家電製品ミニレビュー

富士通ゼネラル「nocria(ノクリア)S AS-S25B」

~エアコン1台で部屋全体がムラなく暖かい

富士通ゼネラル「nocria(ノクリア)S AS-S25B」

 この夏、我が家に導入したエアコン、富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア)S AS-S25B」。暑い時期は快適な冷房として役に立ってくれた。その様子はロングレビューで紹介したが、冬の暖房機能はどうだろうか。さっそく試してみよう。

メーカー富士通ゼネラル
製品名ノクリアSシリーズ AS-S25B
希望小売価格オープン
購入場所ビックカメラ.com
現在価格124,800円(購入時:138,000円)

 nocria(ノクリア)S AS-S25Bについて改めて紹介すると、室内機のサイズは728×302×250mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクト。このSシリーズは、ノクリアシリーズの2012年モデルの中でも最も小型な室内機を採用している点が特徴だ。

寝室として使っている和室8畳に設置。南向きなので部屋は日中温かい。暖房運転は夜間の就寝前がメインで使っている
室外機のサイズは790×290×620mm(幅×奥行き×高さ)でそこそこ大きい

 AS-S25Bには、2.4GHz帯の電波を採用した無線リモコンが付属する。無線リモコンは、別の部屋からでもエアコンを操作できる点が特徴で、例えば今の季節、寝室に入る前に、リビングからでも暖房運転をONにできる。

付属の無線リモコンは液晶が大きく、文字が読みやすい
カバーを開けると、細かい操作ボタンが現れる。風量や風向き、タイマーなどを設定できる

 この無線リモコンは、ノクリアの電気代を見える化する機能も持つ。液晶画面に、運転時間や電気代の目安などを表示するほか、富士通ゼネラルがユーザー向けにリリースしているWindows OS用ソフトウェア「おしえてノクリア」をあらかじめパソコンにインストールしておくと、リモコンからパソコンにデータを転送して、パソコンの画面上でノクリアの電気代や運転時間をグラフ化して確認できるのだ。なお、転送にはUSBケーブルを使用する。

運転後、リモコンの画面上に、その日の電気代の目安と運転時間を表示する
USBケーブル経由でパソコンにデータを転送する

意外と電気代がかからず、思ったより暖まるのが早い

今の季節のように寒い時期は、自動で暖房運転を開始する

 ノクリアを導入するまで、我が家の寝室では、暖房としてオイルヒーターを使ってきた。正直エアコンの暖房は、電気代が高そう、暖まるまで時間がかかりそう、部屋の上のほうばかり暖まって、足元は寒そう……といったマイナスイメージが先行していた。

 だが実際にノクリアの暖房を使ってみると、意外と電気代がかからなかった。寝室に設置したので、運転時間が夜寝る前の数時間に限られる、というのも理由だろうが、2時間ほど連続して使っていても、電気代は30~40円程度で済んでいる。

 12月に入ってから、週3、4日の頻度で、寝入り前に数時間を使っているが、12月1日から12月20日までの電気代のトータルは131円にとどまっている。

 ちなみに夏に冷房を使った際も、あまり電気代はかさまなかったのだが、一晩中運転していた冷房に比べて、寝入りまでの数時間しか運転しない暖房は、さらに消費電力が少なくて済んだ。

専用ソフトウェア「おしえてノクリア」で電気代を運転時間を確認できる

 また、暖房運転のスイッチを入れてから、部屋が暖まるまでの時間も短かった。具体的には、室温が9.8℃だった夜間、暖房を入れたところ室温は約40分で20.2℃まで上昇した。ガスストーブのような、付けてすぐに暖かいという即暖性はないが、15分ほどで13~14℃まで室温が上昇し、ある程度寒さが和らいだ。これまで使っていたオイルヒーターは、10℃以下の部屋を20℃近くまで暖めるには30~50分ほどかかっていたから、ノクリアではオイルヒーターよりも早く部屋を暖められることになる。

湿度の低下に気をつけよう

 1つ問題なのは、乾燥だ。加湿器をつけずにノクリアを運転してみたところ、みるみるうちに部屋が乾燥していって、数十分で湿度35%まで落ちてしまった。たまたま和室でくつろいでいた母は、「このままではミイラになっちゃうよ」と悲鳴をあげた。

