★★」の製品を買おうと思っている人、そもそもエアコンも冷蔵庫も地デジ対応テレビも購入予定がない人は、残念ながらエコポイント制度にはまったく縁がないということになる。

 ちなみにこの統一省エネラベルは定期的に基準が改定され、この4月には、地デジ対応テレビの省エネ基準がより厳しく改定された。そのため、それ以前に星4つだった製品が、4月1日からは星3つに降格となったケースもある。ただし、2010年度のエコポイントの対象期間である12月31日までは、基準の改定は3ジャンルとも行なわれない予定。「来月になって★が1つ減っちゃったらどうしよう……」なんてことは、当面のところはない。

 省エネ家電の購入で貰えるエコポイントは以下の表の通り。このポイント数についても、従来からまったく変更がない。
【エアコン】
冷房能力エコポイント
3.6kW以上9,000点
2.8kW以上7,000点
2.2kW以下6,000点
買い換え
旧製品を
リサイクル
プラス
3,000点
【冷蔵庫】
容積エコポイント
501L以上10,000点
401~500L9,000点
251~400L6,000点
250L以下3,000点
買い換え
旧製品を
リサイクル
プラス
5,000点
【地デジ対応テレビ】
サイズエコポイント
46V型以上36,000点
40V~42V型23,000点
37V型17,000点
26V~32V型12,000点
24V型未満7,000点
買い換え
旧製品を
リサイクル
プラス
3,000点

 それじゃ何も変わらないじゃない……と思いたくなるが、実は事務局への申請手続きや、ポイントと交換で貰える商品など、3点の大きな変更点がある。ここからはそれについて説明していこう。

【変更点 1】 面倒くさい申請を手伝ってくれる「ゴールドサポート販売店」

 省エネ家電の購入により入手したエコポイントは、同社ホームページにて公開されている申請ページ、または量販店で配布されている申請書を送付することにより、エコポイント事務局が選定した商品と交換できる。基本的に1ポイント=1円のレートとなり、商品券やプリペイドカード、省エネ型の製品や地域の名産品などさまざまな商品が用意されている。詳細についてはエコポイントホームページのサイトで公開されているリスト、または本文最後に紹介する例をご参照いただきたい。

 申請方法は、インターネット申請の場合だと、住所や購入した製品の品番を入力し用紙を印刷、そこに保証書のコピー、領収書原本、家電リサイクル券の排出者控えのコピー(リサイクルした場合)を申請書に貼り、事務局へ郵送する、というものになる。インターネット申請とはいいながら、郵送する必要があるのは、正直なところ面倒臭い。

申請には、申請書に加え、領収書原本、保証書のコピー、家電リサイクル券の控え(リサイクルした場合のみ)が必要になるインターネット申請のスクリーンショットインターネット申請した後、印刷した用紙に領収書などを貼り付けて、事務局へ送付する

エコポイントの申請を手伝う「ゴールドサポート販売店」制度が、新たにスタートした
 しかし今年からは、この申請を手伝ってくれる制度が導入された。これが「ゴールドサポート販売店」制度だ。

 このゴールドサポート販売店では、そのお店でエコポイント対象製品を購入した場合に、申請書の作成や必要書類の作成を手伝ってくれて、さらに交換商品の説明もしてくれるという店舗だ。つまり、ゴールドサポート販売店で購入すれば、それ以外の店で買うよりも、簡単にエコポイントが申請できる、ということになる。

 対象店舗はエコポイントのホームページから確認できる。家電量販店もちろんだが、街の電気屋さんもゴールドサポート販売店となっているケースが多いよう だ。近所のお店が入っているか、一度チェックしてみると良いだろう。 [→ゴールドサポート販売店一覧]


「エコポイント申請サポート販売店」というのもあるが、これはあくまで問い合わせや相談に応じる店舗のこと
 注意しておきたいのは、「ゴールドサポート販売店」のほかに、「エコポイント申請サポート販売店」というのもある。このサポート販売店は、“問い合わせや相談に応じる”店舗のことで、事務局のホームページを見る限りでは、ゴールドサポート店舗のように申請を手伝ってくれる店ではない。ややこしい話だが、購入する予定の店がゴールドサポート店であるか否かは、一度確認しておきたいところだ。

