家電製品ミニレビュー
ティファール「2WAYコード」 後編
前回は、コードのあり・なしが選べる2WAYコードの概要、さらにコード付きならではのパワフルな使い心地を中心に紹介してきた。ただし、コードレスタイプを長く使ってきた私はコードの取り回しに大苦戦――でも2WAYコードならコード付きがだめでもコードレスがあるさ! というわけで、今回はコードレスの使い心地、さらにティファールアイロンの強みでもあるスチーム機能をご紹介していこう。
■女性用シャツや小物は、やっぱりコードレスが便利
今度はコードレスにして使う | コードの切替は本体後方のスイッチで簡単に行なえる |
コードレスにしたときの本体底面 | 給電台にはコードの分だけが残る |
サイズの小さいシャツの袖口部分や、襟元は、かけ面の切替が必須。これまで、コードレスアイロンを使ってきた私は、気がつけば手にコードがまとわりついているなんてこともしばしば……というわけで、切替が必要な細かい箇所や、小物はコードレスにして作業を進めていこう。
コード付き・なしの切替は、充電台後方にあるスイッチを切り替えるだけ。本体を持ち上げるとコード部分が台とつながって、本体だけが取れる仕組みだ。
と、仕組み自体は簡単なものだが、実際にやってみるとちょっとコツが必要。コードがつながっている部分を台にしっかり装着させることと、本体を上からではなく、前から外すように意識するとすぐに外れる。
コード付きからコードレスの切替はボタン1つで簡単に行なえるので、切り替えるのに何の躊躇もない。
実際使ってみると、今までコードレスアイロンを使っていたこともあって、特に女性用のサイズの小さいシャツなど方向を切り替えることが多い衣類はやはりコードレスの方が便利。
シャツの袖口など細かい部分や、本体の方向を何度も切り替える箇所はやはりコードレスの方が便利だ | こちらはレアな製品で申し訳ないが、着物の腰紐。着物を着るときに4~5本は使うもので、そのたびに洗濯、アイロン掛けが必要な厄介な小物だ | 紐を押し広げるようにアイロンを掛けていく。小回りが必要な作業の時はコードがあると少々うっとおしく感じる |
ただし、コード付きとのパワーの差もしっかり実感させられる。
シャツ一枚のアイロン掛けには、少なくとも3回ほど本体を給電台に戻す必要があるし、シャツの上を往復した時のシワの取れ方も違う。さらに、スチームの量は半分ほどになってしまう。もともとのパワーが強力なだけに、コードレスにすると、心細く感じるほどだった。どちらが良いのか――と本来は悩むところでもあるが、スイッチひとつで切替ができる2WAYコードの場合は悩む必要がない。その時に必要な機能を選べるのはやはり魅力だ
■たっぷりのスチームショットで、ジャケットが生き返る
スチームショットを使った様子。本体上部のボタンを押すと、プシューという音と共に大量の蒸気が出る |
2WAYコードの一番の特徴、というよりティファールのアイロンの一番の特徴が強力なスチームショット機能だ。通常のスチームアイロン使用時でもたっぷりの蒸気が発生するが、スチームショットでは、その名のとおり蒸気を衣類に吹きかけて衣類のシワをとるという。
使い方は簡単。シワをとりたい衣類をハンガーに掛けて、本体上部のスチームショットボタンを押すだけだ。すると掛け面からブシューという音と共に、大量の蒸気が発生する。
スチームショット機能は、最近ではコードレスアイロンにも必ずといっていいほど搭載されている。その中でもティファールが評価されているのはコード付きならではのパワーが影響する。スチームショットは一度に多くの蒸気を使うため、電気をかなり消費する。そのため、コードレスタイプのアイロンでは連続噴射が難しいのだ。
2WAYコードの場合は、コードがしっかり送電し続けるので連続使用も可能で、パワーも強力。仕上がりは写真を見てもらえば一目瞭然。ジャケットやカシミアのセーターなど自宅ではなかなかケアが難しい衣類もこれを使えば簡単にシワが取れる。ちなみに、これはあくまでしわ取りで汚れなどはとれない。長く着たかったらもちろん定期的なクリーニングが必要だ。
また、いかにもアイロン掛けしましたというぴっちりした仕上がりの服は嫌い、という人にもスチームショットはおすすめ。ハンガーに掛けた状態でシワ取りができるので、立体的で自然な仕上がりになる。
