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2030年の太陽光発電産業の姿とは――JPEAがロードマップを公開

「JPEA PV OUTLOOK 2030」改訂版の発行と記者発表会を行なった

 一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は、2月24日、2030年までの太陽光発電産業の姿を見通すビジョン「JPEA PV OUTLOOK 2030」改訂版を発行するとともに、それに関する記者発表会を行なった。

 今回、発行した「JPEA PV OUTLOOK 2030」は元々2002年に発行した「太陽光発電産業ビジョン」をベースとするもので、これまで2006年、2010年、2012年と改定してきており、今回の改訂が4回目。このビジョンでは2030年時点の国内累積導入量を従来の想定どおりの100GWとした上で、2012年7月にスタートしたFIT制度のもとで市場の変化、電量系統における制約とスマート化、電力システム改革の影響を踏まえ、今後の産業の姿について述べている。

太陽電池の国内出荷量は、2011年から急速に伸長

JPEA事務局長の鈴木伸一氏

 その発表に先立ち、JPEA事務局長の鈴木伸一氏は2013年度第3四半期の太陽電池出荷統計についての公表を行なった。これによると、国内出荷量は2011年以降急速に伸びており、2013年度の第3四半期までの総量は5,771MW。第4四半期の予想を加えると、7,500MW程度になる見込みで、昨年度の倍近くになる。

 また、2012年7月のFITの導入前と導入後、住宅用と非住宅用の比率がどうなったかの導入状況もグラフで示された。これを見ると、従来は住宅用が83%と圧倒的であったにに対し、FIT導入後は92%が産業用で、そのうち1MW以上のメガソーラーが58%という結果になっていた。

太陽電池の国内出荷推移。2013年度第3四半期までの国内出荷量の総量は5,771MWとなった
FITの導入後、産業用が圧倒的なシェアを占め、1MW以上のメガソーラーが58%にのぼった

2030年へのロードマップとは

JPEA幹事の本多潤一氏

 続いてビジョン担当のJPEA幹事の本多潤一氏がJPEA PV OUT LOOK 2030の概要を解説した。その冒頭で示されたのが2030年へのロードマップだ。このロードマップでは大きく3段階に分けられており、第1段階は「グリッドパリティの早期実現と自由化された電力市場における普及拡大を可能とするための環境整備」、第2段階は「電力系統に負担をかけない需要サイドと統合された自立文案システムとしての普及」、第3段階は「電力系統の安定供給体制を支える社会インフラとしての発展」となっている。そして現状の系統連携を「ノーマルコネクト」、そして第2段階を「ソフトコネクト」、第3段階を「ハードコネクト」と置いているのが大きなポイントだ。

2030年へのロードマップとして、「ノーマルコネクト」「ソフトコネクト」「ハードコネクト」の3段階に分けて説明
現状は「ノーマルコネクト」、過渡期を「ソフトコネクト」、第3段階を「ハードコネクト」と位置づける

 ノーマルコネクトというのは、発電したものをそのまま系統へ全量流していくというものに対し、将来的には蓄電を組み込んだ上で、HEMS/BEMSを活用しながら、効率的に電力供給を行なうスマートコミュニティを実現するとしている。そのため流れとして第2段階の「ソフトコネクト」ではピーク負荷を含め、変動が抑えられた負荷への供給を実現し、第3段階の「ハードコネクト」では電力の供給サイドと需要サイドの双方がリアルタイムでのコミュニケーションを行ない、全体最適化に基づく電力の流れを実現する、としている。

ノーマルコネクトは、発電したものをそのまま系統へ全量流していく段階
ソフトコネクトでは、変動が抑えられた負荷への供給を実現する
ハードコネクトでは電力の供給側と需要側の双方がリアルタイムでコミュニケーションし、全体最適化に基づく電力の流れを実現するという

 ここで大きな意味を持ってくるのが、電力の売電価格と買電価格が同等になる“グリッドパリティー”がいつ実現するのか、という点だ。NEDOの「2030年に向けた太陽光発電ロードマップ(PV2030)」によると家庭用電力並の23円/kWhを実現するのが2020年ごろまでとされており、それに近づきつつある、という。実際住宅用のシステム価格のkW単価は確実に下がってきており、これまでの推移を元に予測すると2015年度には30万円を切ることになり、グリッドパリティも見えてくる。

グリッドパリティーの時期は近づいて来ているという
住宅用の太陽光発電システムの平均価格は下降線を描いている
住宅用の太陽光発電の導入件数、導入容量は、今後も伸びる見通し

 なお住宅用の太陽光発電の導入件数、導入容量は、今年度いっぱいで補助金が打ち切られることもあって、いったん下がる見込みとなっているが、その後は導入価格の低下もあり、増えていく見込みとなっている。

 JPEAでは、このようなビジョンを公表することにより、今後の太陽光発電産業が進むべき方向性や課題への取り組みについて、幅広い層に理解を深めてもらう、としており、今後も、こうした発表会を継続していく予定だ。

藤本 健