 まとめると、エコポイントの恩恵にはあずかりたいが、申請が面倒くさいという人は、ゴールドサポート店舗で購入するのが良いだろう。

【変更点 2】 LED電球など、店頭での商品交換のレートが半分に


店頭でLED電球など省エネ商品に交換する際のレートが半額になった(写真は東芝のLED電球「E-CORE」)
 今回の新エコポイントでは、もう1つ大きな変更点がある。今話題の省エネ電球「LED電球」が安く入手できるところだ。

 エコポイント対象製品を購入した店舗では、獲得したエコポイントを使って、店頭でLED電球や電球型蛍光灯、ニッケル水素充電池といった省エネ形の製品と、その場で交換することもできる。この現物での交換は昨年も行なわれていたが、今年は交換レートが半分になった点が特徴だ。

 例えば昨年度までは、4,000円のLED電球と交換する場合には、エコポイントが4,000点必要だった。しかし今年度からは、これが2,000点で済むようになった。要は、交換レートが半分になった、ということになる。

 LED電球は長寿命でかつ省電力を特徴とする、省エネでかつ省資源型の家電製品。ただし、安くても2,000円台からという価格は、100円程度の白熱電球、1,000円未満の電球型蛍光灯と比べると高く、なかなか手を出しにくい存在だった。それが、このエコポイントを使えば、半額で入手できてしまうというわけだ。

 この現物交換のメリットは、すぐに商品が手に入る点も特徴。商品券などを申請した場合は1~2カ月以上はかかってしまうところを、エコポイント対象製品の購入したその場で交換できる。いちはやくその恩恵にもあずかれるのだ。

 注意したいのが、交換できるのは前述の「ゴールドサポート販売店」および「サポート販売店」に限られるところ。また、交換商品は店頭に並んでいるものになるため、その店で在庫がない商品は交換できないも気を付けたい。

 なお、今回はLED電球を例に挙げて説明したが、電球形蛍光灯、充電式ニッケル水素電池についても、交換レートが半額になっている。

【変更点 3】 申請状況がネット上で確認できる

 最後の3点目は、パソコンや携帯で、エコポイントの申請状況が確認できるというもの。前項でも述べたとおり、申請から商品の到着までは1~2カ月以上掛かる。そのため、ちゃんと申請が進行しているのか不安になることもあるかもしれないが、その進捗具合が確認できるというわけだ。

 ただし、確認できるのは申請書投函から約3週間後と待たされる。もしかしたら、確認できるようになったと思ったら、もう商品が届いている、なんてこともあるかもしれない。まあ、あくまでも“なかなか届かないな~”といった不安を解消するためのセーフティネットと割り切った方が良いだろう。



 2010年度のエコポイントにおける変更点は以上だ。基本的にはあまり変わっていないが、全体的にはよりポイントを利用しやすい環境になったということがいえそうだ。


【利用状況】 大多数がテレビ購入者、ほとんどが商品券に交換

 さて、めでたくエコポイント対象商品を買ってポイントを得た後に、それを何に交換するのか悩む人もいるだろう。そこで、これまでにエコポイントを獲得した人たちが、一体何に交換しようと申請したのかを確認してみよう。

 調査ソースは、経済産業省が毎月公開している「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業の実施状況について」という資料。エコポイントがスタートした2009年5月15日から2010年4月末日までの利用状況が掲載されており、これを見れば、エコポイントがどのように使われているかは一目瞭然だ(5月18日公開)。

 これまでに発行されたポイントは、発行件数が1,227億1,949件、ポイント数は1,935億4,399万点。目安としては1点=1円だから、約2千億円相当のエコポイントが発行されていることになる(数値は個人申請のもので、法人は除く。以下同じ)。

エコポイントの申請状況。テレビの申請数が圧倒的に多い(4月末時点)

 申請の内訳は、件数で見れば、地デジ対応テレビが約73.8%と圧倒的。冷蔵庫は約12.6%、エアコンや約13.6%と、生活家電の2ジャンルは完全に脇役に回った形だ。エコポイントの点数で見ても、地デジ対応テレビが約83%、冷蔵庫は約9.3%、エアコンは約7.7%と、やはりテレビが最大勢力だ。

 さて、肝心のエコポイントの交換用途だが、申請件数で見れば「商品券・プリペイドカード」が約91%と、ほとんどのケースで申し込まれた結果となっている。次点は「地域型商品券」が約3.4%、その次は「全国の地域産品」が約2.8%と1ケタ台なので、これは圧倒的な差だ。さらにその下のランクとなると、「購入店舗での交換」が約1%、「都道府県の地域産品」が約0.9%、「省エネ・環境配慮製品」「環境寄附」が約0.1%と、さらに水をあける結果となっている。