ジャケットの袖はシワになりやすくシワが目立つ場所だ。袖をアイロン台の上に置いて上からスチームをかける | ハンガーに掛けた状態スチームを掛けることもできる |
しわしわの袖口 | スチームを掛けてから、手で蒸気を生地になじませるようにする | クリーニングの仕上がりにはもちろん劣るが、見た目にはシワが目立たなくなる |
自宅でのケアが難しいセーター。専用の洗剤で洗濯したとこと襟元がヨレヨレになってしまった | 裾部分も伸びてしまった | スチームを上からかける |
襟元の仕上がり。生地のヨレが縮まった | 裾部分もこの通り |
■パリッとした仕上がりにしたいときはドライ+アイロン糊
本体をドライ設定にして洗濯糊でシャツを仕上げる |
と、ここまでスチームを使った実例をご紹介してきたが、2WAYコードでは、ドライアイロンも搭載している。ドライアイロンは、スチームを使わずに、霧吹きやアイロン糊を使ってアイロン掛けするときに使用するもの。2WAYコードには持ち手付近に設けられているボタンを押すと、掛け面前方に、少量の水が噴射されるという霧吹き機能も搭載されている。
ただ、霧吹きを用いたドライアイロンは、水の調節が難しく、やや上級者向け。2WAYコードでは、たっぷりのスチームで、衣類全体に十分な水分が行き渡るので、霧吹きを使うよりはスチームを選択するほうがおすすめだ。
逆に、ドライコースでしか出来ないのが洋服の糊付けだ。専用の糊付けスプレーを使ってアイロン掛けすることで、パリッとしたした仕上がりになる。
今回はメンズのドレスシャツに糊付けしたが、普通のアイロン掛けに比べるとテクニックが必要だった。糊をあらかじめ衣類に塗布してからアイロン掛けするのだが、1回掛けただけで、ぴしっと決まってしまうのでやり直しがきかないのだ。ただ、その分仕上がりは良い。襟元や袖口はもちろん、前身頃までピシっとした仕上がりになる。
袖もラインをあらかじめ決めてしっかり糊付けしていく | 糊付けをして特に差を感じるのはやはり襟元。クリーニングに出したようにピシっと仕上がるのが嬉しい |
また、糊付けしたシャツは形をキープしやすい。糊付けせずにスチームだけでシワを取ったものだと、収納場所によっては湿気などで再びシワがよってしまうということがあるが、糊付けしたシャツは型くずれしにくい。
■押しつけるのではなく滑らせるようにアイロン掛けをする
全体的な使用感を正直にいうと、コードレス機能の方はあくまで補助的な役割なのかなという気がする。本体の重さや、大きさは当然ながら、国産メーカーのコードレスアイロンとは大きく異なる。特に一番違いを感じたのは、本体の重さだ。
長らく軽量タイプのコードレスアイロンを使っていた私は、アイロン掛けをする時はある程度、押す力を加えるのが当たり前になっていた。かけ面が大きく、本体重量がある2WAYコードをその感覚で使うと、生地にシワがよって、失敗ばかりになってしまう。国内メーカーのコードレスアイロンに比べて水タンクの容量も大きく、本体そのものの重量も重い2WAYコードを使う時は押しつけるのではなく、滑らせるようにするのが正解。これに慣れるまでには、正直時間が掛かった。コードレスというのはあくまで機能で、本体重量やサイズについてはやっぱりコード付きタイプなのだ。
でも慣れてしまえば、こっちの方が使いやすく感じた。アイロン掛けをしばらく続けていると、肩や腕の筋が張ってしまうということがよくあるが、滑らせることを意識して使うと、その負担は重量が重い2WAYコードの方がむしろ少ないくらいだ。また、コード付きにはない、取り回しのしやすさや、水補給の際の便利さはやっぱり好印象。
これまで、なんとなく扱いづらそうというイメージ先行で、コード付きの製品を避けていたという人にはぜひ使って見てもらいたい1台だ。
逆に1年に数回しかアイロンを使わないという人や、自分なりのアイロン掛けのルールがあるという人には、機能が盛り込み過ぎて使いこなせないかもしれない。特にスチームショットはいらないという人には、この製品は向かないだろう。
本体サイズやパワーを考えると、毎日アイロン掛けをしているという人よりは、週末の夜にまとめて1週間分の衣類をアイロン掛けしているという人向き。アイロンを使いこなせばクリーニングの料金も節約できる。両方のアイロンの使い心地を試せるので、アイロン初心者にもおすすめの製品だ。
2010年4月20日 00:00