【特集】LED電球、どれを買う?

ツインバード「電球型LEDランプ LE-LAN2L」

~色で選ぶならコレ。食べ物は新鮮に、肌はツヤ良く見える
by 藤原 大蔵

ツインバード 「電球型LEDランプ LE-LAN2L」LED電球らしからぬ、色鮮やかにみえる光色が特徴だ

色の再現性が素晴らしい

 ツインバード工業といえば、スタンドライトなどの照明器具を数多く出しているメーカー。大手家電メーカーのような派手さはないかもしれないが、使いやすく堅実な商品をラインアップしている印象がある。そんなツインバードからこの秋、LED電球が発売された。さて、そのLED電球とはいったいどのようなものなのだろうか。

 結論を言うと、照らされる対象物が、色鮮やかにイキイキと見える。すなわち、演色性にとても優れたLED電球だった。これは、色の再現度を示す「平均演色評価数」がRa80以上のLEDチップを採用していることによるのかもしれない。色温度は3,000Kと、数値的にはやや暖かみのある光色でありながら、実際には白熱電球よりも少し白っぽい、清涼感のあるものになっている。

 というわけで、今回はツインバードが提供する「電球型LEDランプ LE-LAN2L」を紹介する。パッケージでは明るさが「白熱電球60W相当」と謳われているので、60W形の白熱電球と電球形蛍光灯と比較しつつ、話を進めてゆこう。

 ここで、レビューを始める前に記しておきたい事がある。色温度が3,000KのLED電球という事は、白熱電球の2,850Kよりも白っぽい光色のため、そのまま撮影すると必要以上に青っぽく、肉眼での見え方とは大きく異なってしまう。そこで、今回は肉眼の感覚に近い色合いが出るように画像を調整している。その点についてはご了承いただきたい。


シリーズ名電球形LEDランプ
品番LE-LAN2L
光色電球色相当
色温度3,000K
口金タイプE26
定格寿命40,000 時間
全光束420 lm
白熱電球と比べた明るさ(ランプ全体)30~40W形相当
白熱電球と比べた明るさ(直下部)60W形相当
平均演色評価数Ra80以上のLEDチップ
調光器対応-
密閉器具-
サイズ (高さx最大直径)115 x 62 mm
重量(実測)106 g
購入価格(Amazon.co.jp 10月時点)1,980円
※白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かったパナソニックの
「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用

 



【基本スペック編】

サイズ比較

 サイズは115x62mm(高さ×最大直径)と、小型化が進む昨今のLED電球の中では結構大きめ。電球型蛍光灯と比べても、かなり大ぶりな印象を受ける。しかし器具への取り付けに重要な、口金付近の太さは、白熱電球と同程度の32mm。電球らしいくびれもあるので、たとえ大きめな電球でも多くの器具に装着しやすそうではある。

 重量は106gと、LED電球の中ではどちらかといえば軽いグループに入る。その大きさから重そうに見えるかもしれないが、LEDチップを覆うカバーは半透明の樹脂製、放熱部は白色に塗装されたアルミ製。全体的に凹凸の少ない、電球らしい滑らかな仕上げになっている。

 電球を真上から見て太さを比較すると、白熱電球よりも直径が7mmも大きい事もあり、かなり大きめな印象になってしまう。とは言え、LEDチップが透けて見える事もないので、電球がちゃんと収まる大きさの器具であれば、見た目のバランスはさほど崩れないだろう。

高さは115mm(中央)と、60W形白熱電球(左)より20mmも背が高い。電球型蛍光灯と比べても大ぶりな印象だが、シルエットは電球らしい。口金付近の太さは白熱電球と変わらない直径は62mm(中央)。白熱電球や電球型蛍光灯よりも7mm径が太いので、結構大きめに見える。光源部は半透明な樹脂製だが、LEDチップは透けて見えない


器具に取り付けた様子

 器具に取り付けてしまえば、LEDカバーの大きさは特に気にならない。シェードの高さは130mmだが、電球がはみ出てしまう事もなく、これはこれでバランスは取れている。ただ、ペンダントを少し覗き込んだ程度で放熱部が見えてしまっているのは残念。使用して特に気になる程ではなかったが、取り付けたい器具のシェードの高さなど、購入前に確認する必要はあるだろう。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けてみえる
【ツインバードLED】
大きめの電球になるのだが、多少大きめの器具であればこれはこれでアリ。ただし、放熱部の背も高めなので、少し覗きこんだだけでそれが見えてしまう。見た目にこだわる場合はご注意

