やじうまミニレビュー

ハットトリック「CUTTING BOARD SET」

~触っただけでは切れない子供用包丁セット
by 石井 和美


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ハットトリック「CUTTING BOARD SET」

 最近、5才の娘がお料理の手伝いに興味を持ち始めた。「何か手伝わせて」とキッチンにくるようになったので、食器を出したり、片付けたりをお願いするのだが、どうやらそういうことがやりたいわけではないらしい。娘は調理を手伝ってみたいようだ。

 親としては手を切るんじゃないか……とヒヤヒヤなので、あまり気が進まなかったのだが、娘は「お友達の○○ちゃんは包丁で切ってるんだって!」と激しくアピールをするので、子供用包丁を検討することにした。

 大きなホームセンターに行くと、子供用の料理道具が多数置かれており、かなり迷う。私が小さい頃は子供用包丁なんて便利なものはなかったので、自分の経験から選ぶこともできない。

 結局、何度か見に行ったものの踏ん切りがつかなかったのだが、触っただけでは切れない子供用の包丁とまな板のセット「CUTTING BOARD SET」を知って、娘に包丁を使わせてみることにした。

 


メーカーハットトリック
製品名CUTTING BOARD SET
希望小売価格1,050円
購入場所楽天市場
購入金額840円

 CUTTING BOARD SETは、包丁1本とカッティングボード(まな板)が2枚がセットになっている。子供向けの製品というだけあって、本体は鮮やかな色が採用されている。今回購入したオレンジのほかにも、ピンク、イエロー、グリーンの全4色が用意されている。

 この製品を購入した一番の決め手は、触っただけではきれない包丁。刃の部分はギザギザになっていて、引くようにすると切れる。実際に包丁を刃の部分を握ったり、軽くさわってみたが、その程度では手が切れることはなかった。サイズは40×280×10mm(幅×奥行き×高さ)で、素材はポリプロピレン製。

 包丁とセットになっているカッティングボードは、大きさの異なる2枚が入っている。2枚ともリンゴの形をしていて、いかにも子供が喜びそうだ。サイズは小さい方が180×210mm(横×縦)、大きいほうが305×330mm(同)。

包丁とカッティングボードが2枚。子供が好きそうなカラフルな色刃の部分までポリプロピレン製。ギザギザ刃になっている包丁の刃部分を握っても切れることはない ※決してマネしないでください
キュウリを切り始める娘。最初はおっかなびっくり

 さっそくCUTTING BOARD SETを娘に渡したところ、「ありがとう!!」と目をウルウルさせながら大喜びだった。特にカッティングボードのリンゴの形がとても気に入ったらしい。

 娘にとって初めての包丁なので、持ち方、左手の添え方など基本的なところから教える。右手と左手を同時に注意しながら切るという作業は、小さい子供にとって難しいようで、どう教えていいのか、親としてかなり悩んでしまった。

 まず初めに切ったのはキュウリ。いきなりど真ん中から切ろうとしたので、慌てて切り方を教える。左手を添え、端から輪切りにしてもらうことにした。

 うまく指を丸めることができず、指のほうを切ってしまいそうで、見ている親のほうは冷や汗モノ。いくら子供用の包丁といっても、やはり刃物であることには変わらない。親は決して目を離さず、指導する必要がある。

 包丁はノコギリのように押し引きしながら切れば、子供の弱い力でも野菜は簡単に切ることができた。最初は、こんな包丁でまともに食材を切ることができるのか不安だったが、なかなかの切れ味だ。魚や肉など本格的に食材を切るには不向きだが、野菜や果物なら十分だろう。

娘の力でも簡単に切れる。ずっと「ギコギコ~」と言いながら切っていた。大人が使うようなスパッと切れる包丁ではないので、ちょっとしたノコギリのようだ。輪切りをお願いしたはずだったのだが、ずいぶん太い……娘の包丁さばきにしびれを切らした旦那が、手を添えて熱血指導キュウリの輪切り完成! 不格好だが、初めてにしては上出来ではないだろうか

