家電製品ミニレビュー

サーモス「コーヒーメーカー ECB-1000」

~おいしいコーヒーをいつでも飲み頃で
by 清水 理史

コーヒーメーカー選びのジレンマ

 

サーモスの真空断熱ポット コーヒーメーカー「ECB-1000」
 コーヒーを楽しむベストの方法は、やはり入れ立てをすぐに飲むことだろう。香りも良いし、温度もアツアツ。ホッと一息には最高の瞬間だ。

 とはいえ、普段の生活の中でコーヒーを楽しもうとすると、いつも入れ立て、というわけにもいかない。入れる時間、後片付けの手間などなど、忙しく仕事に家事にと追われていると、コーヒーどころではなくなってしまう。

 というわけで、手間と時間を考えると、コーヒーメーカーを使ってコーヒーを楽しむのが手っ取り早いのだが、このコーヒーメーカー選びというのがなかなか難しい。

 エスプレッソマシンのように1杯ずつ飲みたいときに抽出するのが理想だが、値段も高いし、入れるのに時間がかかるうえ、お手入れの手間も面倒だ。

 一般的なコーヒーメーカーの場合、朝に数杯分ドリップして保温しておけば午前中はいつでもアツアツのコーヒーを楽しめる。値段も3,000円程度から買えるので手軽だ。しかし、時間が経つと煮詰まってしまうのが最大の難点。

 長時間保温で風味重視というなら、魔法瓶タイプのコーヒーメーカーを選ぶ手ががあるが、一般的なコーヒーメーカーと比べると値段は6,000~10,000円前後と高くなるうえ、保温効果がどこまであるのかが気になるところだ。

 つまり、値段と手間をガマンして味を取るか、味をガマンして手軽さと安さを取るか、味も手間も妥協したくないのでもう少し費用をかけるか、というジレンマに陥ることになる。

 どれを選ぶかは、ライフスタイルや好み次第となるが、今回は、この中から最後の選択肢を実現できるコーヒーメーカーを実際を使ってみた。サーモスの真空断熱ポット コーヒーメーカー「ECB-1000」だ。

メーカーサーモス
製品名コーヒーメーカー ECB-1000
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,950円

真空断熱ポットにコーヒーを抽出

 サーモスのECB-1000は、同社ならではの真空断熱技術をコーヒーメーカーに応用した製品だ。

 ステンレスのシルバーとブラックで構成された清潔感のあるデザインも特徴的だが、抽出したコーヒーを入れておくためのポットに、真空断熱ポットが採用されており、ドリップしたコーヒーの温度を保つことができるようになっている。

 

正面。ステンレスを主体とした清潔感のあるデザイン側面。奥行きはあまりないため、狭い場所にも設置可能保温に適した真空断熱ポットを採用。煮詰らずにコーヒーを保温できる

 試しに、とりあえずコーヒーをドリップしてみた。使い方は、普通のコーヒーメーカーと何ら変わりはない。上部のフタを開けて、フィルター部分にペーパーフィルターをセット。ここにコーヒーの粉を入れる。

 続いては、給水だ。フィルターの隣が水を入れておくタンクとなっているので、カップなどを利用してここに水を入れる。入れたいカップの杯数分水を入れてもいいが、前面のメモリにはカップ数が表記された目盛りがあるのでここを見ながら給水する。

 最後にポットをセットする。ステンレス製のポットのフタをしたまま、本体にセットする。

 すべての準備が完了したら、前面のスイッチを押せば良い。これで、30秒くらいでドリップが開始され、抽出されたコーヒーがポットに溜まるというしくみだ。

【お詫びと訂正】初出時、抽出前にポットのフタを外す旨がありましたが、誤りでした。フタをしたまま抽出するのが正しい使い方です。お詫びして、訂正させていただきます。

 

1.上蓋を開ける

2.ペーパーフィルターをセットし、コーヒーを入れる

3.水タンクに水を入れる

 
4.水の量は正面の目盛で確認

5.ポットをセットしてスイッチオン

コーヒーが完成!

飲み頃温度をキープするには

  できあがりまでの時間はドリップする杯数によっても異なるものの、4杯分なら5~6分といったところ。


 ECB-1000で採用されている真空断熱ポットは1Lの容量があるので、最大で8杯分のコーヒーを淹れることができる。この場合は、だいたい10分くらいが目安となるだろう。

 コーヒーをカップに注ぐときは、取っての上にあるレバーを親指で押し込むようにしてカップへと傾ければ、中のコーヒーが注がれる。できあがったばかりの状態は、当たり前だが、香りも豊かでアツアツでおいしいコーヒーだ。

 密閉したポットは電源が必要ないので、どこにでも持ち運べる。リビングのテーブルの上に置いておいても良いし、仕事場のデスクに持って行っても良い。できあがったコーヒーを手元に置いておけるのは、真空断熱ポットならではのメリットだろう。

 

しっかりフタを閉めておけば、長時間の保温も可能

電源不要なので飲みたい場所に持って行って手元に置いておける

 問題はどれくらい保温できるかだ。条件によっても異なるが、実際に試してみたところ3時間程度なら十分飲み頃な温度をキープできた。朝淹れて、午前中は十分持つといった感覚だ。

 もちろん、風味もしっかりとキープされている。しっかりポットのフタを閉めておけば、コーヒーの香りもきちんと残っているし、いやな苦みもない。あまり長時間保管すると、さすがにぬるい感じで、味にも酸味が感じられるが、加熱保温した場合と比べると、かなり飲みやすい印象だ。

 ただし、実際にどれくらいの温度を、どれくらいの時間キープできるかは、条件次第といったところだ。

 気温が低ければ長時間の保温は難しいし、ポットに残っているコーヒーの量が少ないと、これも速く温度が冷めてしまう。

氷を入れればアイスコーヒーも楽しめる。ちょっと濃いめに淹れないと薄まってしまうので注意

 飲み頃の温度で、なるべく長時間保温したいのであれば、初期温度を高くし、温度の低下をゆるやかにする必要がある。具体的にはドリップする前に熱湯をポットに注いで温めておくようにしたり、なるべく多くのコーヒーをドリップすると良いだろう。 なお、ポットに氷を入れておけば、これからの季節にうれしいアイスコーヒーも楽しめる。ただし、あらかじめポットを冷蔵庫で冷やしておいたり、味が薄まらないギリギリまで氷を入れるなどの工夫が必要だ。

分解洗浄可能で衛生的

  お手入れに関しても、なかなか工夫されている。もともとステンレスで衛生的な製品だが、ポットのフタは中せん部分をスプリングやシャフトまで分解してキレイに洗浄することができるようになっているうえ、フィルター部分も取っ手が付いているのでドリップ後に取り外しやすい。

 

フィルターは取っ手を使って取り外し可能

ポットのフタは中せんも分解可能。取っ手を下げてから押し込むようにすると取り外して洗うことができる
 また、お手入れなどで各部を取り外してみると実感できるのだが、全体的な作りが非常にしっかりしている点に感心した。低価格のコーヒーメーカーの場合、上部のフタの立て付け、フィルター部分の固定などが甘く、全体的にガタガタとしたイメージがあるのだが、本製品にはそういった甘さがない。

 保温式のコーヒーメーカーと比べると、若干、高めの価格になっているが、長く使えそうなこのしっかり感、そして何より、風味を保ったままの保温ができる真空断熱ポットの性能を考えると、お買い得な製品といえるのではないだろうか。



2009年4月8日 00:00