データで読み解く家電の今

髪を乾かすだけじゃない! 高機能、高価格のドライヤーが人気

販売実績を基にしたデータから、国内家電市場の実態を検証(協力:GfK Japan)

 ドライヤーは髪を乾かせればいい、という考え方は古くなってきているようだ。昨今、1万円以上の高価格帯モデルが販売を拡大し、販売金額、平均価格ともに年々上昇している。

 GfK Japanの調査によれば、家電量販店における2016年の販売金額は前年比で16%増、2017年(1〜6月)も同10%増で推移。平均価格(税抜)は、2016年は前年から15%上昇して約6,200円。さらに今年の上半期は、約6,400円と上昇が続いている。

ドライヤーの販売台数・金額指数の推移

 GfK Japanの行村真実子アナリストによれば、平均価格上昇の背景として、「単に髪の毛を乾かすだけでなく頭皮ケアができるなど高付加価値モデルの販売拡大があげられる」とする。

 例えば、地肌ケアのスカルプ機能を搭載したモデルは、2016年の販売台数の2割弱を占めるまでに拡大しているという。「さらに1万円以上の高価格帯に絞ると、7割近くを占めています」(行村氏)

 スカルプ機能のほかにも、速乾性や髪への潤い、美容効果を訴求する製品、プロ仕様モデルなど、ドライヤーの付加価値訴求が広がっているという。

ドライヤーの税抜き価格帯別の数量構成比の推移
パナソニックの「ヘアドライヤー ナノケア EH-NA98」
シャープの「プラズマクラスタードライヤー スカルプエステ IB-GX9K-B」

 また行村氏は、こうした付加価値訴求の背景には、消費者の意識の変化があるという。

 「ここ数年はドライヤー以外にも、洗顔ボディーブラシやフェイスケア関連など、美容関連の家電製品の販売が好調です。そのことからも、セルフケア(ホームエステ)への関心が高まっていることが見て取れます。地肌や髪の毛のケアを自宅でも気軽にできるという訴求が、人気につながっていると考えられます」(行村氏)

 さらに2016年にはダイソンが4万円超の「ダイソン スーパーソニック ヘアードライヤー」を発売。話題を集めただけでなく、ハイエンドモデルの幅を大きく広げる役目を果たした。

ダイソン スーパーソニック ヘアードライヤー

 「こうした製品は、ドライヤーに対する消費者の価格許容度を上げています。結果、最上級の製品購入までは至らなくても、従来よりワンランク上の製品が選ばれるようになったようです」(行村氏)