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個性が際立つ“タテ型洗濯機”2014年モデル、あなたならどれを選ぶ?
by 神原サリー(2014/8/14 07:00)
洗浄力+節水性+大容量化がトレンド
節水性の高さや乾燥機能の進化などの理由で人気を集めてきたドラム式洗濯機だが、昨今はタテ型回帰の声も聞かれる。特に2014年モデルのタテ型洗濯機は各社ともに力が入っており、これまで弱点だった節水性を高め、元々強みだった洗浄力を強化している。洗濯容量も9~10㎏とたっぷり。毛布やタオルケットなどの寝具も楽々洗える大容量化も特徴の1つといえるだろう。
さらに新モデルでは、操作パネルを奥に配置して洗濯物の出し入れをしやすくしたパナソニックや、清潔性能にとことんこだわった東芝、糸くずの付着を抑えるなどこれまでの洗濯の不満を解消したハイアールアクア、ガラス1枚ふたでプレミアム感を高めつつ、清掃性も高めた日立、衣類を手軽に乾燥できる機能をさらに進化させたシャープなど、使い勝手に配慮した個性的なラインアップが目を引く。
2014年モデルが店頭に出そろった今、メーカーごとの特徴をおさらいしてみよう。
グローバルモデルと同じデザインで使いやすく。泡洗浄も強化
<パナソニック 縦型洗濯乾燥機 NA-FA90H1>
従来モデルとデザインを刷新し、操作パネルを奥に配置したパナソニック。実は、こうしたデザインは中南米で展開していたものと同じで、タテ型洗濯機のグローバル展開が加速された証でもあるようだ。
前面にあった操作パネルがなくなっただけでなく、内ふたもなくなったことで、洗濯物の出し入れが楽になり、毛布などの大きな洗濯物も負担なく取り出せるようになっている。それに加え、操作ボタンを押す力をこれまでよりも30%軽減させた仕様に変更したため、親指でグッと押すというようなことも不要になり、とても使いやすい。
また洗剤ケースの位置を給水口のすぐ下に配置。現況のドラム式洗濯機によくあるような仕様になっているため、洗剤、漂白剤、柔軟剤などが1カ所に入れられて使い勝手がとてもよくなっている。同時に、この洗剤ケースに施された独自の仕様により、水圧で洗剤を溶かし、空気をブレンドして泡だてることで、給水からわずか3秒で泡が出てくる「即効泡洗浄」を実現。洗濯時間も約4分短縮されており、パナソニックならではの“泡洗浄”がグンと進化した印象だ。
洗濯槽に斜めに配した脱水穴を利用した、脱水時の水噴射による外槽の内側の洗浄に加え、すすぎの最後にも新たに自動槽洗浄機能を追加。ためすすぎの水を高速回転による遠心力で槽の底部から上部までかき上げて、黒カビの原因となる洗剤カスの付着を抑える。
汚れがつきにくいマジックドラムなど清潔性能にこだわる
<東芝 縦型洗濯乾燥機 AW-10SV2M>
2013年モデルのフラグシップモデルのドラム式洗濯乾燥機に搭載した「マジックドラム」を、タテ型の洗濯乾燥機や全自動洗濯機にも採用しているのが東芝。これはここ2~3年ポピュラーになってきている洗濯槽の自動おそうじ機能とは異なり、洗濯槽の表面に防汚コートを施しているため、そもそも洗剤カスなどの汚れがつかない清潔な洗濯槽にしたものだ。これは親水性の樹脂を高温で焼きつけて耐久性をもたせるようにしてあり、汚れをはじく仕様になっている。
さらに洗濯槽の下部に取り付けられた「Ag+抗菌ユニット」には、Ag+抗菌ビーズが内蔵されており、水道水に抗菌成分・銀イオンが溶け出して、いつもAg+抗菌水で洗濯するため、衣類や洗濯槽に雑菌が繁殖するのを抑えて清潔に保ち、部屋干しの際にニオイがしにくいのも東芝ならでは。洗濯するたびに脱水時の高速回転による水の勢いでステンレス槽の外側や外槽の内側を自動おそうじ機能が働く際にも、このAg+抗菌水が活躍する。洗剤カスが付着しやすいパルセーターの裏側や、ふろ水ホース、糸くずフィルターなど、菌が気になるところをすべて抗菌加工するなど、二重三重に清潔性能にこだわっているのが大きな特徴といえる。
