パナソニックの「JOBA」を使った体操、高齢者の瞬時記憶能力の向上に効果


パナソニックの乗馬型運動器具「JOBA(ジョーバ)」。写真は最新モデルのEU-JA50
 パナソニック電工は、パナソニックグループの乗馬型運動器具「JOBA(ジョーバ)」を使った運動で、瞬時記憶能力に関する学習促進効果を検証したと発表した。

 JOBAとは、馬の歩行動作を簡素化した振動を繰り返すことで、器具の上に座ったユーザーが自然とバランスを取り、反射的な筋活動を促す運動器具。パナソニックでは現在、音声ガイド機能を備えた「EU-JA50」など全3モデルを一般向けに発売している。

 実験は、58~69歳の高齢者女性30名を対象としたもの。15人ずつ2グループに振り分け、それぞれに違ったJOBAの運動を続けた後、約3カ月後に即時記憶能力や集中力、およ敏捷性のテストを行なうというもの。一方のグループでは、JOBAで運動強度を増やして体幹を鍛える運動を、もう一方では、JOBAに取り付けたあぶみに足をのせ、機器の動きに合わせて足指の体操と歩行運動を行なう「あぶみ体操」というスキルを要求する運動を中心に行なっていく。

 この結果、「あぶみ体操」を行なったグループのみ、数字記憶の成績が向上したという。また、数字記憶の成績と、物忘れに関する主観が相関関係にあり、参加者の実感とも一致したという。

「あぶみ体操」を行なったグループは、数字の即時記憶能力が平均で2桁向上したというまた、数字記憶の成績と、物忘れに関する主観の間に有意な相関があり、参加者の実感と一致していたという

 なお、集中力に関するテストは、両方のグループで向上。敏捷性のテストは、体幹運動を中心としたグループのみで向上が見られたという

 今回の検証を指導した、畿内大学大学院 健康科学研究科の森岡周教授は、高齢者の認知機能を維持するためには、運動強度よりもバランスや動作を要求する訓練が適しているとしている。

 パナソニック電工では、今度はJOBAを使ったあぶみ体操による脳活性効果も研究していくという。



(正藤 慶一)

2009年9月9日 14:56