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第8回:省エネ達成率とは



パーセンテージが高いほど省エネ性能も高くなる

省エネ達成率が高いほど、省エネ性能が高く、ランニングコストを抑えられる(写真は「ENEX 2007」の上新電機のブース)
 省エネ達成率とは、家電製品の省エネ性能をパーセンテージで表した数値のことです。家電量販店などでは、商品の値札とともにこの数値が表示されており、省エネ達成率が高いほど省エネ性能も高く、電気代を抑えることができます。

 この省エネ達成率は、「省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)」という法律で定められています。省エネ法では、家電製品はもちろん、ガスや石油を利用するガス器具、自動車やコピー機といったものまで、基準となるエネルギー消費効率の値が設定されています。例えば冷蔵庫なら庫内の冷却方式や定格容量、エアコンなら形状や冷房能力によって、基準値や単位が異なります。

 もう少し具体的な例を見てみましょう。7~10畳用のエアコン(小型、冷房能力2.5kW)の場合は、基準値の単位はAPFで表され、基準値は5.8となります。一方、11~17畳用のエアコン(中型、冷房能力4.0kW)の場合、基準値は6.0となります(単位は同じくAPF)。これが「省エネ基準値」と呼ばれるものです。

 各メーカーは、この省エネ基準値をある一定の年度までに達成するように義務づけられています。この基準値の目標に対してどれだけ達成できているかを、省エネ達成率は示すことになります。

 省エネ達成率は、「省エネ基準値÷その製品のエネルギー消費効率×100」という計算式で算出されます。つまり、省エネ基準値と同じエネルギー消費効率を実現すれば、省エネ達成率は100%となり、省エネ基準値を上回れば、省エネ達成率は100%を超えることなります。

 ここでまたエアコンの例ですが、省エネ基準値が6.0で、エアコン自体のAPFが6.1だった場合、6.1÷6.0=1.0111……で、省エネ達成率は「101%」となり、基準を上回ることになります。また、省エネ基準値が5.8で、エアコンのAPFが5.3だった場合、5.3÷5.8=0.9137……で、「91%」となり、基準を下回っていることになります。

 省エネ基準値は、基準が制定された年に販売されている製品の中で、最もエネルギー消費効率の良い製品が指標となってます。性能がトップの製品を基準とし数値化することで、メーカー間の性能アップ競争を促そうというこの方式は「トップランナー方式」と呼ばれています。ほとんどの新製品が100%を超えているジャンルもあります。100%に達することそのものが目的ではありません。


製品ジャンルごとに省エネ基準が設定されており、サイズや能力によって細かく分かれている。写真はエアコンの省エネ基準値(シャープのエアコンのパンフレットより) 家電製品だけでなく、ガス製品にも省エネ達成率が設定されている(写真は「ENEX 2007」のビックカメラのブース)

「省エネラベル」「統一省エネラベル」をチェック

 省エネ達成率は、家電量販店でアルファベットの「e」というマークとともに表示されていいます。これが「省エネラベル」というもので、省エネ法では省エネ基準値が定められている機器について、省エネ達成率を開示することが義務づけられています。対象となる製品はエアコン、冷蔵庫、冷凍庫、蛍光灯器具、ストーブ、テレビ、ガス調理機器、ガス温水機器、石油温水機器、電気便座、パソコン、磁気ディスク装置、ジャー炊飯器、電子レンジ、DVDレコーダー、変圧器の16品目となっています(2008年7月1日時点)。

 省エネラベルには、緑色またはオレンジ色の省エネ性マーク(eマーク)が記されます。緑色の省エネ性マークは、省エネ基準値を達成している製品に、またオレンジ色の省エネ性マークは、省エネ基準値を達成していない製品にそれぞれ表示されます。緑色の省エネ性マークが表示されている製品は、オレンジよりもエネルギー消費効率が優れていることになります。また、省エネ性マークに併せ、省エネ達成率や年間消費電力量も表示されます。このように、省エネラベルを見れば簡単に省エネ性能が確認できるようになっているのです。


省エネラベルは、緑色に「e」の文字が目印(写真はENEX 2007」のビックカメラのブース) 省エネ達成率が100%を切る製品には、オレンジ色で表示されている(写真はシャープのエアコンのパンフレット)

 さらに「統一省エネラベル」というラベルも存在します。これは、省エネ性能を5つ星(最小★、最大★★★★★)で評価するというもので、同時に1年間の目安となる電気料金も併記するラベルです。先ほどの省エネ達成率と違う点は、競合製品と比べてどれだけ省エネ性能に差があるかという相対基準になります。省エネ達成率だけではなく、相対的な基準となる統一省エネラベルの多段階評価も併せて見た方が、より正確な判断ができるでしょう。

 この統一省エネラベルは財団法人省エネルギーセンターが管理・提供しており、現在はエアコン、電気冷蔵庫、テレビの3品目が統一省エネラベル表示の対象となっています。家電量販店では、省エネラベルと統一省エネラベルが並んで表示されています。

 実はこの統一省エネラベルも「達成したら終わり」ではなく、毎年4月1日に基準が改訂されています。これは省エネ性能が年々向上していくことに対応するための措置です。たとえば、制度開始直後に省エネ達成率100%の製品が高い評価を受けていたとします。しかしその後、省エネ達成率を110%、120%でクリアする製品が増えれば、たとえ省エネ達成率が100%でも、★の数は減っていくことになります。


「統一省エネラベル」は、★が多いほど省エネ性能に優れる(写真は「ENEX 2007」の上新電機のブース) 家電量販店では「省エネラベル」と「統一省エネラベル」がともに表示されている。ランニングコストを抑えたいなら、ともに評価の高い製品を選ぶと良いだろう(写真は「ENEX 2007」のビックカメラのブース)



【省エネ達成率】の、ここだけは押さえたいポイント

・数値が大きいほど省エネ性能に優れる
・★印を使った評価や年間電気料金なども表示される
・省エネ達成率は絶対評価。他の製品と比べるなら統一省エネラベルの★の数を見よう

2008年7月2日 初版





URL
  財団法人省エネルギーセンター
  http://www.eccj.or.jp/
  省エネラベリング制度
  http://www.eccj.or.jp/labeling/
  省エネ商品情報提供
  http://www.eccj.or.jp/labeling_program/index.html
  現代家電の基礎用語 バックナンバー
  http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/word_backnumber/
  エアコン 関連記事リンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/aircon.htm

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2008/07/02 00:05
平澤 寿康
1968年、香川県生まれ。1990年代前半にバイト感覚で始めたDOS/V雑誌のレビュー記事執筆を機にフリーのライターとなる。雑誌やWeb媒体を中心に、主にPC関連ハードのレビューや使いこなし、ゲーム関係の取材記事などを執筆。基本的にハード好きなので、家電もハード面から攻めているが、取材のたびに新しい製品が欲しくなるのが悩ましいところ。

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