家電製品ミニレビュー

無印良品「白磁スタンドライト」

~滑らかで優しい光を演出する小型スタンドライト
by 藤原 大蔵

無印良品「白磁スタンドライト」
 空間にするりと溶け込むような、物静かな照明器具がある。声高にデザイン性を主張するでもなく、眩いばかりの明るさを叫ぶでもなく――今回紹介する無印良品の白磁スタンドライトは、作業の効率化を図るものとは対局にある、ゆったりとした、やさしいインテリアを演出する小型の照明器具だ。

 シンプルな形状の器具は、漆喰や石膏のようなツヤを抑えた白磁製。デコラティブな要素をスッパリと削ぎ落とし、白磁という素材を生かした、どこか凛とした佇まいが印象的。点灯すると薄い白磁製のセードから淡い光が滲み、柔らかな光が時をほんのりとやさしく照らし出す。

 今回は、少し儚げで静かな雰囲気をたたえる無印良品の「白磁スタンドライト」を、実生活のシーンに活用しつつ紹介しよう。

メーカー無印良品
製品名白磁スタンドライト
購入店舗無印良品ネットストア
購入価格12,000円

準備は電球をセットしシェードをかぶせるだけ


 パッケージの中には、白磁製のベースとセード、それに40Wタイプの明るさを持つE17口金の電球形蛍光灯が同梱されている。組み立ては簡単で、ベースに電球を取り付け、金属のシェード受けに白磁のセードをそっとかぶせる。あとは好きな場所に置いて点灯するだけだ。

 大きさは157×245mm(最大直径×高さ)、重量は1.1kgと、安定した重さがあるが、ベースの底には直径が75mmのウレタンが貼ってあるので、滑らずに安定して置くことができる。また、そのウレタンの厚みの分、磁器製のベースの底は1mmほど浮いた状態で置かれるので、設置面にキズをつける心配はなさそうだ。ただし、白磁は落としたら割れてしまう素材なので、設置する場所は慎重に選びたい。

箱の中には白磁製のベースとセード、それに明るさ40Wタイプの電球形蛍光灯(東芝製・電球色)が同梱されている。1.8mの電源コードには中間スイッチがついているまずは同梱された電球形蛍光灯を取り付ける。シェード受けの高さは95mm白磁製のセードの厚みは約2mm。割れやすい素材なので扱いはくれぐれも丁寧に
ベースの底には厚さ1mmのウレタンが貼ってあり滑らずに安定して置くことができる。磁器製のベースの底がウレタンの厚みで浮くので、設置面にキズがつきにくい電球をとりつけ、セードをかぶせれば準備は完了。オブジェ的な美しさも印象的だ

 写真を撮影していて感じたのだが、シンプルで滑らかな外見に、磁器という素材の持つ穏やかな質感も加わって、物静かながらも心地良い存在感がある。点灯していなくても周りの光の状態によって表情が変化するので、オブジェ的な要素も楽しめるだろう。

置いた環境の光によって、ライトを点灯せずとも表情を変える逆光になっても印象的なデザインだ
   

抑えめでやさしい光。意外とLED電球とも相性が良い

 点灯すると、抑え目のやさしい光が灯る。電球の直接光とセード内の反射光が、ベースのくびれ部分と床面を照らし出し、それらが反射光となって部屋に柔らかく広がる。厚さ2mmの白磁製のセードから滲み出る、眩しさがまったく感じられない柔らかな光が印象的だ。

 シェード直下の床面の明るさを計ると、同梱されている明るさ40Wタイプの電球形蛍光灯の場合で858Lxと、かなり明るい。しかし、器具から30cm離れただけで110Lxとぐっと抑えられた明るさになる。全体の印象は、かなり抑え目な明るさといったところだ。

 

同梱されている電球形蛍光灯を点灯したところ。セードを通して柔らかな光が滲みだすが、壁面へは光が届かないほど抑えた明るさとなる電球の直接光とセード内からの反射光は半径30cm程度しか広がらない床面からセードの端までの距離は13cm程度。したがって光は直接目に触れにくい