光の広がりかた

 光源部を中心に、ほぼ球形に拡散している。放熱部分だけでも60mm近く高さがあるため、ソケット付近や、その側面へ光の回り込みは弱い。しかし、白熱電球や蛍光灯よりも遠くまで光が届く印象だ。しかも、LED電球の中でも光の拡散性は良い。少し大きめのLEDカバーも、それに一役かっているようである。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【ツインバードLED】
ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近と側面への光の回り込みは弱いものの、遠くまで広範囲に光が届いている

明るさ(55cm直下の照度)

 LE-LAN2Lの明るさは485Lxと、LED電球の中では上位グループに食い込むほど明るいものだった。さすがに60W形白熱電球の明るさには及ばないものの、40W形白熱電球には全くひけをとらぬものであった。しかも、照らされた木のテーブルの色味が人工的な色に偏らず、スッキリと自然な色合いに見えるため、見た目の印象が明るく感じられる。

 また、放熱部は触れば他のLED電球同様に熱くなってしまうものの、長時間点灯していても、器具から熱が伝わってくることはなかった。

【白熱電球:60W 800Lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【電球形蛍光灯 475Lx】
【ツインバードLED 485Lx】
一般電球型LED電球の中では、上位に食い込む明るさ。40Wタイプの白熱電球よりも確実に明るく、爽やかな光色が自然な印象を受ける。より一層明るく感じる
【※参考 白熱電球:40W 437Lx】


 LE-LAN2Lは少し大きめという点で、取り付ける器具の大きさを考慮しなければならないものだが、LED電球の中でも明るく軽めのものである。白熱電球よりも白っぽい光色であるが、点灯した瞬間からその自然な暖かみのある光色が好印象だった。



【実使用編】

 それでは、ここから実際の生活シーンに取り付けて、リアルな使用感からその実力を探って行く。なお、密閉器具には使用できないので、浴室や密閉型のインテリアライトの写真は割愛している。

玄関

 玄関の使用にはとても良い。白熱電球と並べると少し暗くなってしまうものの、実用十分な明るさが感じられた。白っぽくても暖かみのある光色は、色がくすまず、肌色も健康的に見える。したがって、人を迎え入れる空間の灯りとして適していると言えよう。影の出方は、LED電球特有の強いものではなく、白熱電球と大差ないものだった。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【ツインバードLED】
色合いも自然で十分な明るさがあり、玄関にふさわしい。白熱電球に比べれば暗くなってしまうが、自然な色合いが人を迎え入れる空間にマッチする

トイレ

 トイレでの使用は特に良い印象を受けた。色がほとんどくすまないので、清潔感が求められる空間にもぴったりである。撮影時、60W形白熱電球に合わせているため、写真の印象は暗くなってしまうが、肉眼では快適な明るさが感じられた。しかも、狭い空間なのに、重く、暑苦しい印象にならないのも良い。トイレに限らず、水周り全般の全体照明にも向いているだろう。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【ツインバードLED】
トイレのように清潔感が求められる場面でもOK。狭い空間でも暑苦しさが感じられない。トイレ以外にも水周り全般にむいているだろう

リビングルーム

 透過タイプの器具の場合、光色もあいまって明るく爽やかな雰囲気が楽しめる。テーブル面や棚にも十分光が届いている。天井面や壁面から、白熱電球や蛍光灯で照らしたような明るさは望めないが、部屋全体の光のバランスは良好。テーブル面は蛍光灯よりも明るく発色が自然。また、シェード全体はくまなく光り、器具の持つ印象はほとんど変わらない。

 非透過タイプの器具との相性は、まずまずといった印象。というのも、器具の特性上、部屋の半分が影、半分が明るくなるわけなのだが、明るい所の発色が良いため、影とのバランスを考えると、落ち着きに欠ける印象になる。陰影を利用した雰囲気作りに「爽やかで発色が良い」光色は、チグハグな印象を受けてしまう。

 まとめれば、活気が求められるようなリビングルームには向いている。一方、照度をある程度抑え目にしたり、陰影を楽しんだりするような演出の全体照明には、爽やか過ぎるかもしれない。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被り(余計な色が加わること)によりくすんで見える
【ツインバードLED×2 透過タイプのシェード】
照らされている面は十分な明るさが感じられる。部屋全体の明るさのバランスも良く、爽やかで活気がある雰囲気のリビングルームが演出できる
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【ツインバードLED×2 非透過タイプのシェード】
明るさも十分に感じられ、自然な色合いが楽しめる。だが、陰影を利用した落ち着いた雰囲気作りには、発色が良すぎるかもしれない

