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フィリップスのLED、アムステルダムの美術館でレンブラントやフェルメールの名画を照らす

 フィリップスは、オランダのアムステルダム国立美術館に、同社のLED照明を75万個納入したと発表した。同館は約9年前から改装工事を行なっており、4月13日に改装オープンする。

 アムステルダム国立美術館は、レンブランドの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」をはじめ約7,500点の美術品を収蔵する大規模な美術館。フィリップスは美術館の改装プロジェクトの主要パートナーとして参加してきた。

17世紀のオランダの画家、レンブラントの「夜警(Night Watch)」
「夜警」の展示室の様子
レンブラントと同時代、17世紀のオランダで活躍した画家、フェルメールの「牛乳を注ぐ女(Milkmaid)」

 フィリップスによると、LED照明は、絵画や彫刻といった作品の陰影や立体感を引き立たせる効果があり、来館者はより良い鑑賞体験が味わえるという。

 同館の展示責任者Tim Zeedijk氏は、LED照明を採用した理由について「光の質が良く、演色性も高く昼光にとても近いから。これにより作品を最も良い照明で見ることができ、画家が描き出そうとした色合いや細部を全て再現することが可能」と説明する。例えばレンブラントの作品も、従来の照明に比べてLED照明の方が細部まで鑑賞できるという。

ダビデ像の彫刻も陰影がはっきりと浮かび上がる
繊細な銀細工も立体的に演出する
19世紀から20世紀にかけてのオランダの画家で、抽象画を描いたモンドリアンの作品

 同氏はLEDのもう1つのメリットとして、作品を良い状態で保管できることを挙げている。LEDは熱線がほとんどなく、展示物に有害な紫外線を放出しないため、作品をより良い環境で保存できるという。また寿命が長いため、メンテナンスの手間がかからないという。

 今回納入された75万個のLEDうち、3,800個はスポットライト。天井照明もLEDで、総延長は1.8kmに及ぶため、美術館のスタッフがモバイルアプリケーションで操作できる照明制御システムを採用している。各作品の照明を個別に調整し、特徴に合わせた照明を演出できるという。

 展示空間のほかに、ギフトショップやレストラン、屋外スペースなどにもLED照明を採用している。同社では、“LED照明による世界最大の展示空間”であり、“世界最高レベルの美術館照明ソリューション”と謳っている。

LED照明を効果的に演出している展示室
大航海時代に栄えたオランダらしい、船の模型の展示室

小林 樹