LED電球、どれを買う?
東芝「E-CORE ミニクリプトン形 光が広がるタイプ LDA6L-G-E17/S」
~大きさで選ぶならコレ。ミニクリプトン電球サイズで光が広がる
by 藤原 大蔵(2013/1/18 00:00)
コンパクト性にこだわったE17口金のLED電球。広配光で断熱材施工器具にも対応
E26口金のLED電球では、白熱電球のように光が広がる「全配光タイプ」が数多く出ているが、2012年からはE17口金のミニクリプトン電球形(小型電球形)においても、全配光タイプが登場するようになった。
その中でも、特にミニクリプトン電球の大きさにこだわっているのが、東芝ライテックの「E-CORE (イー・コア) LED電球 ミニクリプトン形 5.6W 光が広がるタイプ LDA6L-G-E17/S」。小型ダウンライトにもすんなり収まるコンパクトさが特徴だ。
光の広がりは約180度で、東芝の光拡散技術「マルチ拡散グローブ」を台形にし、グローブの内側に「波紋形プリズム」を設けて光の拡散効率を向上させているという。さらに、密閉器具、断熱材施工器具、防湿・防雨形にも対応しているので、室内、室外を問わず様々な器具に取り付けられる。今回は、このLED電球の実力を探ってみよう。
なお、明るさを表す数値「全光束」は380lm。日本電球工業会のガイドラインでは「小型電球25W形相当(230lm 以上)」となる。
メーカー名 | 東芝ライテック |
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シリーズ名・品番 | E-CORE (イー・コア) LDA6L-G-E17/S |
全光束 | 380lm |
定格消費電力 | 5.6W |
口金タイプ | E17 |
光色 | 電球色 |
小型電球と比較した明るさ | 25W形相当(ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
防湿・防雨型器具対応 | ○ |
断熱材施工器具 | ○ |
配光角度 | 約180度 |
実売価格 | 2,830円(yodobashi.com) |
※比較用の電球形蛍光灯は、NECライティング「コスモボール・ミニ」を使用
※E26口金の照明器具では、E17口金の変換アダプタを使用
【基本スペック編】
サイズ比較
実測したサイズは77×34mm(高さ×直径)だった。ミニクリプトン電球(E17口金の小型電球)よりも背は10mm高く、直径は1mm小さい。10mmというとかなり大きいように思えるが、前回紹介したパナソニックの光が広がるE17口金のLED電球が88×45mm(同)だったことを考えれば、LED電球としては小さい部類に入る。あまり大きさを感じさせないデザインだ。
グローブが台形のため、上半分は電球とはかなり見た目が異なる。その一方で、放熱部は口金に向かってスッキリと細くなっており、下半分は電球らしさを感じる。
重量は実測で58gだった。小型電球形としてはそれなりに重いが、実際の器具に取り付けて、器具が傾くような事は全く起こらなかった。この程度では、取り立てて重さを心配するほどではなさそうだ。
器具に取り付けたようす
シェード(笠)が深いタイプの器具に取り付けた場合、器具内部にきちんと収まった。台形のグローブも、取り付けてしまえばさほど気にはならない。
電球をほぼ横向きに取り付ける、小さめのダウンライト(75×80mm[開口部の幅×深さ])にもちゃんと収まった。これまでレビューしたE17口金のLED電球は、アダプターを使わなければ取り付けられなかったので、これはうれしい。放熱部は白色でツルリとしているので、横向きでも縦向きでもさほど気にならない。小型電球用のほとんどの器具に取り付けられそうだ。
光の広がりかたと配光性
約180度の全般配光形だけに、光は光源部を中心に、横、上方向へフラットに広がる印象だった。床方向への光は強くはないものの、ちゃんと届いている。さらにいえば、真上、斜め上方向へは遠くまで届く印象もあった。
電気スタンド型の器具にも取り付けるのも悪くない。下方向へ強い光は届かないものの、器具の印象はまずまず引き出していると言って良いだろう。シェードに違和感を覚えてしまうような強い光のムラもできないので、インテリア照明として十分活用できるだろう。
小型のペンダント型の器具にも取り付けてみた。口金具金は暗くなるが、器具全体が輝き、器具の雰囲気をしっかり引き出している。光色が電球に近いため、とても自然な雰囲気が楽しめる。
明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は404lxだった(点灯15分後)。40W形ミニクリプトン電球の直下照度は467lxだったので、数値に着目すると幾分落ちる。しかし、見た目の印象はそれほど変わらず、横方向はむしろ明るく感じるほどだ。日本電球工業会の基準で、「小型電球25W形相当の明るさ」と規定されているが、40W形ミニクリプトン電球の取り替えもアリだろう。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
使用前は台形のグローブが気になったが、コンパクトさを活かして小型器具にもスッキリと収まった。光の広がりは十分にあり、40W形クラスの明るさも感じられるので、全体照明にも利用できるほどの実力がありそうだ。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
なお、本製品は先ほどご紹介したとおり、横向きのダウンライトにもちゃんと収まったが、以降の写真では比較基準をそろえるために、斜め取り付け器具用の可変式ソケットを利用したようすも撮影している。小型電球蛍光灯は横向きのダウンライトに大きすぎて取り付けられないため、可変式ソケットを使う必要があるからだ。
玄関
浴室は40W形ミニクリプトンを玄関で使っているならば、取り替えてもまったく不満は見当たらないだろう。細かいことを言えば、光の広がり方の違いはあるが、全体的な明るさは大きく変わらず、暖かみのある光色がとても電球らしい。親しみのある玄関が演出できるだろう。
