この夏の節電活動は有効、最大需要日でも余裕――政府まとめ
政府の電力供給に関する需給検証委員会が12日に開催され、この夏の節電状況をまとめた資料が公開された。資料は、今夏の節電対象となった沖縄電力を除く9電力会社が対象となっている。
資料では、各電力会社別に今夏の最大需要日における需給状況がまとめられているが、もっとも逼迫した九州電力においても、予備率は6.9%が確保されており、一般に必要とされる予備率8~10%には届かないものの、ほぼ余裕のある状況だった。
需給状況が心配されていた関西電力においては、予備率は11.6%確保されており、9電力会社中で、もっとも余裕がある数字となっている。
各電力会社の最大需要日の需給状況。比較的余裕のある結果となった |
なお、同時に公開された関西広域連合の資料によれば、大飯原発の再稼働がなかった場合でも、今年並みの節電が行われた場合、需要が供給を上回った日はなかったという計算になっている。ただし、再稼働がなく、節電が昨年夏並の実績にとどまっていた場合は、需要が供給を上回った日は11日と計算されている。これにより、数値目標を掲げて、計画停電の実施も織り込んだ今夏の節電呼びかけが効果的だったことがわかる。
関西広域連合による資料 |
最大需要日の節電率で見ても、ほとんどの電力会社で、設定された数値目標が達成されたとしている。
ピーク時の電力需要は2010年度に比べて低下した。一番下の期間平均でもほぼ節電目標に達している |
なお、供給面での不安要素となっていた火力発電所などの計画外停止の比率は、9電力会社合計で2.4%に留まった。これは、昨年夏の2.9%を下回った。計画外停止の低下の理由としては、巡回点検の強化や土日や夜間を利用した早期復旧などが挙げられている。
計画外停止の実績。昨年よりも減少した |
今年冬の需給状況については、各社とも予備率3%を確保できる見通しとしており、数値目標をもった節電の呼びかけは回避できる見通しとなっている。
ただし、北海道電力については、夏よりも冬の需要が大きいことや、本州から送電する北本連係設備の容量が60万kWに限られており、これが故障した場合のリスクがあるため、今後の検討課題とされている。
今年冬の需給想定。9電力とも危険な状況ではないが、北海道電力のみ不安が残る |
北海道電力による資料。冬のほうが夏を上回る電力需要がある |
北海道と本州間は、60万kWと容量が小さい回線が1本しかないのでリスクが高い |
(伊達 浩二)
2012年10月15日 00:00