家電製品レビュー
しゃっきり派の私が惚れた「もちもち」ごはんがおいしい! 東芝の炊飯器の「炊き分け」機能を最速チェック!
2017年9月8日 11:22
東芝ホームテクノが新しい炊飯器「真空圧力IHジャー炊飯器 RC-10ZWL」を発表しました。東芝の炊飯器といえば、伝統のある羽釜の形を独自の溶湯鍛造(ようとうたんぞう)製法で再現、かまど炊きを追求した内釜「本羽釜」が特徴ですが、今回は本体をフルモデルチェンジしています。
本体の大きさは、従来機種と比べ体積が約26%もコンパクト(=つまり3/4以下の大きさ)になっており、デザインも大幅に変更。しかも好みに応じて食感を炊き分けられる「かまど名人コース」の炊き分け幅が11通りに広がり、新たに「甘み炊きコース」まで加わったと聞いて、興味津々でした。炊きあがりの味のほどはどうなのか、食べてみたいなと思っていたところに家電 Watch編集部から「お借りしたので、試してみませんか?」とお声がかかりました。さて、その実力はいかに? チェックしてみた様子をお届けします。
大きくて立派だった「本羽釜」本体が3/4以下の大きさになった!
リリースを読んではいたものの、新モデルの「真空圧力IHジャー炊飯器RC-10ZWL」を実際に見てみると、そのコンパクトさに「え? これがあの本羽釜なの?」とびっくりしてしまいました。でも、天面の四角いフックボタンを押してふたを開けてみると、ちゃんと立ち上がりと羽のある「羽釜」が鎮座していて、「やっぱり本羽釜だ!」と納得。
デザインも変わっています。前モデルでは大きくて立派で"ザ・本羽釜”という存在感がありましたが、ぎゅっと小さくなって親しみのあるデザインに大変身しています。角の取れた丸みのある形は、大黒柱のお父さんから、やさしいお母さんへとバトンタッチしたような感じでしょうか。
かまど炊きのおいしさを再現するために作られた丸底の内釜も、一回り小さく、軽くなっています。これならお米を研いだり、洗ったりという作業がよりラクにできるのでいいですね。
しゃっきり派の私をトリコにした"粒感のある”もちもちごはん
さて、いよいよ実食です。今回はなんと3台もお借りして、異なる設定で同時に炊いてみるという大実験を決行! 「かまど名人コース」の11通りの炊き分けのうち、最もしゃっきり度の高いもの、硬さと粘りのバランスがとれたおすすめ(11通りの真ん中)、もちもち度が最も高いものの3通りで、新潟県・魚沼産のコシヒカリを3合炊きました。
炊飯時間はもちもち度が高まるほど長めになります。スタンダードな「おすすめ」は約55分、「しゃっきり」は約40分、「もちもち」は約70分かかりました。もちもちごはんが炊きあがるのを待って、炊飯器のふたを開けてみると……。どれもカニ穴のある粒だった炊きあがりですが、もちもちごはんが最も表面に「おねば感」が見えるような気がします。ただ、しゃもじを入れた段階ではどれもさっくりと混ざって、もちもちごはんでもべたつく感じはありません。
では食べてみましょう。まずは「おすすめ」から。香りがよく、粒感もねばりもちょうどよく、文句なくおいしい炊きあがりです。編集部のメンバーも「うんうん」とうなずいている様子。皆、同じ感想のようです。続いて、「しゃっきり」を食べてみると、より歯ごたえがあり、粒感が際だって噛むほどに味わい深い食べ心地。私は元々しゃっきり派なので、間違いなくこれはおいしいし、好きな味です。
最後に試したのが「もちもち」。先ほどの「しゃっきり」と正反対の位置にいるわけですから、しゃっきりごはんが好きな私とは相性がよくないのではとドキドキしながら口に入れると……何か違う。だって1粒1粒見事に口の中でほぐれるのに、噛むとふわりと弾力を感じて粘りが強く感じられ、甘くてコクがあるんですから。やだ、これ好きかも!!!
