家電製品ミニレビュー
ネスレ「ネスカフェ バリスタ」
1台で5種類のメニューが楽しめる「ネスカフェ バリスタ」 |
コーヒーは好きで飲まない日はないくらいだが、マニアとまではいかない自分。ゆえにドリップとインスタントを併用している。いろんな意味で余裕があるときはしっかりドリップ。ホットを1杯だけ飲みたいときは、1杯分に小分けされたドリップ用のパックを活用する。さらに簡単に飲みたいときはインスタントコーヒーの出番だ。特にアイスコーヒーは溶かすだけなので欠かせない。
そんなところへ「ネスカフェ バリスタ」出現のニュース。インスタントコーヒーでカフェ気分を味わえるというじゃないの。街のカフェでのんびりするのもいいが、インターネットも自由自在の自宅でカフェ気分を味わえたほうが何かと便利で都合がよい。ゆえに思わず「欲しいーッ! 使いたーいッ!」と叫んでしまった。するとどこで聞きつけたのか、我が家に「ネスカフェ バリスタ」がやってきた。
メーカー | ネスレ |
製品名 | ネスカフェ バリスタ |
希望小売価格 | 12,980円 |
■1台で「ブラックコーヒー」や「カプチーノ」など5種類に対応
届いた「ネスカフェ バリスタ」は黒とベージュの2色で、ペンギンを彷彿させるかわいい外観だ。本体サイズは176×285×359mm(幅×奥行き×高さ)、重さ3.6kgと決して小さくはないが、縦長のスリムタイプなので置き場所に困ることはないだろう。ただし背面にカートリッジ式の水タンク(0.8L)があるので、隙間にすっぽり納めておしまいというわけにはいかない。水タンクの着脱に支障がない程度のスペースは必要だ。
ペンギンのようなかわいいデザイン | 背面の様子。半透明の「水タンク」が確認できる | 正面から見た様子 |
使用できるコーヒーパウダーは現在「ネスカフェ ゴールドブレンド チャージ」または「ネスカフェ 香味焙煎 チャージ」に限定されている。「ネスカフェ エクセラ」のカートリッジや、昔からある瓶入りのコーヒーパウダーは使えないので注意しよう。
本体正面にはリング状の操作部があり、マシンに水と前述のコーヒーパウダーをセットすると、操作部のボタン操作で「ブラックコーヒー」「マグサイズのブラックコーヒー」「エスプレッソタイプコーヒー」「カプチーノ」「カフェラッテ」の5種類が作れるようになる。手順は飲みたいメニューのボタンを選択してから、中央の丸いスタートボタンを押すという簡単さだ。
動作状態は操作部のランプ(LED)で確認する。運転モードのときは中央のスタートボタンが点灯し、メニューボタンLEDは前回選択したメニューのみが点灯する。10分以上使わなかったときは「エコモード」となり、1秒に1回のペースでゆっくり点滅しつづける。再度運転モードにするときは、一旦スタートボタンを押し、30秒ほど待つと運転モードに戻る。
横から見た様子。ペンギン型のかき氷機と勘違いする人がいるとかいないとか | パーツの様子。左上から、ドロワー、攪拌機、ドリップトレイ(網)、ドリップトレイ(トレイ本体)、コーヒータンクの底、コーヒータンク本体、コーヒータンクのキャップ、ミルク用計量カップ、水タンク | コーヒータンクの様子。使用するときはしっかりキャップをしておく |
LEDが内蔵された操作部。上から左周りに、ブラック コーヒー、マグサイズのブラック コーヒー、エスプレッソ タイプ コーヒー、カフェラッテ、カプチーノ | スイッチは側面に用意されている |
■湯量で種類を作り分け。濃さの調整も可能
「ブラックコーヒー」と「マグサイズのブラックコーヒー」の違いは抽出量のみで、「ブラックコーヒー」が200ml、マグサイズが250mlとなっている。マグカップでたっぷり飲みたい方はマグサイズをどうぞ、というわけ。「エスプレッソ タイプコーヒー」は100mlで、こちらは量だけでなく味もエスプレッソ風に濃くなっている。