食事の風景

 色味が重要な食卓のシーンでは、その演色性の良さが光る。食事全体が新鮮でおいしそうに見え、食欲が増す。また、磁器や陶器など、素材が持つ白色の違いや、微妙な色合いのランチョンマットもしっかりと識別できる。十分に明るく、元気で華やかな食卓が演出できるだろう。色合いを重要視するシーンにはピッタリのLED電球だろう。

 また、白色に近い暖かみのある光色は、日中の室内の補助光としてもとても自然な色合いが楽しめる。窓から入ってくる外光とも相性がとても良い。

【白熱電球:60W】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強い光色のため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
左右の写真と比較すると、色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象に見える
【ツインバードLED】
食べ物が新鮮で色鮮やかで、とてもおいしそうに見える。食器の質感、ランチョンマット、テーブルなど全ての色合いが自然


60W形白熱電球との交換で、元が取れるのは【8カ月以内】

 60W形白熱電球と交換した場合、なんと8カ月以内には元が取れてしまう(1日8時間使用と仮定)。消費電力は7Wと、LED電球の中では少高めの部類に入るのだが、電球の価格が2,000円を切るので、LED電球の中でも早めに元を取ることができそうだ。付け加えて、40W形白熱電球と交換した場合でも、1年で元が取れるのも見逃せない点だ。

 一方、電球型蛍光灯と交換した場合でも、35カ月(2年11カ月)と、LED電球の中でも最速で元が取れてしまう。それは、電球型蛍光灯の寿命(54カ月)が来る前に元が取れる計算になる。たとえ消費電力は若干高めでも、電球代の安さがその結果につながった。

 まだ使える蛍光灯を無理やり交換する必要はないが、電気代は蛍光灯よりも低く、しかも明るい。頻繁な点滅にも強く、高い演色性も取替えるメリットが大きいだろう。既に3年以上使った蛍光灯があって、多少なりとも不満があるなら、交換しても損にはならないだろう。

【白熱電球:60W 56W】【電球形蛍光灯 10W(安定時)】【ツインバード 7W】
消費電力が5~6WのLED電球が多い中、この値は少し高めだ。一日8時間の使用を仮定し、6Wのものと比較すると、年間で64円電気代が高くはなる


【ツインバード:60Wタイプ】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用電球消費電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
8カ月9カ月1年2年2年11カ月4年
ツインバードLED7W2,017円2,092円2,205円2,279円2,317円2,429円2,878円3,289円3,776円
白熱電球56W370円966円1,932円2,528円2,897円3,792円7,583円11,076円17,098円
電球形蛍光灯:60W10W1,445円1,554円1,719円1,828円1,883円2,047円2,704円3,306円5,736円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として) ※電気代は1kWh=22円で計算

 



爽やかで健康的な発色のLED電球。明るいリビング、食卓に特にお勧め

 なんと言っても、対象物が本来持つ色が、くすまず色鮮やかに見えるのが特徴だ。食べものが全ておいしそうに見え、健康的で活気ある雰囲気が演出しやすい。明るさも拡散性もまずまずなので、色味が重要なキッチンや食事のシーンだけでなく、清潔感が求められる水周り全般にも適している。また、暑苦しくない光色は勉強や仕事用にも向いているだろう。

 一方、消費電力が少し高めなので、消費電力の少なさを最優先するならマイナスポイントだろう。また、演色性が良いだけに、落ち着きやくつろぎを演出したい場合は色鮮やかすぎるかもしれない。少し大きめな点も気になるが、口金付近は白熱電球と変わらないため、従来から使っている照明器具にも取り付けやすいだろう。

 値段も手ごろながら、照らされる物の色がくすまず良好な発色が得られるのは、他のLED電球には無い大きな特徴だ。色の良さで選ぶなら、まずコレをお勧めする。



ツインバード「電球型LEDランプ LE-LAN2L」はこんなLED電球

・健康的で、色鮮やかな色合い。高い演色性で色にこだわる場面に

・明るさもE26口金のLED電球の中では上位

・大きめではあるが、軽量で口金付近は白熱電球と同じ太さ

・白熱電球と交換した場合、8カ月で元が取れる(1日8時間使用)







2010年11月29日 00:00