長期レビュー

富士通ゼネラル「nocria(ノクリア)S AS-S25B」その1

~節電の夏にベスト! 電気代管理が簡単にできるエアコン
by 小林 樹

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



富士通ゼネラル「nocria(ノクリア)S AS-S25B」

 昨年ほどではないにしろ、今年も“節電の夏”が続いている。電力が限りある資源だと気づいた以上、節電は日常の1コマとなったからだ。加えて、電気代の値上げ。日々、電化製品に囲まれている身としては、頭が痛い。

 そこで今年は、省エネ性の高いエアコンを導入することにした。なかでも富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア)」シリーズは、毎日の電気代をリモコンで表示し、さらにパソコンで運転時間やトータルの電気代を管理できるという、まさに節電仕様のエアコンなのだ。

 基本性能や省エネ性がしっかりしていることはもちろんだが、導入の決め手となったのは、設置しやすさ。設置場所が寝室として使っている和室の窓上なので、日差しを遮らない、コンパクトなものが理想だった。ノクリアではシリーズ最上位機種で省エネ性能No.1を謳うZシリーズもあるが、ほぼ同じ機能で、室内の窓上などに取り付けやすいというスリムなSシリーズを選んだ。

 今回は、富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア)S AS-S25B」について、設置の流れや使い勝手、冷房機能、省エネ性などを、全3回でお届けしたい。


メーカー富士通ゼネラル
製品名ノクリアSシリーズ AS-S25B
希望小売価格オープン
購入場所ビックカメラ.com
購入価格138,000円

 初回となる今回は、設置からひと通り使ってみた感想までお伝えしよう。設置場所は、寝室となっている8畳の和室。日中は会社で働いているため、自宅で冷房を使うのは就寝時がメインだ。

 取り付けは、業者の方が行なう。ビックカメラ.comで注文したところ、取り付け代金まで含めて138,000円だった。所要時間は1時間程度とのことだったが、実際には1時間半程度かかった。具体的な手順は、以下の写真でご紹介しよう。

従来の室内機を外し、裏板が残っている状態新しいエアコンの外箱。開封も全て業者の方が行なってくれる新しい室内機を取り付ける準備中。室外機と室内機を繋ぐパイプの部分をセットする
新しいエアコン専用の裏板を取り付ける。Sシリーズは本体がスリムなぶん、裏板も小さい。従来のエアコンよりもずいぶん設置面積が小さい室内には養生用の毛布を敷いて作業にあたる室内機を裏板にはめ込む
室外機も新しいものに交換。室外機を背面から見た図取り付けの最後に試運転を行なう取り付け完了!

 取り付けてみると、室外機が予想以上に大きくて、母も驚いていた。少なくとも、以前設置していたナショナルのエアコンの室外機よりも横幅がある。エアコンを取り付けた業者の方によれば、省エネ性の高い最新モデルほど、放熱性を高めるため、室外機が大きくなる傾向にあるという。我が家の場合、エアコンを取り付けた寝室は一軒家の2階。よって、室外機を置いたのは2階のベランダで、スペースは確保できたものの、あらかじめちゃんと採寸していたほうがいいだろう。

従来の室外機は、当時のラインナップの中でもコンパクトなほうだったノクリアの室外機。横幅があり、かなり大きくてカメラのフレームに収まりにくい

 いっぽう室内機の横幅はスリム。設置面積自体は狭くなったのだが、前に張りだしたようなシルエットなため、存在感がある。ただこれはあくまで第一印象で、使っていくうちに慣れる。外の日差しを遮ってしまうとか、邪魔になるなんてこともない。

以前使用していたナショナルのエアコン。冷房専用で、薄い形だ富士通ゼネラルのSシリーズは、前に張り出したようなデザイン。シャープのエアコンにも同じ傾向が見られる

 笑ってしまったのは、富士通Sシリーズの本体がスリムすぎて、壁紙が足りなかったこと。ノクリアの室内機のサイズは728×302×250mm(幅×奥行き×高さ)。従来のエアコンよりも幅が狭く、設置面積が狭くなったため、壁紙が足りなくなっている。幸い、部屋の隅の目立たない部分だが、一応近々ホームセンターで壁紙を買って来る予定だ。

以前使用していたエアコンを、正面から見たようす富士通Sシリーズは、横幅がスリムだ従来のエアコンより幅が狭く、壁紙が足りなくなった

1日の電気代を見やすく表示するリモコン

 ノクリアの大きな特徴でもあるリモコンを確認しよう。リモコン本体は、手に持つと結構大きく、テレビのリモコンよりも横幅がある。そのぶん、液晶も大きく見やすい。液晶は通常時、時刻と電気代、運転モードなどが表示される。電源には、単四形乾電池4本を使用する。

 露出しているボタンはシンプルで、電源をON/OFFする「運転/停止」ボタンのほか、運転モードを切り替える「運転切換」、OFFタイマーを設定する「おやすみ」、温度を上げ下げする「温度」ボタンが備わっている。

結構大きめのリモコン。液晶はコントラストがはっきりしていて、視認性が良いカバーを開くと細かい操作ボタンが現れる電源には、単四形乾電池4本を使用する

 このリモコンの最大の特徴は、通信方式に“業界初”の2.4GHz帯の電波式を採用した無線リモコンである点。要するに、従来の赤外線リモコンのように室内機に向けて操作する必要がなく、隣の部屋からも操作が可能なのだ。