騒音の原因となるギアがないダイレクトドライブ(DD)モーターの採用で静音性が高いため、夜間や早朝に洗濯をすることが多いという家にも向くだろう。また、洗濯機能としては、同社独自の「水流パワーボタン」がついている。これはコースや洗濯時間に関係なく、“その日の汚れ具合”に合わせて選べるもので、標準のほかに「強」と「弱」が用意されている。食べこぼしや泥汚れなどの洗濯物を洗うときには「強」を、デリケートな衣類や軽い汚れの場合は「弱」を選ぶことで、より丁寧な洗濯を可能にしている。
これまでの洗濯の不満を解消した“仕上がり重視”の洗濯機
<ハイアールアクア 全自動洗濯機 AQW-VW1000C>
新開発のツインパルセーターにより、従来モデルよりも約40Lの節水と高効率洗浄を実現させている。見た目にもインパクトのあるこのツインパルセーターは、これまで1枚だったものを2枚に分割することで、それぞれ別の働きが可能に。内側のパルセーターは洗濯物の重みをしっかりと受け止めてその荷重を分散させ、外側のパルセーターの負荷を軽減することで回転力を補助。しかもこの外側部分は左右非対称になっているため、ダイナミックな水流が作り出せる。さらに、パルセーターの裏側の羽根の長さを約2倍に増やして水路形状を改良、洗濯槽内の循環水流をこれまでの約15倍にし、少ない水でもしっかりと洗えるようになっている。
こうした洗濯の基本性能の向上に加え、洗濯上のさまざまな不満を解消しているのが新モデルの大きな魅力だ。ツインパルセーターならではの強い横水流と新形状の糸くずフィルターによって、しっかりと糸くずをキャッチできるようにした「衣類おそうじ機能」を新たに搭載。誰でも経験があるはずの「ポケットにティッシュを入れたまま洗ってしまった」という場合も、糸くずフィルターで約93%キャッチするため、ほとんど衣類につかないのはとてもうれしい。
また、脱水の回転数に応じて仕上がり感や脱水の強さを調節できる「脱水コントロール機能」も備えている。「やわらか脱水」は、時間はそのままに回転をゆっくりさせてしわを抑えた仕上がりに。また天気の悪い日や厚物の洗濯物の場合は「しっかり脱水」ボタンを押せば、より強力に脱水ができるので便利だ。
乾燥機能付きのAQW-TW1000Cには、「洗濯→乾燥」モードを使用時に、脱水が終わって乾燥に移行する前に、一時的に作動をストップさせてふたが開けられるようにし、しわになりやすいものを取り出すなどの作業ができる「乾燥まってて」ボタンが用意されている。まさに“こうだったらいいのにな”という洗濯の不満を解消させたこだわりの1台といえる。
洗浄力のさらなる強化とガラス扉でプレミアム感
<日立 タテ型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ」BW-D10XTV>
洗浄力と節水性で定評のある日立の「ビートウォッシュ」。最上位機種のBW-D10XTVでは強化ガラスの1枚パネル扉を採用して、プレミアム感をアップさせ、清掃性も高めている。また、X状の新形状のパルセーター「ビートウィングX」の新採用で、押し洗い、たたき洗い、もみ洗いという洗いの際に、衣類の上下入れ替えを向上させて洗いムラを軽減。節水循環ポンプで衣類に水を幅広く散布させながら洗う洗浄方式との合わせ技で、洗浄力の強化を図っている。
そのほか、これまで同社のドラム式洗濯機に採用していた「センサーホット高洗浄」機能をビートウォッシュにも新たに採用。水温を検知して13℃以下の場合には自動で温風を吹きかけて、洗剤の酵素が働きやすくなるようにしている。冬場の洗浄力低下が気になっていた人にはうれしい機能といえるだろう。
また、最上位モデルのみだが、操作パネルの左に洗剤や柔軟剤の投入口を設け、洗剤を入れやすくしている点も見逃せない。その家の洗濯物の種類や、好みに応じて独自のコースを3つまで設定できる「お気に入り」ボタンを独立させて、より使い勝手に配慮した点にも注目だ。
