日立、野菜と肉・魚を見分けて適温で冷却する高級冷蔵庫
「インテリジェント真空保存 チルドi」シリーズ |
日立アプライアンスは、野菜の有無で温度を自動設定し、収納量に応じて冷却スピードを制御する真空チルドルームを搭載した冷蔵庫「インテリジェント真空保存 チルド i(アイ)」シリーズ10機種を10月11日より順次発売する。
同社の高級冷蔵庫の新シリーズ。主な特徴は真空チルドルームの機能を向上した「真空チルドi」ルームの採用、「節電モード」の搭載、“大容量No.1”の庫内容量670Lタイプを揃えたことが挙げられる。
冷蔵室 ドアタイプ | ツインドア | シングルドア | ||||||||
ドア数 | 6ドア (プレミアムデザイン) | 6ドア | 5ドア | |||||||
型番 | R-B6700 | R-B6200 | R-B5700 | R-B5200 | R-SF62BM | R-SF57BM | R-SF52BM | R-SF48BM | R-S50BM | R-SL47BM |
定格内容積 | 670L | 620L | 565L | 517L | 620L | 565L | 517L | 475L | 501L | 470L |
冷蔵室容量 | 346L | 324L | 295L | 274L | 324L | 295L | 274L | 252L | 261L | 230L |
真空 チルドルーム 容量 | 25L | 22L | 19L | 17L | 22L | 19L | 17L | 14L | 17L | |
冷凍室 | 204L | 185L | 167L | 149L | 185L | 167L | 149L | 138L | 148L | |
野菜室 | 120L | 111L | 103L | 94L | 111L | 103L | 94L | 85L | 92L | |
本体サイズ (幅×奥行き ×高さ) | 825× 728× 1,818 mm | 750× 728× 1,818 mm | 685× 728× 1,818 mm | 685× 688× 1,818 mm | 750× 733× 1,818 mm | 685× 733× 1,818 mm | 685× 693× 1,818 mm | 685× 643× 1,818 mm | 620× 733× 1,818 mm | 620× 733× 1,735 mm |
希望小売 価格 | オープンプライス | |||||||||
店頭予想 価格 | 38万円前後 | 35万円前後 | 32万円前後 | 30万円前後 | 31万円前後 | 28万円前後 | 26万円前後 | 25万円前後 | 24万円前後 | |
本体カラー | クリスタルブラウン クリスタルプラチナ クリスタルブラック | ダークブラウン ハイブライトステンレス ソフトブラウン | ハイブライトステンレス ソフトブラウン パールホワイト | ハイブライトステンレス ソフトブラウン |
「インテリジェント真空保存 チルドi」の高級シリーズ | R-B6700のカットモデル | 操作パネル |
冷蔵室の下段に、真空チルドルーム「真空チルドi」が収まる | 開けた時に、気圧の変化でプシュッと音がする | 左側が製氷室、右側が冷凍室上段 |
保存食の収納にも対応する広々とした冷凍室 | ワンタッチで開く野菜室 | 冷凍室には3つの収納段がある |
■CO2と収納量を検知して、効率的に冷却する「真空チルドi」
「真空チルドi」とは、庫内を約0.8気圧の低気圧状態にして、ルーム上部のビタミンケースから抗酸化ビタミンを放出し、食品の酸化を防ぐチルドルームのこと。
CO2センサーと収納量センサーで、効率的に冷却する「真空チルドi」 | 真空チルドiのカットモデル。底面には冷却効果の高いアルミトレーを採用 |
従来モデルでは、野菜の保存に適した0.8気圧、1℃の「真空チルド」モードと、肉や魚の保存に適したマイナス1℃の「真空氷温」モードを、手動で切り替える必要があったが、新製品では、真空チルドモードか真空氷温モードかを自動設定する「オート」モードを採用。野菜が呼吸でCO2を放出する点に着目し、「CO2センサー」でチルドルーム内に野菜が有るかどうかを検知する。CO2があれば、野菜が入っていると判断して真空チルドモードに、CO2がなければ、肉や魚が入っているものとみなし、真空氷温モードに設定する。
1℃で野菜の保存に適した「真空チルド」モードと、肉や魚の保存に適したマイナス1℃の「真空氷温」モードが自動で設定できる | 従来モデルでは、真空チルドと真空氷温を手動で設定する手間がかかったため、真空氷温を使いこなせていないユーザーが多かった | 肉や魚を野菜と一緒に保存した場合は、CO2を検知してチルド保存する |
食品別のCO2発生量を比較する実験。野菜が入っている容器と、肉や魚が入っている容器にそれぞれCO2センサーを入れる | 野菜入りの容器では、センサーを入れた瞬間から、みるみるうちにCO2の発生量が増加した。肉や魚の入った容器では値に変化がなかった |
真空チルドiではさらに、食品の収納量に応じて、冷却スピードを制御する「収納量センサー」を採用。チルドルーム内に収納量が多い時は、チルド内の空気が少ないため、チルド内の空気を抜くポンプの吸引時間を短縮し、早く冷却できる。さらに、熱を奪いやすいアルミトレイをケースの底面に設置して、食品の冷却を早める。