 そしてリモコンの右上には、室温センサーが備わっている。これにより、エアコン本体とリモコンの2カ所で温度を感知できるというわけだ。これまでのエアコンでは、室内機にのみ温度センサーを搭載している場合が多く、室内機付近の室温に合わせて運転するため、体感温度が寒くなりすぎてしまうことがあった。ノクリアSシリーズでは、リモコンを身体の近くに置いておけば、より体感温度に近い冷暖房運転が可能となり、無駄な消費電力も省ける。

リモコン上部の隅に備わっている、室温センサーパソコンにUSB接続するケーブルの差込口リモコンとパソコンを繋ぐUSBケーブル

 さらに、パソコンと連携して消費電力や電気代を確認する、いわゆる“電力の見える化”にも対応する。室内機が1日1回、電気代や運転時間といったデータをリモコンへ送信。そしてリモコンをパソコンにUSB接続することで、パソコンの画面上で、日々の電気代や運転時間を確認できる。この機能については、第3回で詳述する。

エアコン運転後、パソコンと繋ぐ。この機能については第3回で詳しく触れるパソコンに接続中はエアコンの運転操作ができないマンスリーカレンダー形式で表示する

運転音は静か。冷房は寒すぎない、寝冷えしない

冷房時に水平に気流を送るため、ルーバーの向きも水平になっている

 さっそくリモコンで本体の電源を入れ、運転を開始。運転モードは、「冷房/暖房/除湿/自動」があり、今回は「自動」を選択した。「自動」では、室内温度に合わせて冷暖房運転を行なう。湿度や気温の高い今の時期だと、冷房運転を開始する。室内機から「自動運転を開始します」というアナウンスとともに、ゆっくりとルーバーが開くと、送風が始まる。

 室内機の運転音はとても静か。スペック上では、45dBとなっている。風が直接肌に当たる感覚はないのに、いつのまにか暑さを感じなくなっている。運転中、一度和室から廊下に出て、もう一度和室に戻ってみると、涼しさがはっきりとわかった。

 この快適な涼しさを生み出すために、ノクリアでは冷房時に水平に気流を送り、顔に冷たい風が直接当たらないよう配慮しているという。これにより、肌寒く感じたり、足元ばかり冷えるということもないというわけだ。


自動運転を開始。その後、冷房27℃に設定。送風音は静かで、外を行きかう車の音にかき消されているほど運転を停止させると、ルーバーが閉じる。このあとは、内部クリーン運転を開始する
運転後は、内部クリーン運転を開始。室内機の内部を乾燥させ、カビやニオイの発生を抑える

 運転後は、「内部クリーン運転」が始まる。冷房や除湿運転を10分以上行なった場合、室内ユニット内部が結露し、カビやニオイの原因となる。よって、運転後に結露を取り、室内ユニットの内部を乾燥させて、カビや雑菌の繁殖を抑える必要がある。

 冷房・除湿運転停止後、毎回約90分間かけて内部を乾燥させるので、かなり時間がかかる……という印象なのだが、この90分でかかる電気代は約1円とのことで、そこまで気にすることはないようだ。なお、内部クリーン運転はOFFに設定することもできる。

 就寝時に「自動」運転してみたところ、寝冷えもせず満足。古いエアコンを使っている時は、寝ている間にエアコンをつけていると、手足が冷えたり、喉が痛くなったり、寝冷えしたりと、散々な目にあった。かといって、冷房を我慢すると、滝のように寝汗をかいて苦しむので、毎年夏の眠りは浅いものだと諦めていた。その点、ノクリアが我が家にやってきてからは、今のところ寝冷えゼロ。「自動」に設定していると、ちょうどいいと感じる体感温度で、送風を簡欠運転している。一晩中、涼しすぎず、暑苦しくなく、ぐっすりと眠ることができた。


1日の電気代を、円単位でリアルに表示。危機感に訴えてくる

 リモコンには、当日の電気代と運転時間を表示する。さらに、エアコンの運転を停止すると、「今日」と「昨日」の電気代がリモコン画面に表示され、比較ができる。これがとても分かりやすく、家族で感心してしまった。使用電力量ではなく、円単位で表示されているところがミソ。リアルな金額で表示されると、節電意識も高まるというものだ。

 なおこの電気代は、 午前0時~午後11時59分の間で計算されており、1日のうち、2回目以降の運転停止時には、前回運転時の運転時間に加算して表示する。午前0時を回ると、エアコン運転中でも電気代の表示が「今日0円」の表示にリセットされる。1日の電気代の表示の上限は999円まで。ちなみに、夜間の就寝時に5時間10分運転させた場合、電気代は22円だった。

「今日」の電気代と運転時間が表示される運転を止めると、現在時刻のほか、「今日」と「昨日」の電気代が表示され、比較できる

 省エネ性が高いということで新しいエアコンに買い換えたわけだが、その新しいエアコンによって、日々電気代の無駄に気づかされ、さらに節電意識を促進させている。“見える化”によって、意識することの重要性を再確認できた。

 次回は、無線リモコンの醍醐味や、ノクリアに搭載されている各運転機能についてお伝えしたい。



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2012年7月13日 00:00