そうなんです、私が体験した初めての味わい「粒感のあるもちもちごはん」が絶品。しゃっきり派と言い続けてきた私の、おいしい白米の概念を覆してしまった「かまど名人・もちもち」の実力にノックダウンされた瞬間でした。
もちもち度を高めた炊き方でも、お米の表面がくずれていないから、べたつき感がなく、一粒一粒がちゃんと独立している。そして口の中に入れるととても軽くほぐれてしっかりと粘りが感じられて甘いのですね。結局、私はひたすら「もちもち」を食べてしまったのでした。
このあたり、東芝の釜仙人こと守道さんにお話を伺ったときに「東芝の炊飯器は真空圧力IHで、真空吸水と圧力可変コントロールの合わせ炊きだけれど、基本的には芯までしっかり吸水したら、圧力をかけすぎないようにしている。つまり必要な圧力だけをかけるということ」と言っていたことにつながるのかもしれません。
3つの食感炊き分けの「甘み炊き」はお弁当やおむすびに
今回、新しく加わったのが甘みのあるごはんを炊くことができる「甘み炊きコース」。こちらも「しゃっきり・おすすめ・もちもち」の3段階の食感炊き分けができます。真空でしっかりと吸水させて、ゆっくりと加熱することによってごはんの還元糖量を約12%もアップさせたとのこと。
こちらも3台の炊飯器で「甘み炊きコース」の3つの食感を炊き分けて実食してみることにしました。約70分・約75分・約80分と炊飯時間はかなり長くなります。
首を長くして待ってから、いざ実食。先ほどのかまど名人の食感の違いほど顕著ではありませんが、それぞれの食感の違いが感じられ、その名の通りごはんが甘い! 少し冷めるとさらに甘みのあるおいしさが際だつ感じで、お弁当やおむすびにいいのではと思いました。
先の「かまど名人コース」の炊き分けと合わせると、合計で14通りの炊き分けができる新モデル。本当に魅力的です。
また、炊き分けの幅が広いので、各家庭で使うお米の銘柄が違っても、好みの味に炊き上がる確率も上がります。
まるで普通のごはんみたいに玄米が食べられる「白米混合コース」
東芝の炊飯器というと麦ごはんに力を入れている印象でしたが、今回、玄米を気軽に食卓に採り入れられるようにと開発された「白米混合コース」がプラスされています。
これは白米2に玄米1の割合で炊くもので、炊飯時間は約105分。玄米をあらかじめ水に浸しておく必要はありません。こちらは自宅に1台お借りして炊いてみましたが、白米と玄米がちょうどよく馴染んでいるため、玄米のゴソゴソした感じや独特の香りなども気にならず、普通のごはんを食べるような感覚ですんなり食べられました。
健康のために玄米食にしたくても家族の反対にあうという家庭も多いかと思いますが、白米混合コースで慣れてから、玄米にするのもいいかもしれません。
合わせる料理や好みに合わせて炊き分けられるのが楽しい!
惜しむらくは、「かまど名人コース」のボタンが液晶のタッチパネル内にあって直感操作がしづらいこと。目立つ位置に高速炊飯コースの「そくうま」専用ボタンがあるのでこれを「かまど名人」ボタンにしてほしかったなあと思います。とはいっても、一度覚えれば面倒な設定ではないので、いろいろ触ってお好みの味を見つけてほしいなと思いました。
今回の炊き分けの食べ比べ、編集部の中には「しゃっきり」が気に入ったと言って、「これでカツ丼とか牛丼にしたい」を連発しているメンバーや、「間違いないのは『おすすめ』ですね」という声も。好みやお料理に合わせて炊き分けられるのが「かまど名人」のいいところなんですね。同じお米で水加減は一緒なのにこんなふうに味わいが変えられるなんて素敵です。ちなみに惚れ込んだ「もちもち」ごはんはコクがあるので、とんかつやハンバーグなどこってりした味のお料理にも負けないと思います。
協力:東芝ホームテクノ