やじうまミニレビュー

MACH ART「PARADOX(パラドックス)」

~下から上に砂が昇る不思議な“逆砂時計”
by 正藤 慶一


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです



MACH ART PARADOX(パラドックス)
 ネタ探しにネットショップのウェブサイトを転々としていたところ、とあるショップで、不思議な砂時計「PARADOX(パラドックス)」に出会った。

 “不思議”とはいっても、右の写真を見て、「なんだ、砂が入ったごく普通の砂時計じゃないか」と思うひともいるだろう。砂が流れて時を刻むという点では、まったく普通の砂時計である。

 しかし、何かおかしいと感じないだろうか? 本来は上から下に流れるはずの砂が、本体上部に堆積しているのだ。今回はこの奇妙な砂時計「パラドックス」について紹介しよう。

メーカーMACH ART
製品名PARADOX(パラドックス)
購入価格3,150円
購入店舗Amazon.co.jp


 パラドックスは、約30分の時を刻む砂時計だ。サイズは130×30×110mm(幅×奥行き×高さ)、重量は114gと、軽くスリムではあるが、砂時計としてはやや大きめのサイズになる。到着時点で完成済みとなっており、パーツなどを組み合わせる必要はない。

普通は砂が下に溜まるはずだが、ご覧の通り上に溜まっている本体は軽くてスリム

 この砂時計、前述の通り普通に立たせた状態では、本体上部に砂が堆積してしまっている。この状態で振っても叩いても、砂は流れない。じゃあどうするかというと、なんてことはない、普通の砂時計のようにひっくり返すだけだ。

 すると、本来は上から下へサラサラと落ちるはずの砂が、重力に反して、下から上へと流れていく。そう、本製品は、砂の流れが上下が真逆になった砂時計なのだ。まさにパラドックス(逆説)である。

使い方は、普通の砂時計と同様、本体を逆さにするだけ。すると、砂が下から上に浮き出す

上に溜まった砂をよく見ると、気泡があるのがわかる
 なぜ、砂は重力に逆らって、下から上へと流れるのか。詳細は説明書やネットショップの販売ページでも書かれてはいないが、パラドックスに近づいて見れば、なんとなくわかった気になる。ポイントは“液体”だ。

 パラドックス内には小さな水泡が砂に紛れて入っている。つまり、この砂時計の中身は液体。通常の砂時計の場合、中身は砂と空気以外には何も入っていないので、砂は重力に従ってスルスルと落ちていく。一方のパラドックスの中身は、砂と液体。液体よりも比重が軽い砂は、浮力に従って上昇していくのだ。重力には逆らっているように見えるが、実際のところは浮力という物理学のルールにちゃんと従っているのだ。

 まあそんな仕掛けなど知らずとも、砂時計の砂が、重力に逆らうように音もなく浮き上がっていくようすは新鮮で、ふと心を奪われるような美しさがある。一般的な砂時計のようにサラサラッとスムーズに流れるのではなく、ゆっくりジワジワと浮かび上がるのもまた良い。ぼんやり見ていると、仕事の忙しさから一瞬開放されるような気がした。

砂がジワジワと浮かび上がる姿は、サラサラと落ちる普通の砂時計とはまた違った味わいがある

 ちなみに、本製品の輸入元のページによると、測定時間は約30分とのこと。しかし、実際に計測してみると、34分だったり35分だったりと、かなりアバウト。カッチリと時間を測るというよりは、浮かび上がる砂をぼんやりと見ながら、気を紛らすためのものだろう。砂の落下で正確な時間を測るのが砂時計なのに、だいたいの時間しか分からないというテキトーさもまたパラドックスだ。

 このパラドックスを使って一番おもしろかったのが、会社の先輩が「なんだこれ、砂が落ちないじゃないか」と、パラドックス本体をガンガンに振り回していた時だ。その後、これはこうやって使うんですよとひっくり返したのだが、砂が浮かび上がった時の、驚いたような釈然としないような顔に思わず笑ってしまった。買ってよかったと思った瞬間だ。

オフィスのお遊びグッズとして置いておきたい
 正確な時間は測れないが、重力に逆らうように砂がゆらゆらと浮き上がる姿は、それだけでも十分におもしろい。自宅の机や棚、オフィスのデスクに置いて、すこし不思議な空間を作ってみてはいかがだろうか。


2010年 7月 8日   00:00