家電製品ミニレビュー

薄力粉が使えるようになった象印ホームベーカリー「パンくらぶ」

 炊飯器とともに我が家になくてはならないもの、それがパンを焼けるホームベーカリー。自分の好みの味や食感をとことん追求できるのに、その操作は炊飯器並みの簡単さというのがホームベーカリーの大きなメリット。とはいっても、自分ですることといえば、材料を量ってパンケースに入れるだけなのです。

 そんな私が、以前試用させていただいてから、すっかりファンになったのが、象印のホームベーカリー「パンくらぶ」です。何がいいって、ミミのちぎりやすいふんわりした食パンがいとも簡単に焼けてしまうから。しかも1度食べたら病みつきになるおいしさなのです。

 そのパンくらぶに、新たな4コースを搭載した新モデル「パンくらぶ BB-ST10型」(以下、パンくらぶ)が登場しました。

パンくらぶ BB-ST10型
メーカー名象印マホービン
製品名ホームベーカリー パンくらぶ「BB-ST10型」
実勢価格24,800円

こだわったパンが作りやすいホームベーカリー

 「パンくらぶ」は、パン屋さんの窯を再現しているという底面加熱ダブルヒーターを搭載し、自分好みのこだわりパンが作りやすいというホームベーカリーです。14種類の食パンコースのほかに、本格ニ八そばやパスタ生地が作れるめん生地コース、もちコースなど計26種類のコースがあり、操作パネルでコース番号を選ぶだけの簡単操作で調理できます。

操作パネルとコース一覧

 食パン専門店「地蔵家」監修の「プレミアムリッチコース」があるのも特徴の1つですが、ミミまでちぎりやすいほどふんわり柔らかいパンが焼け、しかも発酵時間や焼き時間などを自分の思い通りに設定できるホームメイドコースもあり、こだわったオリジナルの食パンも焼けるというのが大きな特徴となっています。

パンくらぶのふたを開けた様子

 焼き時間は、標準のコースで3時間45分。早焼きなら2時間20分となっており、コースや焼き色に応じて時間は変わりますが、イーストが少ないコースでも最長4時間45分となっています(天然酵母を除く)。

 構造はとてもシンプルで、羽根は1つだけで交換不要。着脱式の「イースト・具入れ容器」により、具もドライイーストも自動投入できるようになっています。また、120種類のメニューを搭載した 別冊「カラーレシピブック」やパン生地やめん生地に使える「樹脂製めん棒」が付属します。

着脱式の「イースト・具入れ容器」
簡単に取り外せます
左が具、右がイースト用
少々入れにくい感じもなきにしもあらず
付属品。プラスチック製ののばし棒も付属
取扱説明書のほかにレシピ集「HOME BAKERY RECIPE BOOK」も。コース毎の配合を確認できます

「ハード」「薄力粉」「ゴロゴロ具入りパン」「ハーフ」の4コースを試す

 そんな「パンくらぶ」に今回新しく追加された機能は、「ハード」「薄力粉」「ゴロゴロ具入りパン」「ハーフ」の4コース。今回はこの4つを中心に試してみました。

 まずは基準として、通常の「ふんわり」コースで焼いてみるとこんな感じです。

指定の配合で「ふんわり」コースで焼きます
3時間45分後、ふたを開けると見事な食パンが現れます
「ふんわり」コースの食パン
押してみるとふわっと凹みます
一番端の部分をカット。簡単に曲げられるくらい柔らかい
ミミの部分も薄くやわらかそうだと分かります

 まず「ハード」コース。通常のふんわりに比べると、確かにミミがしっかりと厚めに色濃く焼き上がっており、食べ応えがアップしていました。焼き色の調整だけではここまでハードにはできなかったので、ミミ好きにはたまらないと思われます。ふんわりもハードも焼き分けられるようになったことで、どの層にもアピールできる仕様になったと思いました。

こちらが「ハード」コースで焼いた食パン。見た目ではあまり違いがわかりませんが……
カットしてみると、ミミがとてもしっかり厚く焼けていることがわかります

 続いて「薄力粉」コース。ひとくちに小麦粉といっても、パン作りに使われる強力粉と、お菓子作りで使われる「薄力粉」では弾力のもとになる小麦タンパク質のグルテンの量が違うのです。強力粉のほうが薄力粉よりもグルテン量が多いので、パン作りに向いています。ただし薄力粉のほうが、お値段がリーズナブル。だから「薄力粉ならあるけれど」というときでも気軽に作れる「薄力粉」コースはお得というわけです。

 100%薄力粉のパンは、見た目のボリュームは強力粉のパンと変わらず。でも食べてみるといつものパンとは違った、サラッとした独特の風味がありました。スナックのような、でも食べているとクセになりそうな風味です。その味を活かして、あえて薄力粉で作るという選択肢もありそうです。

「薄力粉」コースで焼いた100%薄力粉の食パン
ふわふわです
焼きたてをカットしてみました。さっぱりした味わいです

 地味に感動したのがこの「ゴロゴロ具入りパン」モードです。長年愛用しているホームベーカリーでは、コネの間に具が粉砕されてしまい、焼きあがったときには具がとても細かくなってしまうため、使いづらさを感じていたのです。しかし「ゴロゴロ具入りパン」を使うと、具の形をしっかり残したまま焼き上げられます。

 今回はベーコンとにんにくペースト、黒胡椒入りの食パンを焼いてみましたが、ベーコンのゴロゴロ感がしっかり残っていて、とても食べ応えがあり、感動しました。もしホームメイドコースで凝ったパンが作れなくても、このモードを使えば具入りのアレンジパンが簡単に作れるので、アレンジビギナーにはとてもおすすめしたいモードです。

具入りのアラームが鳴ったら、カットしておいたベーコンを投入
こちらが焼きたてのゴロゴロベーコン入り食パン
ふんわりした焼き上がりをベースに、好きな具材をたっぷりいれた食パンが作れます
ほんとうにゴロゴロしていてうれしくなります

 ちょっとユニークなのが「ハーフ」コース。これは1斤焼いてもすぐには食べきれないという方に向けて用意された、通常の半分程度のサイズの食パンが焼けるコースです。食べきれないなら冷凍しておけばと思うのですが、できるだけ焼きたての柔らかい状態で味わいたいという方にはぴったり。

 このコースで焼いたパンは、ちょっとおしゃれな、カフェ風のサンドイッチ向きのサイズになることがわかりました。サイズはハーフですが、レシピ集をみると、その配合はわりとリッチ。バターやスキムミルクをカットして、素朴さのでる配合にしたり、小麦粉を変えてみると、また違った風味のサンドイッチが作れそう。サンドイッチ用コースとして考えるとさらに活用できそうです。

「ハーフ」コースで焼くと、パンケースの半分サイズに
ちょっとかわいい
ハーフサイズの食パンをカットするとサンドイッチにちょうどいいサイズに

ホームベーカリーパンがさらに楽しめる

ホームメイドコースで作った、1斤サイズのアップルシナモンロール。そして、餃子の皮も、パスタ生地も、うどんもそばも餅もジャムもこれ1台で!

1斤サイズのアップルシナモンロール

 前回のレビューから1年以上経過していますが、「パンくらぶ」は相変わらず好みのパンが焼けまくりのホームベーカリー。パンくらぶが生み出すふんわりやわらかい食パンは絶品で、前機種からあるプレミアムリッチなパンも、ホームメイドコースのパンも最高なのですが、4つの新コースはホームベーカリーパンの可能性をさらに広げてくれたと感じます。手軽に手作りパンを楽しみたい方におすすめします。

すずまり