「カプチーノ」と「カフェラッテ」はいずれも300mlだが、「カフェラッテ」のほうが使用するミルクが10ml多い。このため、やや大きめのカップを使うと安心だ。このあたりはボタンについたLEDで光るアイコンにも表現されているので参考にしよう。
また、市販のミルクが必要になるが、専用のミルクタンクなどはない。あらかじめカップに注いだミルクを勢いよく噴出する「熱湯ジェット」で泡立てるのだ。熱湯でミルクが薄まってしまうように思うだろうが、その後抽出されるコーヒーの濃度が調整されているので、最終的にふわふわのミルクが乗った「カプチーノ」や「カフェラッテ」になるというわけだ。
ブラックコーヒー、マグサイズのブラックコーヒー、エスプレッソタイプコーヒーの3種類味についてはボタンの長押しで濃さも調整できる。一度設定すると、次回からその濃さで抽出されるようになるので便利だ。湯量の変化は、ブラックコーヒーが±140ml、マグサイズのブラックコーヒーが±210ml、エスプレッソタイプコーヒーが±40mlとなっている。
洗浄パーツは、水タンク、ドリップトレイ、ドロワー、攪拌部、コーヒータンクの5種類。ドリップトレイ、ドロワー、攪拌部はコーヒーが付着しやすいので、定期的にぬるめのお湯につけるなどして洗浄しよう。コーヒータンクは中が空になったタイミングでマシン本体から取り出し、底の円盤状の部分やキャップを洗う。タンク本体はゴム部分が乾きにくいので水洗いは避けよう。
ドリップトレイ(使用前に青いシートを剥がすこと) | ドリップトレイは着脱式なので、低いカップのときはドリップトレイをセットするとよい。取り外すと、約13cm程度のカップまでセットできる | 抽出後のコーヒーが落ちるので、こまめに洗おう |
水タンクには最大0.8Lの水を入れておける。※写真は満水ではない | 計量カップ。カプチーノ用とカフェラッテ用の2本のラインが用意されている | 使用できるカートリッジは「ネスカフェ ゴールドブレンド チャージ」または「ネスカフェ 香味焙煎 チャージ」の2種 |
ふたのシールをコーヒータンクに貼り替える | 上から押さえるとコーヒーパウダーが流れ込む | コーヒータンクをセットした状態 |
■とことん手間なしで、リッチな気分が味わえる!
実際に試して見ると、予想通りの面白さだ。うれしいのはとにかく手軽なこと。カップをセットしてボタンを押すだけなので、コーヒーパウダーをカップに入れて、お湯を注いでかき混ぜるという一切の手間(?)がない。“インスタント”なはずの手順すら省略されているのだ。
お湯も用意する必要がないのもポイント。水を瞬時に沸騰させるため、出てくるときはすでにアツアツのコーヒー。香りも立ち上り、かなり本格的な雰囲気! 朝起きたらカップを置いてボタンを押せば、ホットコーヒーができあがるんだから便利なことこの上ない。しかもブラックコーヒーやエスプレッソタイプコーヒーは金色の“クレマ”もできるため、そのクリーミーな舌触りにちょっと得した気分になれることウケアイである。
カプチーノやカフェラッテの「熱湯ジェット」も、極力洗い物や管理するものは減らしたいという方には大歓迎の仕組みだろう。以前、電動のミルクフォーマーを買ってみたこともあるが、数回使って終わってしまった経験があるだけに、“都度入れるだけ”で済むというのはありがたい。
また、専用機のような泡立ち具合の調整はできないが、コーヒーが注がれてもカップからこぼれることなくうまい具合に納まってくれる点は大いに評価したい。ミルクの量は利用するカップのサイズに合わせてコントロールできるので、慣れてくれば専用カップを使わずに目分量で計量できるだろう。低脂肪乳と通常タイプの両方を試してみたが、泡立ちにほとんど差はなかった。
<ブラックコーヒー>
ブラック コーヒーができる様子 |
クレマの乗ったブラックコーヒー | 自宅がカフェになった気分 |
<エスプレッソ タイプ>
テレビをみながらエスプレッソタイプのコーヒーを抽出 | かなり濃厚な感じだ | クレマに覆われている |
