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高校生が製作中! パナソニックのエボルタで動く列車が、本物の鉄道を走る!

開発中のエボルタチャレンジ用の車両と、開発している川越工業高校の生徒たち

 パナソニックは、エボルタチャレンジ2015の説明会を、埼玉県立川越工業高校で開催した。エボルタチャレンジは、同社の乾電池「エボルタ」の特徴、“長持ち”と“パワー”の実証実験として2008年から毎年行なっている。

 今年のチャレンジは、エボルタを動力源とする鉄道車両を、秋田県の由利高原鉄道の鳥海山ろく線を走らせるというもの。走行させるだけではなく、「乾電池で走る車両が線路上を走行した最長距離」を記録し、ギネスに登録されることを狙う。チャレンジは、11月3日(火)の12時10分にスタートする予定。

 車体のサイズは、1,500×4,000×2,900mm(車幅×全長×車高)。車体重量は約1.1トンで、人を乗せた状態で約2トンになる予定。

同校デザイン科によってデザインされたチャレンジ車両
実施場所は秋田県内を走る由利高原鉄道の鳥海山ろく線。同線の前郷駅から矢島駅に至る、のどかな田園風景の中を走る
走行ルートは、田園風景が拡がるエリアがある一方で、鉄橋やトンネルなど、鉄道ファンにも人気のスポットが数多い
今回挑戦するギネスのクリア条件

 専用車両を製作しているのが、発表会が開催された川越工業高校の電機科「電車班」の生徒13名。同校では電気科の有志が「川工電鉄」と称して、2011年より3年生が電車製作を行なってきたという。それは架線からパンタグラフで電機を取って走る本格的な電車。だが、本物の軌道を走らせるのは初めてだという。川工電鉄を始動する君島栄先生先生は次のように語る。

 「これまでも、校内に敷設した線路を走らせたことはありますが、それは全長20mほどの線路。一方で、今回は本物の軌道を走らせるということで、本当に走らせられるんだろうか、という不安もあります。ただ、頼りになるこの生徒たちがいれば、なんとかなるだろうと思っています。ぜひ成功させたいです」

エボルタチェレンジ2015に挑戦する川越工業高校「川工電鉄」の13名
川工電鉄を指導する君島栄先生

 川越工業高校の川工電鉄が、今回チャレンジすることになったは、教師のひとりが、昨年のエボルタチャレンジを見たことから始まったという。今回同様に前回も、エボルタの乾電池を動力源にした列車が、秋田県の旧小坂鉄道の廃線を約8.5km走破した。このニュースを見た教師が、パナソニックに連絡。川工電鉄の話を伝えることからプロジェクトが始動したという。

動力源となる単一形乾電池のエボルタを配列した電池ボックス
電源ボックスや電装について開発状況を説明する担当の生徒
その他、ブレーキ、台車、車体フレームなどについて、それぞれの担当が改良点などを説明してくれた

 車体のデザインは、デザイン班が担当。テーマは「進み続ける力」。太陽のエネルギーをイメージした黄色と、エボルタのカラーである青を基調としている。さらにこの黄色と青を、同校のイメージ空であるえんじ色を引いている。正面のデザインは、車両を印象付ける重要なポイントということで、アシンメトリーのデザインを採用。これにより他にはないオリジナリティを表現したという。

デザイン科のメンバー
デザイン模型
走行イメージ
由利高原鉄道の春田啓郎社長

 説明会には、由利高原鉄道の春田啓郎社長も現れた。

 新しいことや前例にないことをやらないと、そのうち鉄道が潰れるんじゃないかという危機感を持っているという。「そんな中で、今回のチャレンジに協力できることを光栄に感じている。全社を挙げて、可能な限り協力し、チャレンジが成功することを祈っています」と語った。

 なお開発中の車両は、10月24日〜25日に開催される同校の文化祭「工業祭」で一般公開される。

河原塚 英信