家電製品ミニレビュー

タイガー「コーヒーメーカー ACY-A040」

~ステンレスサーバーと泡ミルク機能を備えたコーヒーメーカー

多機能ながらシンプルですっきりとしたデザイン

タイガー「コーヒーメーカー ACY-A040」

 今回紹介するのは、タイガー魔法瓶のコーヒーメーカー「ACY-A040」だ。最近のコーヒーメーカーのトレンドとして、保温性能を備えたステンレスサーバーと、蒸気でミルクを泡立てる「スチームミルク」機能があるが、ACY-A040はその両方を備えたモデルだ。

メーカータイガー魔法瓶
製品名コーヒーメーカー ACY-A040
希望小売価格19,950円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格10,453円

 スチームミルク機能を備えたコーヒーメーカーというと、かなり本格的で本体サイズも大きめなものを予想していたが、ACY-A040は長方形のスクエアモデルで、凹凸がなくキッチンに置きやすい。スクエアな本体にはめ込むようにして、フィルターケースをセットして、その下にサーバーを置くスタイルで見た目にもすっきりとしている。

 付属品の数もそれほど多くなく、ステンレスサーバー、フィルターケースとフタといった一般的なコーヒーメーカーと同じ付属品にスチームミルクを作るためのケースとフタが付いているだけだ。部品の数が多いと、その管理が大変なので、少ないのは嬉しい。

本体正面。スクエアデザインで、箱の中にサーバーやフィルターケースをセットするようなイメージ
本来側面
本体背面。水タンクが備えられている
付属部品。ステンレスサーバーやフィルターケース、水受けトレイなど、ごく一般的なもの
スチームミルクを作るミルクカップも付属する
本体背面にセットする水タンク

ステンレスサーバーで温かいコーヒーが長く楽しめる

 まずは、ドリップコーヒーを淹れてみよう。手順は至って一般的なもので、特に迷うことはない。まずは、本体背面に用意されている水タンクに水を入れて、再び本体にセット。その後、フィルターケースにドリップペーパーをセットして、コーヒー粉を入れて、フタをしたら、本体に装着する。ステンレスサーバーをフィルターケースの下に置いたらスイッチを入れる。

 スイッチは、本体側面のレバーで操作する。レバーの位置を動かして、操作する仕組みなので、とてもわかりやすい。

フィルターケースにペーパーをセットする
コーヒー粉を入れる
フィルターケースのフタをする。フタには細かい穴が開いている
本体にフィルターケースをセットする
セットしたところ
水タンクには目盛りが書いてある
本体上部の操作部
側面のレバーで操作する
ステンレスサーバーをセットしたところ

 ACY-A040では、ドリップの方法にもこだわっている。フィルターケースの側面のリブを深くすることで、ペーパーとケースに間に空間を設け、じっくり蒸らすことができるという。また、シャワー状のお湯でコーヒー粉をまんべんなく蒸らすことで、コーヒーの香りとコクを引き出している。フィルターケースにフタをするというのは、ちょっと珍しいが、これは、お湯をシャワー状にするための工夫なのだろう。

 実際のコーヒーの味にも満足している。抽出後のコーヒーがそのままステンレスサーバーに落ちるので、おいしいコーヒーを長く飲めるのも嬉しい。ステンレスサーバーは、内部が真空になった本格的なタイプで、保温性性能も優れている。実際計測したところ、1時間後でも温度が変わらず、3時間後でも5℃ほどしか温度が下がっていなかった。

 なお、ステンレスサーバーの保温性をさらに高めたいなら、抽出前に沸騰したお湯を一度サーバーの中に入れると良い。取扱説明書にも書いてある方法で、一度サーバーを温めることで、熱々のコーヒーを楽しめるという。毎朝やると思うと、手間に感じるが、来客などちょっとした時に覚えておきたい方法だ。

 私より3時間ほど早く出勤する夫が淹れたコーヒーを、後から起きた私が同じように楽しめるというのは、ステンレスサーバーならではの利点だ。

コーヒーをカップに移す時は、サーバー上部のレバーを押しながらサーバーを傾ける
沸騰したお湯を一度サーバーに入れることで、熱々のコーヒーが楽しめる

ふわふわの泡ミルクが簡単に作れる

 次に試したのは、ACY-A040の大きな特徴でもある泡ミルクだ。蒸気を使って牛乳を泡立てるスチームミルクは、普段コーヒーショップなどでしか味わえないので、それが自宅で作れるというのは嬉しい。

