ホンダ、“超低燃費・世界最小サイズ”のエコウィル用コージェネレーションユニット

家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニット「MCHP1.0K2」

 本田技研工業は、“超低燃費”と“世界最小サイズ”を謳う家庭用発電・給湯システム「エコウィル」の新しいコージェネレーション(熱電併給)ユニット「MCHP1.0K2」を開発。今月より、各ガス事業者へ販売すると発表した。

 「エコウィル」は、家庭に供給された天然ガスやLPガスをガスエンジンで発電し、発電時に生じるエンジンの排熱を利用して給湯する、家庭向けの発電・給湯システム。家庭で発電できるためエネルギーのロスが少なく、またCO2排出量の抑制にも貢献するとされている。ホンダは2003年よりエコウィルのコージェネレーションユニットを製造しており、各ガス会社より一般家庭向けに展開され、累計約10万8千戸に設置されているという。


新しく採用された、複リンク式高膨張比エンジン「EXlink」のカットモデル

 今回開発されたコージェネレーションユニット「MCHP1.0K2」では、新しいエンジンとして「EXlink(エクスリンク)」を搭載することで、より多くのエネルギーが取り出せるようになった点が特徴。EXlinkでは、少ない燃料と空気を圧縮し、燃焼させたガスをより大きな体積に膨張させることで、膨張比が圧縮比の1.4倍という、高い燃焼エネルギーを取り出すことに成功しており、また熱効率も従来ユニットから向上し、従来比で約15%の低燃費化が実現されたという。

 このEXlinkと独自の発電機技術により、発電効率は従来モデルの22.5%から26.3%に向上(低位発熱量[LHV]の場合)。また熱回収率は65.7%で、エンジンの発熱や排気熱を75℃で回収することで、給湯や風呂の追い焚き、床暖房に有効利用できる効率の良い温水作りが可能になったという。

 この結果、一次エネルギーの利用率は、従来の85.5%から92%に向上。同社の試算によれば、給湯暖房ユニットと組み合わせて利用した場合の光熱費を年間で約5万円節約し、CO2排出量も約39%低減できるという。同社では“超低燃費”としている。

内部構造のイメージ

 また、吸気系の部品が小型化できたことで、ユニットの軽量化、コンパクト化も図られた。サイズは580×298×750mm(幅×奥行き×高さ)で、容積は従来モデル比で33%削減。重量は11kg軽い、71kgとなった。同社ではサイズについて“世界最小サイズ”としており、“より多くの一般住宅への設置が可能”としている。

 このほか、本体内の構造を見直すことで、家庭用エアコンの室外機並みという低騒音(43dB)、低振動を実現したという。

 なお価格については、本ユニットは各ガス会社からエコウィルのセットとして販売されるため、ホンダからは公表されていない。

 ホンダは今後について、エコウィルのユニットやソーラーシステムといった「ホームパワージェネレーション事業」を通じて、エネルギーを家庭で創る「エコロジカルな家庭・家消」による低炭素社会の実現に貢献するとしている。

エコウィルのシステム概略図。ガスで発電し、その熱で給湯する






(正藤 慶一)

2011年5月24日 00:00