食品の収納量に応じて冷却スピードを制御する | 真空チルドi内の気圧を下げる「真空ポンプ」の構造 | 真空ポンプの吸引時間の差によって、冷却スピードを切り替える |
同社では、CO2センサーと収納量センサーによって、自動で最適な温度帯を設定し、食品の収納量に応じて冷却モードを制御する「インテリジェント真空保存」機能が実現したとしている。
■湿度によって冷媒の流路を変える、新開発の省エネ技術
省エネ面では、庫内に熱の侵入を抑える新省エネ技術「冷却バルブ制御」と、「節電モード」を採用した。
従来の冷蔵庫では、部屋の湿度が高いときに結露を抑えるため、冷凍室周辺に「冷媒パイプ」を埋設し、高温の冷媒を流して結露を抑えていた。いっぽうで、この高温の冷媒は冷蔵庫内を温めてしまうため、省エネ性能を悪化させていた。
新省エネ技術「冷却バルブ制御」では、周囲の湿度をみて高温の冷媒を制御する「湿度センサー」と、高温の冷媒の流路を切り替える新「冷媒バルブ」を搭載した。これにより、湿度が高い時には従来の経路で冷媒を流して結露を抑制し、湿度が低い時には、冷媒を別の経路に流して、庫内への熱の侵入を抑える。
省エネ化の背景には、国をあげての省エネ・節電の取り組みや、省エネ家電のランク付けが厳しくなっていることがある | 結露抑制のために、高温の冷媒による加熱をしている | 高温の冷媒がない場合、結露が生じる |
従来の問題点は、高温の冷媒が冷却性能を悪化させていたことだった | 湿度が低い時には、冷媒を別の経路に流すことで熱の侵入を抑え、冷却性能を高めた |
冷却バルブ制御によって、高温の冷媒の流路を切り替え、庫内への熱の侵入を抑える | 周囲の湿度をみて高温の冷媒を制御する「湿度センサー」や、高温の冷媒の流路を切り替える新「冷媒バルブ」 |
「節電モード」では、各室の冷却を弱め、コンプレッサーの回転数を抑えて節電する。また、通常ドア開放後1分で鳴るドアアラームを、ドア開放後30秒で鳴らす。さらに、冷蔵室の庫内灯のLEDライトが、通常よりも減光する。モードは、扉の表側にある操作パネルで切り替えられる。
このほか省エネ面では、庫内の霜を冷却に活用して消費電力を削減する「フロストリサイクル冷却」を昨年モデルに引き続き採用。霜の冷気をファンで風路に送り、庫内を冷却するため、コンプレッサーを止め、消費電力を削減する。
冷却ボタンモードを押して、節電モードを選ぶ | 冷蔵室の奥には、霜の冷気をファンで風路に送る「フロストリサイクル冷却」 |
■“大容量No.1”を謳う庫内容量670Lもラインナップ
今回のシリーズでは、“大容量No.1”の庫内容量670Lタイプ「R-B6700」が新たにラインナップする。昨年モデルで庫内容量が最大だった620Lよりも、50L大容量化した。
R-B6700の冷蔵室の容量は346L、冷凍室は204L、野菜室は120L。冷蔵庫には、ピザや盛り付け皿など、大きな食材もまるごと入る。
R-B6700の本体幅は825mm | R-B6700の冷蔵室の容量は346L、冷凍室は204L、野菜室は120L | 冷蔵室の棚の幅は725mm |
幅688mmの大型のトレイも、丸ごと収まる | 冷凍室の下段の幅は669mm | 幅450mmの冷凍ピザもすっぽり収まった |
冷蔵室のうち、真空チルドルームの容量は25Lで、横幅は555mmとワイド化。新巻鮭などの大きな魚も横向きに収まり、まとめ買いした食品の収納にも便利だという。
R-B6700の真空チルドルームの横幅は、555mmで、昨年モデルの480mmより75mm幅広くなった | まとめ買いした食品の収納にも便利 | 昨年モデルでは、秋刀魚がまっすぐにおさまったが、R-B6700では新巻鮭も丸ごと収まる |
大容量化の背景には、家で食事を取る人の増加や、冷蔵保存が必要な肉を食べる人の増加などが背景にあるという。
冷蔵庫には大型化を求める傾向がある | 今後は600L台がトレンドになるだろうと予測 |
大容量化の一方で、消費電力は削減に努めた。現在具体的な数値は公表されていないが、R-B6700の年間消費電力量は、昨年モデルの620Lよりも下回るという。
使い勝手の面では、シリーズ全機種共通で、最上段棚に、「4段階高さかわるん棚」を新たに採用。棚の高さが4段階で調節できる。
最上段棚に、「4段階高さかわるん棚」を採用 | 棚の高さを4段階で調節できる |
製氷機能も強化した。1回あたりの製氷個数を8個から12個に増やし、製氷スピードは最短約80分から70分へと短縮した。さらに、製氷用の給水タンクの水が少なくなると、ドア操作部の「給水お知らせサイン」が点灯して知らせる。
製氷用の水を入れる給水タンク | 8個から12個へ容量が増えた製氷皿 |
また、冷蔵庫の下部に位置する冷凍室と野菜室は、電動で引き出しが開く「電動引き出し」を昨年モデルに引き続き採用している。
このほか、除菌や脱臭に効果のある「ナノテク・脱臭フィルター」を採用。捕集した菌やニオイ成分を分解して除菌するほか、冷気と接触しやすい素材をフィルターに採用することで、ニンニクや肉、魚、醤油などのにおいを脱臭するという。
カラーは、プレミアムクラスの4機種では、クリスタルブラウン、クリスタルプラチナ、クリスタルブラックの3色を用意。クリスタルブラックでは、ハンドルや操作部にアクセントカラーとなるピンクゴールドを採用した。
(小林 樹)
2011年9月16日 00:00