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第19回:家電リサイクル法とは



テレビ/エアコン/冷蔵庫/洗濯機の廃棄にはお金が必要

洗濯機をはじめ、テレビ/エアコン/冷蔵庫の「家電4品目」を廃棄するには、リサイクル料金が必要になる
 家電リサイクル法とは、一般家庭や事業所から廃棄される特定家電製品を回収して廃棄物を減量し、有用な素材をリサイクルして資源の有効利用を促進するために制定された法律です。正式名称は「特定家庭用機器再商品化法」。1998年6月5日に制定、2001年4月1日に施行されています。

 家電リサイクル法では、特定の家電製品を対象にリサイクルが義務づけられています。リサイクルが義務づけられている家電製品は、下に示す4種類です。この4種類の家電製品は、特に「家電4品目」とも呼ばれており、廃棄する際には、収集や運搬、再商品化にかかる費用として、「リサイクル料金」がかかることになります。

 リサイクル料金はメーカーによって異なるケースがありますが、国内の大手メーカーはおおむね下記の表の通りになっています。そしてこの11月からは、小型の製品に限って、リサイクル料金を安くするメーカーが増えました。これは、経産省と環境省の要望によるものですが、その理由は後述します。

【一般的な家電リサイクル料金】
品目リサイクル料金
(11月1日以降)
リサイクル料金
(10月31日まで)
テレビ(ブラウン管)16型以上2,835円2,835円
15型以下1,785円
冷蔵庫・冷凍庫171L以上4,830円4,830円
170L以下3,780円
エアコン2,625円3,150円
洗濯機2,520円
※料金は大手メーカーのもので、メーカーによって異る場合があります


 なお、衣類乾燥機や薄型テレビは、9月26日現在、リサイクルの対象になっていませんが、経産省と環境省は今後対象に追加する方針を決定しています。


製造業者、小売業者、消費者にリサイクルの役割を分担

 しかし、なぜこのような法律ができたのでしょうか。

 家電リサイクル法が施行されるまでは、一般家庭で利用される家電製品は、基本的に粗大ゴミとして処理されていました。金属類など一部の素材はリサイクルされていましたが、多くの素材はリサイクルされずに、埋め立て処理されていたのです。しかし、廃棄物最終処分場の残容量が徐々に厳しくなってきたことから、廃棄物の減量とリサイクルによる資源の有効利用を促進させるため、家電リサイクル法が制定されたというわけです。

 家電リサイクル法では、メーカー、小売業者、消費者それぞれに、製品の回収やリサイクル、費用の負担などの役割を分担するように定めています。まずメーカー(輸入業者も含む)は、廃棄された家電製品を引き取って、有用な資源を取り出して再商品化……つまり、リサイクルをする義務が課せられています。次に小売業者は、自らが販売した製品以外にも、買い換えのため引き取りを求められた家電についても、消費者から引き取って、製造業者に引き渡す義務が課せられています。

 最後に消費者です。消費者は、対象製品を購入した小売業者に引き渡す、またはメーカー指定引取場所に直接持ち込むなどする。廃棄する対象製品の収集や運搬、リサイクルにかかる費用の負担が求められています。


小売店や業者によって回収された家電は、メーカーに配送される(写真は日立アプライアンスのリサイクル工場) 工場では解体作業が行なわれる。写真は洗濯機(松下電器産業のリサイクル工場より) 回収した材料は、再び家電の材料として使われることもある。写真は三菱電機の、リサイクル素材を100%使った空気清浄機のカバー

家電リサイクル法施行前後の、使用済み家電の処理ルート(資料元:経済産業省)

回収は小売業者に依頼

 さて、われわれ消費者が、家電4品目を廃棄するにはどうすればいいのでしょうか。

 廃棄する製品の引き取りは、その製品を購入した小売業者、または買い換えの製品を購入した小売業者に依頼することになります。製品を廃棄する場合、多くは新しい製品への買い換えが伴うことになると思いますので、新しい製品を購入する小売業者に古い製品の回収を依頼することになります。もちろん、購入した小売業者がわかっている場合には、その小売業者に依頼してもかまいません。

 また消費者には、リサイクル料金と廃棄する製品の収集や運搬にかかる費用の負担が求められます。リサイクル料金は、製造業者が製品の種類ごとに設定していますが、支払い先は製品を回収する小売業者になります。


販売店によっては、回収の際に自前でリサイクル券を購入することもある。家電の買い替えの際は、事前に回収方法について確認しておくと良いだろう(写真は郵便局で配布されている家電リサイクル券)
 大手の小売店では、購入時にリサイクル料金も含めて支払うケースが多いですが、店によっては自前で「リサイクル券」というチケットを購入し、リサイクル料金を支払うケースもあります。チケットは郵便局をはじめ、家電量販店やスーパーやでも取り扱っています。購入時に確認すると良いでしょう。

 ちなみに、買い換えが伴わなず、購入した小売店がわからない製品は、メーカーが指定する引取場所に直接持ち込む、あるいは地域の「家電リサイクル協力店」に引き取ってもらう、といった処置を取ることになります。この場合も「リサイクル券」を自前で購入することになります。


不法投棄や海外流出で行方不明になるケースも

 2008年度、家電リサイクル法によって回収された家電の台数は、エアコンが約189万台(全体構成比で約16%)、テレビが約461万台(約38%)、冷蔵庫が約273万台(約22%)、洗濯機が約288万台(約24%)となっています。

 しかし、消費者が負担することになっている回収・運搬料金やリサイクル費用は、製品の購入時に上乗せされるのではなく、廃棄時に支払う“後払い制”となっています。しかも、リサイクル料金は製品の大きさは考慮されていませんので、製品の種類が同じならサイズに関わらず同じ料金となり、不公平感が強いのも事実です。そのため、リサイクル費用を払わずに不法投棄する人が増えてしまいました。

 また、小売業者が、リサイクル料金を受け取った上で引き取った家電4品目を、本来引き渡すべき製造業者に引き渡さず、中古品として不正に海外に輸出するといった問題も発生しています。このように、家電リサイクル法には様々な課題が残されているのです。

 そのため、現在家電リサイクル法の見直しが進められています。2008年2月19日に公表された中央環境審議会意見具申では、政府がメーカーにリサイクル料金の低減を求めています。これを受け大手家電メーカー各社では、高騰する原料をリサイクルから得ることによるコスト低減もあって、2008年11月1日から、エアコン/小型冷蔵庫/小型テレビに限り、リサイクル料金の値下げを実施することになっています。




【家電リサイクル法】の、ここだけは押さえたいポイント

・テレビ、冷蔵庫などのリサイクルが義務づけられており、消費者が廃棄するには「リサイクル料金」がかかる
・製品の回収は、購入した小売業者または買い換え製品を購入する小売業者に依頼する

2008年10月1日 初版





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2008/10/01 00:02
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

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