 ここで、パナソニックのE17口金のLED電球「EVERLEDS(エバーレッズ) LDA6L-E17-A1/Dと、同じくE17口金のLED電球の三菱電機オスラム「PARATHOM・CLASSIC(パラトン・クラシック) P・WW」を取り付け、点灯してみようと思いついた。明るさをそれほど求めない器具なので、低い発熱量、長寿命で低電力というLED電球の特徴も活かせるのではないか。

パナソニックのLED電球「EVERLEDS(エバーレッズ) LDA6L-E17-A1/Dを取り付けたところ明るさは電球形蛍光灯よりも少し落ちてしまうが、これはこれで好印象。セードは十分に光っており、雰囲気は大きく変わらない。ちなみに明るさは直下で445Lx、30cm離れると47Lxになる電球形蛍光灯と同じように、セード真下から洩れる光が、ベース、床面をやさしく照らしている
三菱オスラムのLED電球「PARATHOM・CLASSIC(パラトン・クラシック) P・WW」をとりつけたところ。全光束は60lmとかなり暗めのLED電球ださすがに電球形蛍光灯よりも暗めになってしまうが、光のムラは見えにくく、実際にはまずまずの明るさは得られる。直下で180Lx、30cm離れると20Lx程度の明るさになるギラつきやすいLED本体は完全に隠れている。明るさもある程度は得られる。しかも消費電力も1W以下と、電気代も経済的

 結果的に、どちらも相性は良かった。明るさは電球形蛍光灯には及ばないが、インテリアに求められる明るさと合うならば、どちらも全く問題なく利用できる。エバーレッズは、電球の形状から光が器具の上方に集るが、全体の印象はとても良く、調光ができるのも便利。また光のムラができやすいパラトンも、そのムラは気にならず良い印象だ。

 同梱されている電球形蛍光灯の消費電力は実測で9W。エバーレッズの実測は3Wと1/3の消費電力になる。パラトンはさらに低く1W以下になるので、長時間点けっぱなしにするような使い方もできるだろう。どちらも用途に応じた使い方が楽しめるだろう。


シンプルな空間に似合う美しい照明器具。楽しめる場所は以外と多い


 柔らかく暖かみのある光が楽しめる白磁スタンドライト。我が家のいくつかの場所に置き、それぞれを撮影した。

 最も一般的なのが、リビングルームのアクセントライトとして使う用途だろう。セードを通過する柔らかな光と、ベースが反射する光のコントラストが美しく、より印象的な雰囲気が楽しめる。また、調光タイプのLED電球を利用すると、やさしげな常夜灯としても活用できる。

リビングルームでの使用がもっとも一般的な使い方だろう。質感が良く植物との相性も良い調光に対応する光源を使えば、常夜灯としても活用できる

直接目に入っても眩しくないので、目線に触れる高さに置いて、物静かな印象の玄関を演出しても良いだろう
 次はあえて玄関先に置いてみる。煌々と明るい玄関も良いが、明るさを抑えた玄関もなかなか趣きがある。器具を目線よりも低い位置に置くと光源が自然に眼に触れるので、多少暗くても決して陰気な雰囲気にはならない。このような抑えた灯りで、来訪者を静かに迎え入れるのも良いのではないだろうか。

2人用の小さなテーブルにもしっくりと馴染む。キャンドルライトのような使い方で、大人の雰囲気を演出するのもなかなか素敵ではないだろうか
 最後に、白磁スタンドライトをテーブル上で使用した。作業用としては暗いものだが、キャンドルライトのような灯りとして利用でき、ぐっと大人の雰囲気のテーブルが演出できる。E17口金の電球を使うだけあって器具は小型。底の直径は93mmなので、2人用の小さなテーブル上の置いてもしっくりと馴染む。グラスを傾けながらゆっくりと語りあうシーンにも良く似合う。


 値段は12,000円と、照明器具としては決して安くはない。しかし、質感が良く、暖かみのある光がとても魅力的だ。少し大人っぽいインテリア空間が演出しやすく、シンプルな佇まいは和室、洋室に関わらずマッチさせやすい。金属やガラス、プラスチックを用いた照明器具には無い、落ち着いた風合いと光で、お気に入りの空間をより魅力的に演出してみてはいかがだろうか。



2010年4月26日 00:00