<カプチーノ>
ミルクの泡立てからカプチーノ完成までの様子 |
冷蔵庫のミルクがあっという間にふわふわに | 完成したカプチーノ |
泡もかなりきめ細かい | 絵心があればいつでもカフェアートを楽しめるだろう |
<カフェラッテ>
カプチーノより若干ミルク多めのカフェラッテは、マグカップで作るとちょうどよい |
<比較>
3種類を連続して作ってみた。左からカプチーノ、ブラックコーヒー、エスプレッソ タイプ コーヒー | 泡とクレマの様子(左からカプチーノ、ブラックコーヒー、エスプレッソ タイプ コーヒー) |
■アイスコーヒーを作ってみよう
当然のことだが、用意されているメニューはホット。私も含め、アイスコーヒー派ガッカリ……と思いきや、グラスに氷を入れてエスプレッソ タイプ コーヒーを注いで見たところ無事アイスコーヒーができた。これなら夏もバッチリ! コーヒーパウダーに水を注いでかき回すのとは違った雰囲気が味わえて楽しいうえに、氷の上に注がれていく様子はファーストフード店のアイスコーヒーを見ているようでもある。氷の量や濃度調整はお好みで調整していただきたい。氷の代わりに凍らせた牛乳を使っても面白いぞ。
ドリップ トレイを外し、氷の入ったグラスをセットする | 氷の上から熱いエスプレッソ タイプ コーヒーを注ぐ | アイスコーヒーの完成。これなら季節に関わらず楽しめそうだ! |
アイスコーヒーを作る様子 |
■クリーミングパウダーで泡を作ってみよう
カプチーノやカフェラッテはあらかじめカップに50ml~60mlの牛乳を注いで作る。しかし職場によっては賞味期限のあるミルクを常備しにくい場合もあるだろう。クリーミングパウダーなら大抵の場合用意されているはずだ。そこで粉末のクリーミングパウダーで泡は作れないものかと思ったのだ。
先にカップに粉を適量入れて、いつも通りにカプチーノやカフェラッテを選んでみたところ、かなり控えめながら泡ができた。あまりたっぷり入れすぎると溶け残ってしまうが、飲むときに混ぜればOKだ。クリーミーな口当たりが楽しめるので、入れて溶かすだけより雰囲気アップ!
ちなみに、クリーミングパウダーの代わりにスキムミルクを入れてみたが、こちらは塊が残ってしまった。スキムミルクではやらないほうがよさそうだ。
クリーミングパウダーとしてお馴染みの「クリープ」によるカプチーノ |
カップに適量の「クリープ」を入れる | ミルクに比べるとかなり控えめな泡だが、雰囲気はかなり違う |
■コーヒーライフをリッチにしてくれるアイテム
「ネスカフェ バリスタ」は、インスタントコーヒーを利用する人の心理に寄り添いながら、本格的な雰囲気もプラスしてくれるマシンだと感じた。気になるお味だが、いきなり豆から淹れたコーヒーに匹敵するほど味が変わる……ということはない。厳密に言えばやはりいつものインスタントコーヒーである。
しかし、あたかも豆から抽出しているような体験や、上からお湯を注ぐだけでは見ることのないクレマの存在、泡立つミルクを含め、目でもおいしく楽しめるマシンであるといえる。なによりも友達が遊びに来たとき、テーブルの上に「ネスカフェ バリスタ」があったらそれだけでティータイムが盛り上がることは間違いない。
最後に要望を少々。今回試したのは「ゴールドブレンド」のカートリッジだが、一度入れると次の入れ替えまでに時間を要する。「ゴールドブレンド」のあとに「香味焙煎」でも使ってみたいと思ってしまうのだ。そこでコーヒーパウダーを交換できるようなカートリッジ構成とだかなりうれしい。また、スリープから運転モードへの復帰時間が30秒ほどかかり、待ち時間が少々長いと感じるので、できれば10秒ほどで戻るとありがたい。
インスタントコーヒーをさらに手軽に入れたい方、手軽にカフェ気分を味わいたい方にオススメの「ネスカフェ バリスタ」、今後どう進化していくのか大注目だ。
2009年5月20日 00:00