穴なしサイクロン洗浄と光センサーでとことん節水&時短
<シャープ プラズマクラスター洗濯乾燥機 ES-TX940>
外側の槽とすき間に水をためない「穴なし槽」内に、今回新しく開発されたパルセーター「WウイングドルフィンパルAg+」を搭載した“穴なしサイクロン洗浄”が特徴。強い推進力で泳ぐイルカの尾びれを応用したパルセーターが竜巻状の巻き上げ水流を生み出し、遠心力の力で衣類を槽内の凹凸にこすりつけながら洗浄するため、少ない水でも高い洗浄力を発揮する。穴がない洗濯槽のため、こすり洗いをする際にも穴に衣類の繊維が引き込まれることなく、布地の傷みが少ない。
光センサー「ECOeyes(エコアイズ)」を搭載し、洗濯水の透明度を見分けて自動ですすぎの回数を設定する機能も備えているため、洗剤の種類に応じてすすぎの回数を自分で調整する手間いらず。より節水や時短を目指したい人には便利な機能だといえるだろう。
また同社ならではの「ココロエンジン」により、エコの効果や省エネにつながる上手な使い方のヒントも音声で知らせてくれる機能も備えている。
そのほか、内ふたがない広い口径と穴なしによるムダのない空間による「ハンガードライ」機能も他にはない特徴だ。温風を上下2方向から槽内に吹き込む「ツインジェットノズル」で短時間でしわを抑えて乾燥できるほか、水で洗えない衣類をプラズマクラスターイオンの放出でスピード消臭できる「ハンガーリフレッシュ」モードも搭載している。
ハンガードライ機能で使用する「ツインジェットノズル」を活用し、部分洗いなどの際に、濡れた場所を素早く乾燥させる「スポット乾燥機能」まで備え、手洗い後のハンドドライヤーとして使うことも可能にしているなど、他社とは異なる個性的な機能が際立つ1台といえそうだ。
使い方も要チェック! 洗剤の入れ方や洗濯コースの選び方に気をつけよう
元々、タテ型洗濯機(全自動洗濯機)を選ぶ人は、洗濯の仕方にこだわる人が多いという。いつも同じボタンを押して標準コースだけで洗うというのではなく、自分で細かな設定をするという使い方だ。とはいえ、ここ1~2年は“すすぎ1回”や“スピードコース”といったコースが注目され、洗剤メーカーが提案した洗濯方法に押され気味な印象がある。
ここで気をつけたいのは、タテ型の場合、多くの人がやってしまいがちな「洗濯槽にそのまま入れる」という洗剤の投入方法のこと。節水性が高まり、高濃度の洗剤液を循環させて洗うという方式が主流となってきているタテ型洗濯機では、決められた投入口に入れてこそ、溶け残りを防ぎ、しっかりと衣類に洗剤を染み込ませて洗うことができるのだ。
そういう意味では、2014年モデルでパナソニックや日立が洗剤の投入口の場所を見直し、投入しやすくしたことの意味は大きいと感じる。ぜひとも他のメーカーもこの点については改良してほしいところだ。現状では洗濯槽の側面上部についたキャップを開いて入れる洗濯機が多いが、面倒がらずにきちんとここに入れるようにしたい。
また、洗濯コースについても、一概に「標準コース」や「おいそぎコース」を選ぶのではなく、自分で調節したコースを作ってみるのもおすすめの方法だ。軽い汚れやタオル類が主な洗濯物の場合は洗濯時間を少し減らしたり、脱水加減も好みに応じて調節するなどして、その家の洗濯物にあった洗濯コースを自分で作ってみることでぐんと仕上がり感がよくなり、時短にもつながる。
タテ型の場合、乾燥機能のついたものと、いわゆる全自動洗濯機と呼ばれるものがあるが、乾燥機能をいつも使うという場合はやはりドラム式洗濯機のほうをおすすめしたい。タテ型の乾燥機能は天気の悪い日の補助機能(少し乾燥機能を使ってから部屋干しするなど)や、シャープのハンガードライなど独自の機能を利用するものとしての位置づけになると思う。
各社の製品の特徴を踏まえたうえで、「こんな洗濯がしたかった!」「この機能を待っていた!」というような心に響くポイントがあったものを選べば、毎日の洗濯がきっと楽しいものになることだろう。