家電製品ミニレビュー
ぽかぽかの自宅に帰れる! IoT家電の可能性を感じさせる、デロンギのSiri対応ヒーター
2017年1月30日 08:00
IoT対応のMDヒーターって?
人工知能(AI)と並んで、IoT(Internet of Things)が家電業界でのトレンドとなっている。現状の定義としては、製品がインターネットにつながれば「IoT対応」ということになっている。
デロンギのマルチダイナミックヒーター(MD Heater)の最新モデルも、Wi-Fiを内蔵し、スマートフォンでの操作を前提としている。IoTに非対応の製品と比べて、対応するモデルにはどんなアドバンテージがあるのか? 実際に使ってみることにした。
メーカー名 | デロンギ |
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製品名 | マルチダイナミックヒーター Wi-Fiモデル「MDH15WIFI-SET」 |
価格 | 96,984円(Amazon) |
最新の「MDH15WIFI-SET(以下:MDヒーター)」の暖房性能や筐体サイズなどは、従来からの「MDH15-BK」と同じ。適用畳数は約10~13畳だ。差異点は、Wi-Fiを搭載し、基本的な操作は専用アプリ「MD Heater」を使って行なう点。同アプリはiPhoneにしか対応していないため、iPhoneユーザー向けのヒーターと言っていい。
正直に告白すると、Wi-FiというかLANへの接続に難儀した。初めはLANに繋げられず、アプリに認識すらしてもらえなかった。説明書をじっくりと読み込み、本体のWi-Fi設定などをリセットして、やっとのことで接続。接続できたものの、しばらく経つと接続が切れる、というのを3回繰り返した。仕事でなければ挫折していたかもしれない。
Siriで操作できるのが便利
自宅のWi-FiもしくはLAN環境と、何か相性が悪いのだろうということで、まずは手元にあったWi-Fiルーターを変えてみることにした。これが正解だったようで、Wi-Fiルーターを変更すると、以前の接続のしづらさが嘘のように、トントン拍子で接続された。
自宅のLANにつながれば、アプリからの操作が可能になる。リモコンが付属しないため、初めはヒーターをつけるのにアプリを起ち上げなきゃいけないのが億劫だった。だが、Siriを使って「おはよう」とか「デロンギ MDHをONにして」と言うと、簡単にMDヒーターをつけられることを知ってからは、悪くないなと思うようになった。
アプリを起ち上げる必要がないというのは便利だ。iPhoneのボタンを長押しすればSiriが起動し、「おはよう」と言ってMDヒーターをつけ、「デロンギ MDHを25℃に設定して」などと言えば温度設定も変えられる。
既にいくつあるか把握できないほど、自宅にはリモコンが散らばっている。さらにそのリモコンを子どもが、あちこちに隠してしまう。そんな状態なので、「エアコンをONにして」とか「明かりをOFF」など、今ではSiriに家電製品のコントロールを全てお任せしたい気分だ。
アプリではスケジュール設定も可能。例えば出勤する8時には自動でMDヒーターがオフになるようにし、帰宅する18時頃には部屋を適温にしておいてもらう、ということが曜日ごとに設定できる。
朝の冷え込みが厳しい今の季節であれば、毎朝3時〜7時まではMDヒーターをオンにしておく、ということも簡単に設定できるのだ。
会社を出る時にヒーターをONにしておけば、あったかい部屋が待っている
製品にはApple TVが同梱されている。Apple TVをMDヒーターと同じネットワークに接続すると、外出先からでもAppleの「Home」アプリから、MDヒーターを操作できるようになる。
仕組みとしては、Apple TVをハブにして、LAN(ネットワーク)の外にあるiPhoneと、LAN内のMDヒーターをつなげるということ。MDヒーターの他にも、LANの中にApple HomeKit対応家電があれば、同じ「Home」アプリから外出先から操作できる。
この接続も、恥ずかしいことにスムーズにいかなかった。Appleのサイトで調べてみると理由は簡単で、iPhoneのセキュリティ設定の問題だった。セキュリティ設定で「2ファクタ認証」を有効にしていなければいけなかったのだ。
面倒だなぁと思いながらも、今後もHomeKit対応の製品が増えそうなことを考えれば、避けては通れなさそう。Appleサイトの説明を読みつつ、2ファクタ認証を有効にした。
これで全ての設定がクリア。外出先からでも、「Home」アプリ経由でMDヒーターを操作できるようになった。接続できるようになると、けっこう便利なものだと実感。帰る前に自宅の温度を確認し、寒そうだなと思ったら、電源をピッとONにすればいいだけ。
iPhoneの「Home」アプリでは、操作が可能なだけではない。例えば「オートメーション」機能を使えば、家を出て100m以上離れたら、MDヒーターがONの状態だったとしても、自動でOFFにしてくれるといった設定が可能。逆に、仕事場を出て、自宅まで1kmの距離に近づいたら、自動でONにする設定も可能だ。
MDヒーターの消し忘れを防げるだけでなく、帰宅すると確実に温かい部屋が待っていてくれる。
接続がうまくいかなくても、めげない自信がある人が持つべき
たまたま筆者の環境が適していなかっただけで、たいていの人は、すぐに導入できるのかもしれない。だが、スムーズに接続できなかった時はツラい。リモコンが付属しないので、MDヒーターをONにするのも面倒だ。
また、トラブル解決のために、MDヒーターとApple TV、もしくはWi-Fiルーターという、3製品のマニュアルを調べる必要があるのも厄介だった。
特別にLANやWi-Fiなどに詳しい必要はないが、まったく分からないという人や、根気がない人は手にすべきではないだろう。
暖房機としての性能は大変満足
LANへの接続にはとまどったが、暖房機としての基本性能には満足できた。特にエアコンのように風が起こらず、静かなのが嬉しい。筆者は乾燥に弱く、寝ている時にエアコンが付いていると、喉がカラカラになって咳が出始めることが多い。MDヒーターを使うようになってからは、そうした不快感がなくなった。
表面温度が熱くなる点も心配するほどの問題ではなかった。何秒も手で触れてはいられないが、チョコチョコと触るくらいなら大丈夫だ。
使い始めた時に、2歳の息子が興味津々で近づいてきた。「これは熱いからね」と言って、子どもの手を持って、表面をチョコッと触れさせると「熱い!」と……。近づくことはあるが、触らないよう、彼なりに注意するようになった。まぁ、もし触っても、深刻な火傷をするほどではないから、心配もしていない。
結論としては、IoT家電の便利さを知る、きっかけとなるものだった。また、単に暖房機としてもお薦めできるので、外出先からの操作に魅力を感じないなら、Wi-Fi非対応の「MDH15-BK」を検討してみてほしい。