なお、電球を横向きに取りつけた場合は、可変ソケット装着時よりもほんの少し暗くなるものの、実用的な明るさがあった。問題なく使えるだろう。
浴室
浴室はまずまずだった。細かく見れば、浴室の上下方向は若干明るさが落ちる。それでも、浴室の隅々まで光が行き渡っており、全体的な明るさの印象は大きく変わらない。40W形電球形蛍光灯よりも明るく、演色性も良い。もし、現在40W形小型電球をお使いならば、浴室用のLED電球として、十分に交換に値するだろう。
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
トイレ
トイレには全く申し分ない。明るさは40W形小型電球と交換しても変わらない印象で、壁面はむしろミニクリプトン電球よりも明るく感じるほどだった。光は床面までしっかり届いており、快適で、清潔感のあるトイレが演出できるはずだ。これは横向きに器具を取り付けても同じだった。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
テーブルランプ
テーブルランプも、取り替えて全く申し分ないだろう。40W形ミニクリプトン電球と遜色ない明るさ、自然な色合いの電球色、高い拡散性が実感できた。さらに、演色性が良いため、テーブルの木肌、本の紙の色がとても自然に見えた。おまけに、器具が顔の近くにあっても、熱が感じられず快適。取り替えてがっかりする、なんてことはまずないだろう。
リビングルーム
リビングルームの全体照明としても使用した。透過タイプの器具との相性は非常に良い。床面はミニクリプトン電球と変わらない明るさで、器具はほぼムラなく輝くことで、器具もキレイに見える。口金方向へは強い光が届かないため、天井付近が明るくない点はマイナスだが、全体的には心地良い雰囲気が演出できる。
どちらかというと、非透過タイプの器具の器具の方が向いているかもしれない。透過タイプと同様、天井へ漏れる光は控えめだが、かえって部屋の上下の光のコントラストが際立つため、落ち着きのある空間が演出できた。なお、床方向への明るさは、ミニクリプトン電球と変わらない。
複数の局所照明を組み合わせた使い方もお勧めだ。部屋全体は自然な電球色の光に包まれ、奥行き感のある開放的な雰囲気が演出できる。器具からある程度離れていれば、眩しさもさほど感じず快適だ。
リビングルーム(インテリア照明)
密閉型のインテリア照明にも適している。器具に光のムラはほとんど浮かばず、ミニクリプトン電球と全く遜色ない印象だった。ただし、器具が顔の近い場合は眩しさを感じてしまうので、距離を置いて、部屋全体を照らす局所照明の1つとして利用するのがいいだろう。
食事の風景
食事のシーンには抜群に良かった。自然な光色の電球色は、全てを色鮮やかに照らし出した。それぞれの色がくすまず、食事全体がとてもおいしそうに映える。食器の材質による白さの違い、ランチョンマットの本来の色合いも再現されていた。テーブルと器具の距離は80cmだったが、1灯で十分に明るかった。
40W形ミニクリプトン電球と交換で、元が取れるのは【1年3カ月】
カタログ上の消費電力は5.6Wだが、実測では4Wだった。40W形ミニクリプトン電球にとても近い明るさで、消費電力は1/9と大幅な節約ができる。初期費用はかかっても、約1年3カ月使っているうちに回収でき、さらには10年以上使い続けられる。
電球形蛍光灯からの交換も現実的だろう。3個目の蛍光灯に取り替える5年7カ月目で、ランニングコストが逆転する試算となるため、電球の交換の手間を省くメリットもある。明るさ、光色、演色性において、蛍光灯を確実に上回り、点灯回数による寿命への影響も受けず、点灯直後から明るい。取り替えれば、節電以上のアドバンテージを感じるだろう。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 | 9カ月 | 1年 | 1年 3カ月 | 2年 | 5年 7カ月 |
E-CORE E17 LDA6LGE17S | 4W | 2,851円 | 2,894円 | 2,958円 | 3,022円 | 3,086円 | 3,149円 | 3,341円 | 4,256円 |
ミニクリプトン 電球 40W | 35W | 436円 | 807円 | 1,363円 | 2,170円 | 2,727円 | 3,469円 | 5,203円 | 14,681円 |
小型電球型 蛍光灯 40W | 7W | 817円 | 890円 | 999円 | 1,109円 | 1,218円 | 1,364円 | 1,656円 | 4,786円 |
コンパクトな本体に明るさと色の良さが詰まっている
本製品の特徴は、明るさと自然な電球色の色の良さを、このコンパクトなデザインに収めている点だ。小型電球用の小さな器具でもすんなり取り付けられるので、スムーズな取り替えができる。光の拡散性を向上させる台形のグローブに多少戸惑いはあるかもしれないが、実際に点灯してしまえば、形の違いはまず気にならないだろう。
器具との相性が良ければ、40W形クラスの明るさながら、ミニクリプトン電球よりも電気代が1/9に抑えられ、光もしっかり広がる。電球形蛍光灯と比べても、消費電力を半分近くに抑えながら、明るさも増す。かつ、白熱電球に近い自然な光色で演色性も高い。25W相当の明るさで実売3,000円弱とやや高価ではあるが、そのコンパクトなサイズに加え、明かりの質(明るさ・拡散性・演色性)が揃っているため、価格に十分見合っていると言えるだろう。
使用シーンとしては、玄関やトイレなどの小型のダウンライトや、高い演色性が求められる食卓のペンダントライトにふさわしい。その自然な電球色を活かして、雰囲気を大切にしたいリビングルームの明かりにも向いている。40W形小型電球の取り替えに、トータルバランスの良い本製品を大いにお勧めしたい。
【東芝「E-CORE 光が広がるタイプ LDA6L-G-E17/S」はこんなLED電球】
・白熱電球と印象が変わらない、自然な電球色
・密閉器具、屋外の防湿・防雨型器具、防湿・防湿防雨形にも対応
・40W形ミニクリプトン電球と交換した場合、1年3月で電球代が回収できる(1日8時間使用)