 実際の手順も簡単だ。まず、ミルクカップに適量の牛乳を入れる。ミルクカップにはあらかじめ、目盛りが付いているので、自分で計量する必要はない。目盛りは1と2の2つで、1杯分なら1、2杯分なら2の目盛りまで牛乳を入れる。このミルクカップをフィルターケースと同じ場所にセットしたら、次に背面の水タンクに、水を入れる。水タンクにはコーヒーを淹れる時とは別の「スチームミルク用」という目盛りがあるので、そこまで水を入れたら、準備は完了だ。

 後は、本体上部に設けられている「スチームミルク」ボタンを押して、予熱完了を待つ。最初点滅していた赤いライトが、点灯したら、側面のレバーを手前の「スチーム」のところに動かすと、ミルクの中にスチームが噴出される。

ミルクカップに牛乳を入れる
スチームノズルが付いたフタをする
コーヒーのフィルターケースをセットする場所にミルクカップを入れる
本体にセットした状態
水タンクのスチームミルク用目盛りまで水を入れる
本体上部の「スチームミルク」ボタンを押して、ランプの点滅が終わったら予熱完了の合図だ

 最初は、目盛りの牛乳の量がかなり少なくて、「これで足りるのかな」と少し心配になるくらいだったが、スチームが投入されると、みるみるうちに嵩が増えてきた。スチームは、自動では止まらないので、自分の目で確認して、レバーの位置を元に戻して止める。1杯分ならだいたい30秒、2杯分なら60秒ほどが目安だ。

スチームミルクを作っているところ。あっという間に牛乳の嵩が増していく

 完成したスチームミルクは、約78℃ほどのあたたかいミルクで、泡のキメが細かくてフワフワだ。口当たりが良く、いつもよりリッチなコーヒータイムが楽しめる。

完成したスチームミルク
約78℃ほどの温かいスチームミルクができあがる
きめ細かいふわふわの泡ができる
コーヒーにスチームミルクを入れてカプチーノの完成
口当たりの良い泡でいつものコーヒータイムがちょっと贅沢になる
ステンレスサーバーにコーヒーを抽出するので、スチームミルクを作っている間にコーヒーが冷めてしまうことがない

 もう1つ、ACY-A040ならではの利点が、スチームミルクを作っている間にコーヒーが冷めることがないということ。ACY-A040に限らず、家庭用のコーヒーメーカーでは、コーヒーを淹れる場所と、スチームミルクを作る場所が同じことが多いため、タイムラグが生じてしまう。コーヒーを淹れてからスチームミルクを作るとその間にコーヒーが冷めてしまったり、スチームミルクを作ってからコーヒーを淹れるとその間にフワフワの泡がなくなってしまうといった具合だ。

 ステンレスサーバーにコーヒーを抽出するACY-A040ならば、スチームミルクを作っている間にコーヒーが冷めてしまうということがないので、温かいコーヒーに温かいスチームミルクを入れて、ベストな状態でのカプチーノが飲めるというわけだ。

 予熱の時間が必要だったり、ミルクカップなどで洗い物が増えるということもあって、毎朝スチームミルクを作っているわけではないが、週末の朝や、自宅で仕事する時など、いつもより少し贅沢なコーヒーを楽しめるというのはやはり嬉しい。最近では、ミルクを泡立てる専用機器などもあるが、スチームミルクの場合、中から蒸気を入れるため、キメの細かい泡がしっかり立って、消えにくい。個人的には、スチームを使って泡立てたミルクの方が断然好みだ。

手入れもしやすい

 ACY-A040のような多機能コーヒーメーカーの場合、お手入れのしやすさも重要なポイントとなる。ACY-A040では、全ての部品が丸洗い可能。ミルクカップに取り付けて使うスチームノズルも分解できて、中までしっかり洗うことができる。また、本体内部に牛乳を入れるわけではないので、お手入れしなければならない場所が少ないというのも利点だ。

 本体下部には、水受けケースも用意されているが、ACY-A040では、フィルターケースの下にステンレスサーバーのフタの上の部分をくっつけた状態で抽出されるので、汚れもほとんどない。

スチームノズルも水洗い可能
スチームノズルは二重構造になっており、中までしっかり洗うことができる
本体下の水受けケース。ステンレスサーバーがコーヒーをしっかり受け止めてくれるので、ほとんど汚れない

 ステンレスサーバーやスチームミルク機能など、今のトレンドを意識しながらも、基本機能はシンプルで、使い勝手も良い。スチームミルク機能も製品によっては、付属部品が多かったり、内部まで掃除が必要なものもあるが、ACY-A040は部品が少なく、操作や手入れもシンプルで、使いやすい。これといった欠点もなく、幅広くお薦めできる製品だ。

阿部 夏子