 次に切ったのはトマト。ふつうの包丁のように上から押すように切ると、完熟トマトは潰れてしまう。トマトは丸くツルッと包丁が滑ってしまうこともあって、娘にはまだ難しいようだ。初めに親が2つに切るところを手伝い、その後のクシ切りは娘一人でやってもらうことにした。

 種がブチュッと出てしまうのが気持ち悪いようで、どうしていいのかわからず私の助けを求めてきた。「種は少しくらい出てもかまわないよ」と切り方の見本を見せる。いくつか切るうちに慣れていったようで、どんどん切れるようになる。

トマトにも挑戦。ツルッと滑ってしまうので、初めは親が切ってあげることにしたクシ切りも上手にできるようになった。上手に切れたら「上手に切れたね!」と少々大げさに褒め、子供のやる気を育てるようにする
ナスは輪切りにした後、「大きいから半分に切っていい?」と聞いていたのでお願いしてみた。包丁の扱いにも慣れてきたようだ

 ナスも切ってもらったが、あっという間に上達し、キレイに切れるようになった。初めのキュウリとは大違いである。

 しかし、うまく切れるようになると子供が調子に乗ってしまい、包丁の扱いが雑になってくる。子供が包丁に慣れても、親は最後まで決して目を離さず、見守る必要があるだろう。

 なお、カッティングボードは軽く、滑りやすいので注意する必要がある。子供は野菜を強く押さえてしまうため、力を入れたときに野菜と一緒にズルッとボードごと動いてしまうのだ。裏に滑り止めを付けてほしいところだ。

 娘が切った野菜を食卓に出すと、「私が切ったんだよ」と得意げだ。自分で調理した野菜は格別なようで、苦手な野菜も食べている。初めての包丁デビューはヒヤヒヤの連続で親のほうがグッタリだったが、この笑顔で報われた。子供が包丁の扱いに慣れたら、ノコギリ刃ではなく、スパッと切れる子供包丁に切り替えても、スムーズに移行できそうだ。

 実は、昭和ひとケタ生まれの父から子供の教育について、「昔は鉛筆だって小さな頃からナイフで削ったものだ。最近の子供は、便利な道具に恵まれすぎている。刃物の扱い方は、小さい頃から教えておいたほうがいい」と何度も言われていた。これまでは、安全性を優先させて、子供に刃物なんてとんでもないと考えていたが、今回娘に包丁を使わせてみたことで、父の言っていたことがわかった気がした。刃物が危ないモノということを認識させるには、実際に使わせてみたほうが、子供も実感できるようだ。

後日、娘に切ってもらったキュウリの輪切り。初めてのときとは違い、均等にキレイに切れている。どんどん上達するのでビックリカッティングボードはとても軽いので、冷蔵庫につけた磁石フックにもかけられる。目立つところに置いてもカワイイ! 娘はこのリンゴの形が大のお気に入り

 食育の観点からも、子供に料理を手伝ってもらうのは望ましい。調理される前の野菜に触れるので、自然の恵みをいただいていることを実感できる。自分で切った野菜の味は、格別のようだ。

 一番驚いたのは、自分で料理をしたことで調理する人の気持ちを考えるようになったことだ。自分で切った食材は「キライ」「いらない」と言わなくなり、苦手な野菜も食べようとしている。料理を作ってくれる人への感謝の気持ちが芽生えたようだ。嫌いな野菜をどう食べさせようかと四苦八苦している親にとっては、とても嬉しいことである。

 今回の包丁デビューは楽しい経験だったようで、娘は料理のお手伝いに意欲を見せている。娘が料理に興味を持つようになったことは、母親にとってとても嬉しいことである。

 まだ刃物はムリだろう……と決めつけていたのだが、親が思う以上に子供は成長している。今回のような体験を早いうちにさせることは、大事なことかもしれない。




2010年 6月 8日   00:00