家電製品ミニレビュー

古い家電製品でも外出先から操作できるようにする「Plutoステーション」

Plutoステーション

 テレビやエアコン、扇風機などのリモコンが、部屋にいくつも散らばっている。そうしたリモコンたちを不要にし、多彩な家電をスマートフォンで一括して操作できるようにする「Plutoステーション」を試してみた。

メーカー名Pluto
製品名Plutoステーション
購入場所Amazon.co.jp
購入価格13,800円

 Plutoステーションはスマートフォンを、万能リモコン化するもの。本体を家庭内ネットワーク(LAN)につなげることで、下記のように家電を制御する。

「スマートフォンで指示」


「Plutoのクラウドサーバー」


「Pluto本体」


「赤外線で各家電に指示」

 という流れだ。

 つまり、スマートフォンからの指示を赤外線で各家電に伝えてくれる、トランスミッターのようなものだ。

Plutoステーションの本体
裏面のLANと電源端子
110×82×33mm(幅×奥行き×高さ)と小さく、重さは約88g

 必要なのは、Plutoステーション本体とスマートフォン、それに自宅のインターネット環境。接続の仕方は意外と簡単だった。ルーターとLANケーブルでつなげ、電源をコンセントに差し込むだけ。電源ボタンなどもなく、本体の操作は一切不要。しばらく待つと、本体のLEDランプが緑色に点灯する。これで本体の準備は完了だ。

ルーターへのケーブル接続と、電源を確保できる場所に設置
本体をルーターにつなげて、電源ケーブルをコンセントに差し込む
本体前方のLEDライトが緑色に点灯したら準備完了

 次は、スマートフォンでの接続設定に移る。スマートフォンまたはPCのブラウザで、PlutoのWebサイトに行き、ユーザー登録をする。登録が終わったら、専用サイトにログインして、操作したい家電機器を登録していく。

メーカーの製品登録画面。メールアドレスを入力すると、登録用のメールが届く。メール添付のURLにアクセスしパスワードを設定したら登録完了
ログインすると自分専用のページが開く
専用ページでは、操作したい家電製品を登録していく。「家電カテゴリー」「メーカー名」「製品の発売時期」を指定していく
試しにテレビを設定してみた
操作機器を選択する画面では、「電源ON/OFF」や「入力切り替え」が可能になるショートカットボタンの設定が可能
エアコンを設定。ショットカットボタンには、暖房/冷房を何℃に設定して電源を入れるかがセットできる

 テレビやエアコン、照明器具に関しては、製品登録時に「家電カテゴリー」を選択すれば、あとは「メーカー名」と「製品の発売時期」を選択肢から選ぶだけで設定できて簡単。

 iPhoneやAndroid端末用の専用アプリも用意されている。確認した限りでは、ブラウザで出来ることと同じだった。

専用アプリで、テレビのリモコン画面を開いたところ
エアコンの画面
Apple TVを設定した画面
照明を設定した画面

 選択肢にない家電でも、赤外線リモコンで操作できる製品は、手動で登録できる。登録方法は、Plutoステーションとリモコンを突き合わせて、各ボタンを覚え込ませていく。正直、少し手間に感じる。

専用アプリのリモコンボタンを学習させていく画面。はじめに操作する家電の名前を付ける。自分が識別できれば、どんな名前でもOK
リモコンの設定をしたい場所をタップする
ボタンの名前、例えば「電源ON」や「強」「弱」などを決める
Pluto本体にリモコンを向け、登録したいボタンを一回押す
ボタンの登録が完了したところ。何度か失敗することもあった

エアコンの操作を外出先からできる

 機器の登録が済み、実際にリモコン操作をしてみた。レスポンスは、良いとはいえないが、普通に操作できた。全ての家電をスマートフォンで一括して操作できるのは便利だ。

テレビを操作しているところ
エアコンを操作しているところ

 上の写真では、わかりやすいようにテレビとエアコンを写真の中に入れたが、実は操作機器にスマートフォンを向ける必要はまったくない。スマートフォンからの発した指示は、Plutoのクラウドサーバーを介して、Plutoステーション本体から赤外線で操作されるからだ。

 操作するのに、自宅にいる必要もなく、外出先からでも操作できるようになる。

 例えば、猛暑の夏や極寒の冬であれば、自宅のエアコンを操作しながら帰ればいい。帰宅した頃には快適な温度になっているのだ。ライトであれば旅行にでかけた時に、防犯用に自宅の照明をON/OFFするのにも使える。

 ただしテレビやレコーダーについては、外出先からの使用頻度は低い。録画予約などの複雑な操作には対応していないからだ。無理ではないが、ほぼ不可能なので、この部分には期待すべきではない。

 また、外出先から使用する場合に気をつけたいのが、操作したという手応えが一切ないこと。例えばエアコンの電源をONにしても、「エアコンを付けました」などの結果表示はないのだ。

購入前に、設置するのに適した場所があるかを確認しよう

 使っていて感じた問題はいくつかある。

 1つは、前述した通り、手応えがないこと。指示がきちんと伝わっているのか分からないため、外出先からでは皆目わからない。機器を前にしても、レスポンスが良いとは言えないので、何度もボタンを押してしまう。これが誤操作を呼ぶ。

 もう1つは、Pluto本体がワイヤレス化されていない点。そのため置く場所が限られる。少なくとも下に挙げた条件に合致した場所が求められる

 1 LANケーブルでルーターとつなげられる場所
 2 操作する家電を正面から見渡せる場所(障害物がないことも重要)

 我が家では、こうした条件をクリアする場所が見つからず苦労した。

 例えば、ルーターと電源が近くにあるからと言って、テレビやApple TVに向けて本体を設置すると、筆者宅の場合はエアコン操作に支障が出た。こうした点は、本体を壁に貼り付けることで、ある程度解決した。ただしこれも、本体が壁掛け用の何かがあるわけではないので、強力な両面テープで壁に貼り付けるという、不安定な取り付け方しかできない。

設置場所の問題は、本体の裏面に両面テープを貼り、壁に設置することである程度解決できた。ただし見栄えは悪い
壁に貼り付けることで、違う方向を向くテレビとエアコンの両方が、操作できるようになった
コンセントに差し込むと、電力線を使ってインターネットに接続できるようにするのがPLCアダプター

 また、PLCという電力線を通信回路として利用する機器を使うと、ルーターから離れた場所にも設置できる。これを使えばPlutoステーションの設置場所の選択肢が広がる

 だが、Plutoステーションを使いやすくするために、1万円前後するPLCを購入するのはお薦めしない。

継続利用すれば、便利に感じる機会は増えそう

 いろいろと問題を指摘したが、リモコンがない! とあちこちを探す手間はなくなる。特に子どもが小さく、色んなところにリモコンを隠してしまう家庭であれば、有用だろう。

 一度だけ、仕事をしている時に家人から電話で「エアコンをOFFにしてほしい」という依頼があった。どうやら1歳の息子がエアコンをONにした上に、リモコンをどこかに隠してしまったらしい。この時には、外から操作できることに、ありがたさを感じた。自宅にいたとしたら、すぐに解決できただろう。

 最初の1カ月で、便利だなと感じた一瞬があったので、継続して使えばさらに便利さを実感する機会も増えるだろう。

河原塚 英信