 私自身、加湿器を付けずにエアコンの暖房運転を付けっ放しにして寝てしまって、“ひからびた”ことがある。その時は、翌朝目が覚めると喉が痛くてしゃべれず、目はしばしばして霞む、という悲惨な状況だった。これはノクリアに限らず、エアコン暖房全体に言えることだが、暖房運転時は、部屋の加湿がマストである。

おしえてノクリアで表示されるワンポイントアドバイスでも、加湿の大切さを説いている
寝室で使っている東芝の気化式加湿器「uLos KA-P50X」

 なお、寝室で使っている加湿器は、東芝の気化式加湿器「uLos KA-P50X」。定格加湿能力は500mL/h、消費電力は19~22W。これまで寝室で使っていたオイルヒーターの消費電力は1,200~1,500Wだったので、エアコンの暖房515Wとこの加湿器を併用したほうが、消費電力が低いのだ。

 試しに部屋の温度が14.3℃、湿度が36%の状況から、ノクリアの暖房運転と加湿器の自動運転をそれぞれONにしたところ、約35分後に室温は19.9℃、湿度は48%まで上昇した。湿度が高いほうが、同じ室温でも暖かく感じるというし、風邪予防にも、湿度の低下は防ぎたいところだ。

温度が14.3℃、湿度が36%
15分後。温度が17.4℃、湿度が38%
35分後。温度が19.9℃、湿度が48%
暖房運転時。下向きのルーバーから温風が吹き出す

 室温のムラは、部屋が暖まるまでは若干ある。最初のうちはやはり、天井に近いほうが温かく、床に近いほうが冷たい。だが、しばらくして部屋が暖まってくると、床付近でも暖かさが感じられるようになった。私はノクリアを設置した和室に布団を敷いて寝ているので、床付近がポカポカと暖まると寝付きやすい。

図のように、足元も暖まるので、畳に布団を敷いて寝ていても、温かさを得られた

 なお、ノクリアは暖房時だからといって特別な手入れはいらない。暖房能力の低下を防ぐ「霜取り運転」を自動でやってくれる。霜取り運転は、外気温が低く湿度が高い時に行なう。暖房運転中か、運転後の10分前後という短い時間で済むので、その間に部屋が冷えることはない。

消し忘れの心配いらず。「不在ECO」機能

 暖房機能以外の使い勝手で気に入ったのは、「不在ECO」機能。夏の冷房の記事でも紹介しているのだが、ノクリアでは室内機に人感センサーを搭載し、部屋から人がいなくなると、自動で運転を弱めたり停止してくれるのだ。これにより、エアコンの消し忘れを防ぎ、消費電力の無駄を防ぐ。

室内機に人感センサー搭載で、不在時に自動で省エネ運転する「不在ECO」機能。4つのモードがある

 「不在ECO」機能には細かく分けて4つのモードがある。1つ目は人の不在を検知すると10分後に運転を弱める「オートセーブ」モード、2つ目は人の不在を検知すると10分後に省エネ運転を始め、さらに1時間経つと運転を停止する「オートオフ短め」モード、3つ目は同じく不在から10分後に省エネ運転を始め、3時間後に運転を停止する「オートオフ長め」モード、そして4つ目は人の不在を検知すると10分後に省エネ運転、30分後に運転を休止し、人が戻ってくると自動で運転を再開する「オートON/OFF」モードだ。

 このうち私が常用しているのは「オートON/OFF」モードだ。少し部屋を離れる際には、自動でこまめに運転をセーブしてくれるので助かっている。部屋に戻ってくると、室内機からピッと音がして、運転を再開する。いちいちリモコンで運転ボタンを押す手間はかからない。

夏も冬も省エネ

 というわけで、こうしてひととおり使ってみると、暖房機能は、空気の乾燥以外、文句なし。しっかりとした暖かさが得られるし、電気代も気にならない程度で済んでいる。加湿器と併用すれば、これまで寝室の暖房として使ってきたオイルヒーターよりも、消費電力が少なく済む。

 今年は夏と冬、年間を通してノクリアを使ったが、やはり一番面白かった点は、パソコンで電気代を見える化できたところだ。目標値も設定できるので、私は今月の電気代の上限を300円に設定し、就寝前の必要最低限の時間だけ運転している。目標を持ったほうが頑張れるし、ストレスなく節電を継続できる。

 ノクリアは夏はもちろん、冬もしっかり使えるエアコンだ。エアコンの購入を考えている方は、選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

小林 樹