エコポイントが何に交換されているかを示した表(4月末時点)。ほとんどが商品券に交換されている

 最大勢力となる商品券・プリペイドカードの内訳を見ると、JCBや三井住友VISAのギフトカードといった「クレジット系商品券」がトップ(約33%、申請件数ベース)。以下、百貨店やスーパーの商品券などの「流通系商品券」(約26%)、図書カードなどの「生活関連券」(約18%)、edyやnanacoといた電子マネーの「流通系プリペイドカード」(約8%)が続いている。


オトクに使うには、プレミアムが付く地方商品券

 エコポイントと商品を交換する場合は、ほとんどのものが1点=1円の等価交換か、手数料などにより1点=1円未満で交換されるケースとなる。

 前者の例でいえば、全国の大手百貨店で買い物ができる「全国百貨店商品券」。エコポイント1,000点で、1,000円分の商品券と交換できる(5,000点から40,000点まで1,000点単位)。後者の例では、クレジット系商品券の「UCギフトカード」。3,400点で3,000円分の商品券と交換と、エコポイントの額面通りには貰えない。細かい話であるが、せっかくのポイントなのだから、有効に使いたいところだ。

 しかし中には、1点=1円以上で交換できるオトクな商品券がある。その代表例は、前年に引き続き、家電量販店「ベスト電器」の商品券。何しろ、3,000点で3,500円分、10,000点なら12,000円分の商品券と交換できる。つまり、最大で20%ものプレミアムが付くことになる。

 また、「地域型商品券」も、プレミアム付きが意外と多い。例えば、東京都北区の「北区内共通商品券」は、エコポイント5,000点で、5,500円分の商品券と交換できるので、10%のプレミアム付きとなる(最大9,500点まで500点単位で交換可。500円分のプレミアム付き)。北区の加盟店約1,500店で使えるという。

 関東近郊だとこのほか、埼玉県鳩ヶ谷市の「カエルスタンプお買い物券」、群馬県高崎市の「新町商店連盟商品券」も、10%のプレミアム付き商品券を受け付けている。中には
、最大で20%のプレミアムが付くものもあったりする。当然ながらその土地でしか使えないが、もし近くに住んでいるなら、十分に使える選択肢だろう。

【10%以上プレミアムが付く商品券】
都道府県市町村商品券の名前プレミアム(最大)
 宮城県 蔵王町蔵王町スタンプ会商品券20%
宮城県大河原町大河原町さくらカード会商品券20%
山形県温海町山形県あつみ 薔薇の花商品券20%
奈良県十津川村十津川村ふれあい共通商品券20%
岩手県陸前高田市リプル商品券11%
北海道土幌町土幌大地くんプリペイドカード10%
北海道倶知安市倶知安商店連合会共通商品券10%
北海道浦幌町ハマナス商品券10%
岩手県八幡平市八幡平市共通商品券10%
群馬県高崎市新町商店連盟商品券10%
埼玉県鳩ヶ谷市カエルスタンプ会お買物券10%
東京都北区北区内共通商品券10%
長野県伊那市い~なちゃんカード10%
長野県駒ヶ根市などつれてってカードお買い物券10%
長野県木島平村ふう太商品券10%
兵庫県淡路市ふれあい商品券10%
奈良県吉野町吉野町共通商品券10%
広島県東城町東城ニコニコカード10%
香川県まんのう町まんのう町商品券10%
長崎県南島原市南島原市エコひまわり商品券10%



迷ったら寄附という手も

 “どれと交換して良いのか分からない!”という人は、手持ちのエコポイントを、森林保護活動などの環境保全活動や、カーボン・オフセットなど助成・トラストなどを行なう環境団体に寄付することも可能だ(500点単位から)。

 この寄付という選択肢、エコポイント全体でたった0.01%しか交換されていないようだが、全部で約2千億点の0.01%だから、約2千万点(=2千万円)が寄付されていることになる。使い道に悩んだり、ポイントが余ったりしたら、寄付をして、“エコ”ポイントらしいことをしてみても悪くないのではないだろうか。

【お詫びと訂正】初出時、数値について誤りがありました。お詫びして訂正するとともに、読者様のご教示に感謝いたします。



2010年5月21日 00:00