シャープ、創業100周年を迎え奥田隆司社長が社員向け訓示

~この難局を全社一丸となって乗り越えることが先決
シャープの奥田隆司社長(8月2日の決算説明会)

 シャープは、2012年9月15日に創業100周年を迎えるにあたり、9月14日、大阪市阿倍野区の同社本社において、奥田隆司社長が、社員に向けて約30分にわたって訓示を行なった。

 午前10時から行なわれた訓示では、本社のメイン会場に約2,500人の社員が参加。国内外の拠点に配信した。

 国内では、20拠点の事業所のほか、全国の営業所において、合計3万人の従業員が参加。海外の拠点では、時差の関係などで視聴できない従業員に対しては録画映像で視聴する形とした。

 奥田社長は、冒頭に「今日に至るまで、幾多の困難を乗り越え、シャープの100年にわたる輝かしい歴史を築いてきた諸先輩や取引先など、お世話になってきたすべての皆さまに、心から敬意と感謝の気持ちを表したい」と、これまでの歴史を振り返る一方、「この難局を全社一丸となって乗り越えることが何よりも先決であり、新しいシャープとして生まれ変わる決意を、全員で誓う場にしたい」と、100周年を迎える今年、大きな転機を迎えている現状を示しながら、全社員で変革に取り組んでいくことを宣言した。

 さらに、「新しい次なる成長に向けた取り組みとして、人々の暮らしやビジネスを変える生活創造企業を目指し、お客さま目線の商品開発や、新しい流れやトレンドを世の中に作り出していく。8月に発表した4つのビジネスユニットを、10月以降、具体的な組織体制に反映する」と、100年目以降のスタートを、新たな体制で踏み出すことを示した。

 また、「経営信条である『誠意と創意』をよりどころとし、社員一人ひとりが変革を促進する、挑戦する集団となることを目指すとともに、いかなるときにもお客様最優先とする」と語り、「2012年度下期の営業利益の黒字化、2013年度の当期利益の黒字化の達成に向けて、必ず構造改革を成し遂げる」と、業績回復に向けて強い意思を持って取り組んでいくことを強調した。

訓示が行なわれた大阪市阿倍野区のシャープ本社創業者の故・早川徳次氏が1912年に開発した「徳尾錠」。特許を取得し、独立開業したシャープの電気製品第1号となった「鉱石ラジオ」は1925年に完成した

 シャープでは創業100周年を迎えるにあたり、一時は記念式典なども計画していた模様だが、前年度に過去最高の最終赤字を計上するとともに、今年度も赤字が継続する見通しであること、さらに鴻海グループからの出資が難航したことを理由に実施を見送ったようだ。同社では、構造改革において、62年ぶりとなる人員削減を実施し、合計5,000人の削減を計画を実行中であるほか、今週月曜日には、10月から1年間に渡り、管理職の10%の給与削減などを含む経営改善施策を発表したばかりだった。

 今回の社長訓示は、100周年という節目において、奥田社長が、回復に向けた強い意思を改めて示すものとなった。100年目からの復活がこれから注目されよう。






(大河原 克行)

2012年9月14日 17:09